今の日本国内では、薬の供給量が低下しています。
特に後発医薬品の不足は、2020年12月から目立っています。
原因としては2つあります。
1つ目は、後発医薬品の製造不正が挙げられます。問題の発端となったのは、2020年12月に小林化工が製造した真菌に対する薬剤に睡眠導入剤の成分が混入した不祥事でした。
以後2021年には8社も業務停止命令を受け、薬品の供給量が減少しました。
2つ目は、新型コロナウイルスやインフルエンザの流行の影響です。
これら感染症の流行で、たんを出しやすくする薬や咳止め、解熱鎮痛剤の需要が増加し、薬品不足に拍車をかけました。

薬の供給不足の原因は2つ考えらます。
一つ目の原因は、各地の後発医薬品メーカーの製造不正が発覚したことにより、供給量が減ったためです。
2020年12月の小林化工の不祥事を皮切りに2021年には8社も後発医薬品メーカーが業務停止命令を受けました。
2024年5月現在での後発医薬品の供給は不足しており、日本製薬団体連合会と厚生労働省が行なった調査では、8041品目の後発医薬品のうち、通常出荷できない薬は30.8%の2589品目に上ります。
2つ目の原因は、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染拡大の影響です。
症状緩和のための咳止めやた痰を出しやすくする薬などの需要が増加したため、一部の薬が供給が不足しています。

処方箋がないと薬がもらえないのは、医師法第20条で決まっているためです。
この法律により、調剤薬局では原則として処方箋がないと薬を調剤・販売することができません。
医師は診察を通じて、患者さんがどの薬を必要としているかを判断します。
もし薬が必要だと判断した場合、医師は処方箋を交付します。
この処方箋を持って調剤薬局に行くと、薬局でその処方箋に基づいて薬を調剤してもらえます。
処方箋が必要な理由は、適切な治療を行うためです。
医師は診察を通じて患者さんの状態を把握し、適切な薬の種類と量を決定します。
これにより、効果的な治療が可能となり、薬の不適切な使用や副作用のリスクを防ぐことができます。

残薬とは、飲み忘れによって自宅に残ってしまった薬のことです。
残薬は、適正使用や医療費の面から社会的に問題です。
薬が余ってしまうということは、薬が適切に内服されなかったことを意味し、結果として治療効果が不十分になったり、治療期間が延長したり、体調が悪化したりしてしまいます。
また、厚生労働省の推計によると、2015年の時点で残薬にかかる費用は500億円に上るとされています。
つまり、残薬は医療費の無駄遣いに繋がります。

薬が余ってしまった場合は、気軽に医師や薬剤師に相談してください。
余っている薬の量に応じて、医師や薬剤師が処方日数の調整や飲み忘れ対策についてアドバイスしてくれます。
処方日数を調整すると、必要な薬の量が減るため、医療費の節約にも繋がります。
また、飲み忘れ対策を講じることで、処方された通りに薬を内服しやすくなり、治療効果を最大限に引き出し、病状の悪化を防ぐことができます。
医師や薬剤師に気軽に相談して、最適な対応を一緒に考えてもらいましょう。

薬剤師が薬について質問するのは、患者さんが適切な治療を受けられるようにするためです。
薬剤師は医師の処方箋に基づいて薬を調合しますが、処方箋には病名や症状などの詳細が記載されていません。
これにより、患者さんから病状を聞くことで、正しい薬か確認する必要があります。
また、薬には似た様な名前や効果を持つものが多くあります。
間違った薬を投与されると、期待した効果が得られなかったり、副作用が起こることがあります。
薬剤師はこうした誤りを防ぐために、患者さんの状態や症状を確認し、適切な薬を選ぶ手助けをしています。

処方されたけれども使わなかった薬や、有効期限が切れた薬は、薬局で引き取ってもらえることがあります。
有効期限が切れた薬は、品質が低下して効果が弱くなる可能性があるため、早めに処分することが大切です。
通常、薬は一般ゴミとして処分できる場合が多いですが、一部の薬は特別な処分方法が必要なことがあります。
不安な場合は、薬局に持ち込んで、適切な処分方法を相談するのが良いでしょう。

病院でもらった薬は薬局にお願いすれば一包化してもらえます。
一包化することで、飲み忘れや飲み間違いを防ぐことができます。
しかし、いくつかのデメリットもあります。
まず、調剤時間が長くかかります。
これは包装されている薬を一度取り出してまとめ直さなければならないからです。
また、薬の調整が必要になった場合は、一包化されていると特定の薬剤のみを変更するのが手間になるため、改めて調剤し直さなければならないからです。
このように一包化には長所と短所がありますが、特に高齢者など薬の管理が難しく感じる方にとっては、飲み忘れを予防するための良い方法と言えます。

病院で処方された薬が余った場合は、医師に相談しましょう。
薬を使っていなくても病状が改善しているなら、その薬が本当に必要ないかもしれません。
逆に、病状が悪化している場合は、別の薬を追加することが考えられますが、まずは現在の薬をきちんと続けることが大切です。
医師に余った薬のことを伝えることで、治療方針が見直されることがあります。
だからこそ、薬の状況をしっかりと医師に伝えることが重要です。

薬の説明書は捨てずに保管しておき、いつでも見れるようにしておきましょう。
薬局で処方された薬には説明書が付いてきますし、市販薬を購入した際には外箱や箱の中に説明書が入っています。
説明書を保管しておく理由は3つあります。
まず、薬の正しい飲み方や用法・用量を確認できることです。
次に、副作用などの注意点が記載されており、薬を安全に使用するために役立ちます。
最後に、他の薬との飲み合わせに関する情報も載っているため、薬を効果的に使うためには欠かせないものです。
これらの情報は、薬を安全かつ効果的に利用するために重要です。

