鉄分

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カナテツブン
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英語名Ferrum
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化学式Fe
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分子量55.845 g/mol
鉄分の働きと体内での役割
鉄分は私たちの体に欠かせない栄養素の一つです。
赤血球のヘモグロビンを作るのに必要で、酸素を体中に運ぶ役割を担っています。
鉄分が不足すると貧血になることがあり、様々な症状が出ます。
鉄分は、赤血球の中にあるヘモグロビンの材料になります。
ヘモグロビンは、肺から取り込んだ酸素を体のすみずみまで運ぶ役割があり、酸素は体の細胞でエネルギーを作るのに欠かせません。
鉄分には、筋肉の中にあるミオグロビンの材料になる働きもあります。
ミオグロビンは筋肉に酸素を蓄えておく役目があり、運動をするときに必要です。
また、鉄分は体の中でいろいろな酵素の働きを助けています。
酵素は体の中の化学反応を進める物質で、代謝や免疫系の働きを支えています。
鉄分が不足すると、まず貧血の症状が出やすくなります。
貧血になると、疲れやすい、めまいがする、息切れがする、顔色が悪くなるなどの症状が現れることがあります。
ひどくなると、爪がもろくなったり、髪の毛が抜けやすくなったりすることもあります。
鉄分を多く含む食べ物と上手な摂り方
鉄分は食事から摂れます。
特に動物性の食品に多く含まれており、レバーや赤身の肉、魚では、まぐろやかつお、さんまなどの青魚に多く含まれています。
植物性の食品では、ほうれん草やひじき、納豆、大豆製品などが鉄分を多く含んでいます。
ただし、植物性の鉄分は動物性のものに比べて体に吸収されにくいという特徴があります。
鉄分の吸収を良くするコツもあります。
例えば、ビタミンCを一緒に摂ると鉄分の吸収が良くなります。
レモンやみかん、キウイフルーツなどの果物や、ブロッコリー、ピーマンなどの野菜に含まれるビタミン
Cは、鉄分の吸収を助けてくれます。
一方で、お茶やコーヒーに含まれるタンニンという成分は、鉄分の吸収を妨げることがあります。
鉄分を多く含む食事の時は、お茶やコーヒーを控えめにするのがよいでしょう。
普段の食事で鉄分を摂るのが難しい場合は、サプリメントを利用する方法もあります。
鉄分不足を防ぐための日常生活での注意点
鉄分不足を防ぐには、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
特に、肉や魚、大豆製品、緑黄色野菜などを積極的に食べるようにしましょう。
また、激しい運動や長時間の運動を行う人は、通常よりも多くの鉄分が必要になることがあります。
ジョギングやマラソンなどの激しい運動を行う人は、特に注意が必要です。
女性の場合、月経による出血で鉄分が失われるため、男性よりも鉄分不足になりやすいです。
特に、月経量が多い人や、妊娠中の人は鉄分の摂取に気を付ける必要があります。
よくあるご質問(FAQ)
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質問:鉄分が豊富な食品は何ですか?回答:
鉄分は動物性食品と植物性食品の両方に含まれます。
動物性食品ではレバー(特に鶏レバーや豚レバー)、赤身の肉(牛肉、ラム肉)、魚介類(貝類、サバ、イワシ)が鉄分を豊富に含みます。
これらの食品に含まれる鉄分はヘム鉄で、体内での吸収率が高いです。
一方、植物性食品にはほうれん草やケールなどの緑黄色野菜、豆類(大豆、レンズ豆)、ナッツ類、全粒穀物(オートミール、玄米)があり、これらの鉄分は非ヘム鉄で、吸収率は低めですが、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収が向上します。 -
質問:鉄分を効率的に摂取する方法は何ですか?回答:
鉄分を効率的に摂取するには、ヘム鉄を多く含む動物性食品(レバー、赤身の肉、魚介類)を摂取し、非ヘム鉄の吸収を助けるためにビタミンCが豊富な食品(オレンジ、イチゴ、ブロッコリー)を同時に摂ることが推奨されます。
また、コーヒーや紅茶に含まれるタンニン、カルシウムが豊富な乳製品は鉄分の吸収を妨げるため、食事と一緒に摂るのは避けるべきです。
鉄分強化食品やサプリメントも有効ですが、過剰摂取には注意が必要です。 -
質問:鉄分不足の症状は何ですか?回答:
