後発薬メーカーである小林化工で2020年に発覚した健康被害の問題に端を発しています。
爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入し、服用した人が意識を失うなど重い健康被害が発生した品質不正の問題が起きました。
小林化工以外にも後発薬メーカーを中心に不祥事やトラブルが発覚し、業界全体で業務停止命令や改善指導が相次ぎ、薬が製造できない状況が続いたため、供給不足におちいったのです。

薬が供給不足になることがないよう、通常はきちんと生産管理がされています。
しかし、品質不正の問題などで業務停止命令を受けた製薬会社が複数存在する事態になると、供給不足に陥ります。
なぜなら、薬ごとに製造場所や設備の登録や薬を決められた通りに毎回製造できるのかの確認が必要になるため、すぐには対処が難しく供給不足になります。

一般的に効果が高い薬には副作用があることが多くあります。
逆に副作用を減らそうとすると、効果が低くなる傾向にあります。
病院で処方される医薬品は、効果が高いものが使われるため、副作用も含めて、その薬について医師や薬剤師の管理の元、正しく使用し理解する必要があります。
そのため処方箋と引き換えに入手する仕組みになっています。

日本の医療費の増大が社会問題となっています。
医療費の中で薬の費用は約8兆円というとても大きな数字なのですが、医療費に占める薬の費用の割合自体も年々増加してきています。
その要因に残薬の問題があると言われています。
残薬の問題は医療費だけの問題ではなく、本来飲まなければいけない薬を飲まないことによる治療効果の低減や必要のない残薬を間違えて飲んでしまうといった問題もあります。

残薬は必ず医師に伝えるべきです。
医師はあなたの症状や来院頻度に応じて必要な量の薬を処方しています。
薬を飲み切らないと治療効果が低下することがあります。
もし病気が治らない場合、医師は治療方針の変更を考えますが、残薬の情報がないと正しい判断ができません。
そのため、残薬がある場合は必ず医師に伝えてください。

どの薬をどれだけ飲むべきかを決めるのは医師の役割ですが、薬剤師の仕事は処方箋通りに薬を正確に提供するだけではありません。
薬剤師は、患者が複数の医療機関にかかっている場合に、その情報が医師に正しく伝わっているか、また医師が薬の名前を間違えて処方していないかを確認するために、処方箋を受け取った際に質問することがあります。

薬局では、処方箋に基づかない薬の受け取りは法律で禁止されています。
そのため、残った薬をそのままもらうことはできません。
しかし、飲み忘れなどで薬が余ってしまった場合は、薬局に相談することで対応してもらえます。
具体的には、品質や期限に問題がない場合で、現在も処方されている薬については、次回の処方から余分な分を差し引くことが可能です。
これにより、次回の薬の量が減り、医療費の削減に繋がります。

薬には、病院で処方される「院内処方」と、処方箋を持って調剤薬局やドラッグストアで受け取る「院外処方」の2種類があります。
一包化を希望する場合、基本的には医師の指示が必要です。
そのため、受診時に医師に一包化の希望を伝え、処方箋に記載してもらうようお願いするのが良いでしょう。

家に余った薬がある場合は、薬局に持って行くと良いでしょう。
薬局ではその薬を確認し、必要に応じて医師に連絡して処方日数の調整をしてくれることがあります。

病院でいただく薬は薬剤師から服薬に際しての指導がありますが、ドラッグストアやインタ＾ネットで購入する一般用医薬品は服薬指導がありません。
一般用医薬品についている説明書は、安全で適正な使用を図るための情報が、わかりやすく、簡潔に記載されていますので、薬を飲みきるまでは捨てないようにしましょう。

置き薬は「配置薬」とも呼ばれ、江戸時代に富山で始まった仕組みです。
家庭に様々な医薬品が入った薬箱を置き、販売員が定期的に訪問して、使用した分の代金を回収し、減った分の薬を補充します。
もし販売員が来た時に薬を使っていなければ、代金を支払う必要はありません。

一般用医薬品には外箱に使用期限が記載されていますが、処方薬には使用期限が書かれていません。
処方薬の場合は、以下の目安を参考にすると良いでしょう。
錠剤・カプセル剤、粉薬（再分包されていないもの）：1年
一包化された薬、薬局で分包された粉薬など：6ヵ月
シロップ剤：原液ならば3ヵ月、水を加えた場合は最大7日
坐薬：1年
目薬：開封後は1ヵ月、開封前は1年
塗り薬：開封後3ヵ月、開封前は1年

全ての医薬品には、その効果を保つための使用期限があります。
この使用期限は薬の種類や保管方法によって異なります。
病院で処方された薬は、適切に使用すればその使用期限内に効果を発揮します。
しかし、飲み忘れや余った薬がある場合は、薬局で相談するのが賢明です。

冷蔵庫での保管は、一部の薬（水剤や一部の点眼剤）に適していますが、多くの医薬品は室温で保管するのが基本です。
冷蔵庫に入れると、出し入れ時に温度が急に変わり、湿気がつくことがあります。
これが原因で薬の効果が弱まることがあるため、指示がない限り室温で保管しましょう。

オンライン服薬指導は以前は調剤を行った薬局内でのみ行われていましたが、2022年に薬機法が改正されてからは、薬局以外の場所でも実施できるようになりました。
具体的には、薬局に所属して調剤を行っている薬剤師と連絡が取れる場所で、患者のプライバシーが保護され、音声の聞き取りに問題がない静かな環境で、薬局の従業員以外の第三者が簡単に入れない空間であれば、オンライン服薬指導が行えます。

以前の服薬指導は対面が原則であったのですが、2019年に薬機法が改正されオンラインでの服薬指導が可能になっています。により可能になりました。
オンライン診療に関しては、
①初診でのオンライン診療では、麻薬や向精神薬などの安全管理が必要な薬品は処方しないこと
②基礎疾患などの情報が把握できていない患者さんに対しては、8日分以上の薬を処方しないこと
というルールがあります。

医療用医薬品は処方箋が必要な医薬品ですが、処方箋なしで買える医薬品は、一般用医薬品と要指導医薬品というものがあります。
一般用医薬品はドラッグストアやインターネットで購入できます。
要指導医薬品というのは「医療用医薬品に準じたカテゴリーの医薬品」で、処方箋が必要な医薬品に比べ、効能、効果や副作用が人体に対してマイルドで安全なものです。

オンライン服薬指導は、基本的に映像と音声の両方を使う必要があります。
コロナ禍の緊急措置として、一時期は電話だけでの服薬指導が認められていましたが、現在はより安全で効果的な服薬指導のために、映像と音声を使うことが求められています。

オンラインで薬を受け取るには、まず医療機関を受診して処方箋をもらう必要があります。
処方箋を手に入れたら、オンラインで服薬指導の予約をします。
予約した日時に間に合うように、処方箋を直接薬局に提出してください。
処方箋の有効期限は発行日を含めて4日なので、注意が必要です。
その後、オンラインで服薬指導を受け、薬代を決済すると、自宅まで薬が配送されます。

オンラン服薬指導はとても便利なシステムなのですが、日本においては、まだまだ浸透していません。2021年の利用率は5.3%、2022年は6.3%となっています。
同様にオンライン診療もまだまだ普及しておらず、利用率は2021年は5.9%、2022年は6.8%となっています。