置き薬を利用しなくても問題ありません。
置き薬とは、薬局や製薬会社が家庭や職場に薬を預け、使用した分だけ後で支払う仕組みです。
置き薬のメリットは、急な体調不良時にすぐに薬を使えることです。
また、自分で常備薬を用意しておくと期限切れのリスクがありますが、置き薬の場合は業者が交換してくれるので安心です。
ただし、置き薬を預かると、消費者には薬の保管義務が生じます。
勝手に処分すると、業者から薬代を請求される可能性があるので注意が必要です。
不要になった置き薬は、必ず業者に連絡して回収してもらいましょう。

薬の使用期限は、未開封の市販薬で約3年から5年です。
期限を過ぎた薬は効果が薄れたり、見た目が変わったりすることがあります。
そのため、期待通りの効果が得られないことがあります。
使用期限が過ぎた薬は、破棄するのが最適です。
破棄する際は、薬局に持っていくか、新聞紙とビニール袋に包んで可燃ゴミとして捨てると良いでしょう。

病院で処方された薬は、処方された期間内に使い切るのが原則です。
残薬が出ないように、指示通りに使い切るようにしましょう。
医療用の薬には使用期限があり、薬の種類によって異なります。
一般的には、粉薬は3～6ヵ月、錠剤やカプセルは6ヵ月～1年、シロップなどの液体は処方日数が使用期限になります。
外用薬（塗り薬など）は約1ヵ月の使用期限があるため、処方されたらできるだけ早く使い切るようにしましょう。
詳しい使用期限については、調剤薬局に確認することをおすすめします。

一部の薬は冷蔵庫で保管する必要があります。
特にシロップ、目薬、坐薬などの液体の薬は、細菌の繁殖を防ぐために低温で保存することが推奨されています。
一方、錠剤やカプセルなどの固形薬は、通常、常温での保管が適しています。
どのように保管すべきかが不明な場合は、薬の説明書を確認するか、薬剤師に相談してください。

2022年9月30日、厚生労働省は医薬品医療機器等法（薬機法）の施行規則を変更し、薬剤師が薬局以外の場所でもオンライン服薬指導を行えるようにしました。
この変更により、患者さんの同意があれば、プライバシーに配慮しながら指導が可能となります。
オンライン服薬指導のメリットとして、時間や場所に制限がなく、感染リスクが低減する点が挙げられます。
しかし、デメリットもあり、画面越しでは患者さんの表情や仕草が見えづらく、説明が不十分になる可能性があります。

オンラインで服薬指導を受けることは可能です。
新型コロナウイルス感染症のの流行と、薬機法の改正に伴い、2020年4月からオンライン服薬指導は開始されました。
最初は特例措置として音声のみの指導も可能でしたが、2023年8月1日以降は音声と映像の両方による指導が必要になりました。
患者さんにとってオンライン服薬指導のメリットは、時間と場所に縛られずに指導を受けられることです。
しかし、薬剤が手元に届くまで多少時間がかかるというデメリットもあります。

処方箋なしで購入できる薬は「市販薬」や「一般用医薬品」と呼ばれ、別名「大衆薬」や「OTC医薬品」とも言います。
これらは、要指導医薬品と、第1類～第3類医薬品の4種類にわけられます。
要指導医薬品と第1類医薬品は、薬剤師の説明が必要で、薬剤師がいる店舗でのみ販売されます。
例としては、パブロンSゴールドLX錠やロキソニン総合かぜ薬があります。
第2類医薬品と第3類医薬品は、薬剤師の説明なしで自由に購入できます。

2024年6月現在は、電話のみでオンライン服薬指導を行うことはできません。
2020年4月から始まったオンライン服薬指導ですが、最初は新型コロナウイルス感染症が流行していた時期だったため、特例措置として音声のみの服薬指導も許容していました。
しかし、2023年8月1日からは、薬機法が改正され、音声と映像での指導が義務付けられるようになりました。
音声と映像でのオンライン服薬指導を行うことで、患者さんと薬剤師の間のコミュニケーションが活発になり、より安全で効果的な服薬のための説明ができるようになりました。

オンライン服薬指導を受けるには、次の手順を踏んでください。
1.医師に相談： 処方箋をFAXやメールで送ってもらうように依頼します。
2.薬局登録： オンライン服薬指導に対応している薬局のシステムに登録します。
3.面談日時の調整： 薬局のシステムにログインし、面談日時を設定します。
4.受け取り方法の登録： 薬の受け取り方法と決済方法を登録します。
5.オンライン面談： 指定した日時に、薬剤師とオンラインで面談を受けます。
6.薬の受け取り： 薬を発送してもらい、自宅や指定した場所で受け取ります。
この手順を順に進めることで、オンライン服薬指導が受けられます。

厚生労働省が2022年3月に実施したウェブアンケートでは、オンライン服薬指導を受けた人の割合は年代によって異なり、9%から25%の幅がありました。
特に30代では25.5%と最も高い割合でしたが、50代は11%、60代以上は9%と、年齢が上がるにつれて受けた割合が減少する傾向が見られました。
この違いは、年齢が上がるにつれてスマートフォンやタブレットの操作に不慣れな人が多いためと考えられます。