不足による症状には、疲れやすさ、倦怠感、集中力の低下、頭痛、めまいがあり、皮膚や粘膜の青白さ、息切れ、動悸、手足の冷え、爪のもろさ、髪の抜けやすさも見られます。
また、免疫力の低下で感染症にかかりやすくなることもあります。
特に女性は月経による鉄分喪失が多く、鉄分不足になりやすいです。
症状が続く場合は、医師の診察を受けることが重要です。 -
質問:鉄分を摂りすぎるとどうなりますか?回答:
鉄分を過剰に摂取すると、鉄過剰症や鉄中毒のリスクがあります。
初期症状には腹痛、便秘、吐き気、嘔吐があります。
長期間の過剰摂取で鉄が体内に蓄積すると、肝臓や心臓、膵臓にダメージを与える可能性があり、ヘモクロマトーシスとして肝硬変、心不全、糖尿病などの健康問題を引き起こすことがあります。
過剰な鉄分は活性酸素を増加させ、細胞やDNAにダメージを与えることもあります。
鉄分サプリメントは推奨量を守り、医師の指示がない限り過剰摂取は避けるべきです。 -
質問:鉄分の吸収を妨げる食品は何ですか?回答:
鉄分の吸収を妨げる食品には、カフェインを含む飲み物(コーヒー、紅茶)があり、タンニンが鉄分の吸収を阻害します。
また、カルシウムが豊富な乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)や、フィチン酸を含む全粒穀物(小麦、オートミール)や豆類(未発酵のもの)も鉄分の吸収を減少させる可能性があります。
さらに、ポリフェノールを多く含む食品や飲料(ワイン、チョコレート、ベリー類)も鉄分の吸収を抑制します。 -
質問:鉄分不足が引き起こす健康問題は何ですか?回答:
鉄分不足は多くの健康問題を引き起こします。
最も一般的なのは鉄欠乏性貧血で、疲労感、倦怠感、息切れ、めまい、頭痛などの症状が現れます。
鉄分は赤血球のヘモグロビンの成分で、酸素を全身に運ぶ役割を果たしているため、不足すると体全体の機能が低下します。
また、鉄分不足は免疫力の低下を招き、感染症にかかりやすくなります。
さらに、集中力や記憶力の低下、学習能力の低下など、脳機能にも影響を与えることがあります。
特に妊婦は、鉄分不足が早産や低出生体重児のリスクを高めるため、適切な鉄分摂取が重要です。
子どもも成長や発達に支障をきたす可能性があります。 -
質問:鉄分の推奨摂取量はどれくらいですか?回答:
鉄分の推奨摂取量は年齢や性別によって異なります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、以下の通りです。
男性
・12~17歳:10.0mg/日
・18~49歳:7.5mg/日
・50~64歳:7.0mg/日
・65歳以上:7.0mg/日
女性
・10~14歳:12.0mg/日
・15~17歳:9.0mg/日
・18~49歳(月経あり):6.5mg/日
・18~49歳(月経なし):6.5mg/日
・50~64歳:6.0mg/日
・65歳以上:6.0mg/日
・妊娠中(15~49歳):10.5mg/日
・授乳中(19~49歳):9.5mg/日
これらは目安であり、普段の食事で鉄分を十分に摂取している場合はサプリメントは不要ですが、特に月経中や妊娠中、授乳中の女性、偏食しがちな人は意識的に摂取することが大切です。 -
質問:コンビニで鉄分を簡単に摂る方法はありますか?回答:
コンビニで鉄分を簡単に摂取する方法はいくつかあります。
鉄分が豊富な食材を使用したお弁当やお惣菜を選ぶと良いです。
例として、牛肉や鶏レバーを使ったメニュー、ほうれん草や小松菜が入ったサラダ、豆類を使った料理があります。鉄分強化食品やサプリメントもコンビニで手軽に購入できます。
飲み物では、鉄分強化ドリンクを選ぶと良いでしょう。
ナッツ類やドライフルーツも鉄分を含むスナックとしておすすめです。
特にピスタチオやアーモンド、乾燥プルーンは鉄分が豊富です。お菓子では、鉄分強化チョコレートや鉄分が含まれるグラノーラバーを選ぶことができます。
これらの食品をうまく組み合わせて、日常的に鉄分を摂取することが可能です。 -
質問:鉄分サプリメントの効果的な摂り方は何ですか?回答:
鉄分サプリメントを効果的に摂取するには、いくつかのポイントがあります。鉄分の吸収を高めるために、空腹時に摂取するのが推奨されます。
ただし、胃が敏感な場合は軽食と一緒に摂ることも考慮してください。
ビタミンCは鉄分の吸収を助けるため、オレンジジュースやビタミンCが豊富な食品と一緒に摂ると効果的です。
一方、カルシウムやタンニンを含む食品や飲料(牛乳、チーズ、紅茶、コーヒー)は鉄分の吸収を阻害するため、これらと一緒に摂るのは避けるべきです。 -
質問:鉄分が不足しやすい人の特徴は何ですか?回答:
鉄分が不足しやすい人にはいくつかの特徴があります。
月経のある女性や妊婦は、鉄分の需要が高いため、鉄分が不足しやすくなります。
また、成長期の子どもや青少年も鉄分の需要が増えるため、不足しがちです。
ベジタリアンやヴィーガンは、植物性鉄分の吸収率が低く、不足しやすい傾向があります。
さらに、消化器系の疾患や胃の手術歴がある人も、鉄分の吸収が妨げられることがあります。
激しい運動をするアスリートも、鉄分を失いやすいです。 -
質問:鉄分が豊富な野菜は何ですか?回答:
鉄分が多い野菜には、ほうれん草やケールがあり、これらは非ヘム鉄を含んでいます。
サラダやスムージーに利用されることが多くあります。
他にはブロッコリー、レンズ豆、枝豆、グリーンピースも鉄分が豊富です。
鉄分の吸収を高めるために、ビタミンCを含む食品と一緒に摂取するのが良いでしょう。
イチゴやオレンジなどのフルーツもビタミンCが豊富で、鉄分の吸収を助けます。 -
質問:鉄分の過剰摂取による副作用は何ですか?回答:
鉄分を過剰に摂取すると、消化器系に問題が生じる可能性があります。
腹痛、悪心、嘔吐、下痢などの症状が現れ、慢性的な鉄過剰症では肝臓や心臓、膵臓にダメージを与えることがあります。
ヘモクロマトーシスという状態では、肝硬変や心不全、糖尿病などの重篤な疾患を引き起こす可能性もあり、鉄分の過剰摂取は活性酸素の生成を増加させ、細胞やDNAに損傷を与えることがあります。 -
質問:鉄分が不足すると疲れやすくなりますか?回答:
鉄分が不足すると、エネルギーの生成がうまくいかず、疲れやすくなります。
朝起きにくくなったり、夕方にはエネルギーが切れることがあります。
また、冷え性になりやすくなる傾向もあります。
鉄分の摂取はエネルギーを維持し、疲労を防ぐために重要です。 -
質問:妊婦はどうやって鉄分を摂ればいいですか?回答:
妊婦は胎児の成長と血液の増加に伴い、鉄分を多く摂取する必要があります。
鉄分が不足すると妊娠高血圧症候群や早産のリスクが高まる場合もあります。
赤身の肉や鶏肉、魚介類に含まれるヘム鉄や、豆類、ほうれん草などの植物性食品も重要です。
これらの食品はビタミンCを含む食品と一緒に摂取することで、鉄分の吸収が促進されます。 -
質問:鉄分を含むお菓子はありますか?回答:
鉄分を含むお菓子には、鉄分を強化したシリアルバーやグラノーラバーがあります。
また、濃いチョコレートやカカオを使ったお菓子にも少量の鉄分が含まれていることがあります。
一部のナッツや種子を使ったお菓子も鉄分を提供します。
ですが、お菓子は栄養価が低いため、鉄分の主要な摂取源としては適切ではありません。 -
質問:鉄分が豊富な果物は何ですか?回答:
鉄分が豊富な果物には、干しプルーン、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリーなどがあります。
これらの果物はビタミンCも多く含み、鉄分の吸収を助けます。
ゴールドキウイやグレープフルーツも鉄分とビタミンCが豊富で、鉄分の吸収率を高める理想的な果物です。 -
質問:鉄分の吸収を妨げる飲み物は何ですか?回答:
カルシウムを多く含む飲み物(例:牛乳、ヨーグルト)やコーヒー、紅茶は、鉄分の吸収を妨げることがあります。
カルシウムは鉄分と結びつき、コーヒーや紅茶のタンニンやカフェインも鉄分と結びついて不溶性の化合物を形成し、腸壁での吸収を妨げます。 -
質問:鉄分が豊富な豆類は何ですか?回答:
鉄分が豊富な豆類には、レンズ豆、豆腐、大豆、黒豆、ガルバンゾ豆(ひよこ豆)、アズキ豆、白インゲン豆などがあります。
これらの豆類は、鉄分を多く含み、特にビタミンCを含む食品と一緒に摂取することで、鉄分の吸収率が高まります。
ヴィーガンやベジタリアンにとっても重要な鉄分の摂取源となります。 -
質問:鉄分不足は顔つきに影響しますか?回答:
鉄分が不足すると、顔色が青白く見えたり、肌荒れが起こったりすることがあり、顔つきに影響を及ぼす可能性があります。
鉄分不足によりヘモグロビンが減ると、顔の血色が悪くなり、クマが目立ちやすくなります。
鉄分の摂取は健康な顔色を保つために重要です。
また、鉄分不足は肌荒れの原因にもなり、肌が乾燥してカサカサしたり、ニキビが治りにくくなったりすることもあります。 -
質問:鉄分サプリはどれくらいで効果がありますか?回答:
鉄分サプリメントの効果が現れるまでの期間は個々の体質や鉄分不足の度合いによって異なります。
一般的には、約2~4週間で効果が見られるとされていますが、完全に新しい赤血球が生まれるまでには約3ヵ月かかることが多いです。
適切な摂取タイミングや食事との組み合わせも重要です