クロルプロマジンの成分画像
  • カナ
    クロルプロマジン
  • 英語名
    Chlorpromazine
  • 化学式
    C17H19ClN2S
  • 分子量
    318.86 g/mol

クロルプロマジンの幅広い効果

クロルプロマジンは、統合失調症やその他の精神疾患の治療に使用される向精神薬です。
1950年代に開発された最初の抗精神病薬の一つで、精神医学の歴史に大きな影響を与えました。
現在でも、その効果と安全性から広く使用されています。

クロルプロマジンは主に以下のような症状の改善に効果があります。

  • 幻覚:見えないものが見える、聞こえないものが聞こえるといった症状を軽減します。

  • 妄想:現実にはありえない考えにとらわれる症状を和らげます。

  • 思考の乱れ:考えがまとまらない、話が脈絡なくとぶといった症状を改善します。

  • 興奮状態:落ち着きがなく、過度に活動的になる状態を鎮めます。

精神病としては統合失調症、うつ病、神経症による不安や緊張、抑うつに効果がありますが、他にも悪心や嘔吐、しゃっくりに効果があります。
また、破傷風による痙攣、催眠・鎮静・鎮痛剤の効果を増すために使うこともあります。

副作用と注意点

クロルプロマジンにはいくつかの副作用があります。
主なものは以下の通りです。

  • 錐体外路症状:手足のふるえ、筋肉のこわばり、歩行障害などが現れることがあります。

  • 眠気:日中の眠気や集中力の低下が起こることがあります。

  • 口渇:唾液の分泌が減少し、口の中が乾燥しやすくなります。

  • 便秘:腸の動きが鈍くなり、便秘になりやすくなります。

  • 起立性低血圧:急に立ち上がったときにめまいや失神を感じることがあります。

  • 体重増加:食欲が増加し、体重が増えることがあります。

また、長期使用により遅発性ジスキネジア(口や舌、手足などが不随意に動く症状)が現れることがあるため、定期的な診察と症状のチェックが必要です。

クロルプロマジンの特徴

クロルプロマジンは、比較的強い鎮静作用を持つことが特徴です。
このため、興奮状態の強い患者や不眠を伴う患者に効果的です。
一方で、日中の眠気や集中力低下などの副作用も起こりやすいという面があります。

新しい世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)と比較すると、クロルプロマジンは錐体外路症状などの副作用が出やすい傾向がありますが、陽性症状(幻覚や妄想など)に対する効果は劣りません。
特に、他の薬で十分な効果が得られなかった患者に対して、クロルプロマジンが効果を示すことがあります。
また、クロルプロマジンは比較的安価であり、経済的な面でも利点があります。

クロルプロマジンによる治療は、薬物療法だけでなく、心理社会的支援や生活リズムの調整なども含めた総合的なアプローチの一部として位置づけられることが多いです。
薬による症状の改善と並行して、ストレス管理技術の習得や社会的サポートの確保など、長期的な心の健康を維持するための取り組みも大切です。

よくあるご質問(FAQ)

  • 質問:
    クロルプロマジンは何の薬ですか?
    回答:

    クロルプロマジンは、フェノチアジン系の第一世代抗精神病薬で、1950年代に開発され、統合失調症やその他の精神疾患の治療に使用されています。
    中枢神経系でドーパミン受容体を遮断することで、精神症状を軽減する作用があります。

  • 質問:
    クロルプロマジンはどのような病気に使われますか?
    回答:

    クロルプロマジンは主に統合失調症、双極性障害の躁状態、急性精神病の治療に使用されます。
    また、悪心や嘔吐の抑制、麻酔前投薬、激しい興奮や攻撃性の緩和にも用いられます。
    さらに、ドーパミン遮断作用を通じて、神経伝達物質のバランスを調整し、精神症状を和らげる役割を果たします。

  • 質問:
    クロルプロマジンと飲み合わせに注意する薬は何ですか?
    回答:

    クロルプロマジンは、他の中枢神経系抑制薬、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、血圧降下薬と併用する際に注意が必要です。
    これらの薬との併用は、眠気、ふらつき、低血圧、抗コリン作用による副作用の増強を引き起こす可能性があるためです。
    特にアルコールとの併用は避けるべきであり、他の薬剤と併用する場合は必ず医師に相談することが推奨されています。

  • 質問:
    クロルプロマジンは睡眠薬ですか?
    回答:

    クロルプロマジンは主に抗精神病薬として使用されますが、その鎮静作用により、不眠症の治療にも一部で用いられることがあります。
    ただし、睡眠薬としての使用は一般的ではなく、特に副作用に注意が必要です。
    例えば、眠気やふらつき、長期使用による依存のリスクがあるため、不眠症の治療には他の方法が優先されることが多いです。

  • 質問:
    クロルプロマジンは太りやすい薬ですか?
    回答:

    クロルプロマジンは体重増加を引き起こすことがあります。
    特に、長期間使用すると食欲が増進し、代謝が変化することによって体重が増えるリスクが高まります。
    これは、クロルプロマジンが持つ抗ヒスタミン作用と抗コリン作用が影響していると考えられます。
    体重管理には注意が必要であり、適切な食事と運動が推奨されています。

  • 質問:
    クロルプロマジンの一般名は何ですか?
    回答:

    クロルプロマジンの一般名は「クロルプロマジン塩酸塩」です。
    商標名としては「コントミン」や「ウインタミン」などがあります。
    これらの商品名は、製薬会社や販売地域によって異なる場合がありますが、薬効や副作用は同じです。

  • 質問:
    クロルプロマジンは統合失調症に効果がありますか?
    回答:

    クロルプロマジンは統合失調症の治療に有効です。
    特に、幻覚や妄想といった陽性症状を抑える効果があります。
    クロルプロマジンはドーパミン受容体を遮断することで、これらの症状を軽減します。
    また、鎮静作用もあるため、急性の興奮状態や攻撃性の緩和にも役立ちます。
    このため、統合失調症の患者に対する重要な治療薬として使用されています。

  • 質問:
    クロルプロマジンは不眠症の治療に使えますか?
    回答:

    クロルプロマジンは強い鎮静作用を持つため、不眠症の治療に使われることもありますが、主に抗精神病薬として使用されるため、睡眠薬としての使用は限定的です。
    また、副作用のリスクがあるため、他の治療法が優先されることが多いです。

  • 質問:
    クロルプロマジンの副作用は何がありますか?
    回答:

    クロルプロマジンの副作用には、眠気、ふらつき、便秘、体重増加、口渇、低血圧などがあります。
    さらに、悪性症候群や錐体外路症状(手の震え、筋肉のこわばり)などの重篤な副作用も報告されています。
    特に長期間使用すると、これらの副作用のリスクが高まるといわれています。

  • 質問:
    クロルプロマジンの適切な投与量はどれくらいですか?
    回答:

    クロルプロマジンの適切な投与量は、一般的な成人の場合、統合失調症およびその他の精神病症状に対しては、通常1日30~100mgを分割して経口投与します。
    精神科領域において用いる場合には、通常1日50~450mgを分割して経口投与します。
    小児および高齢者などの年齢や、症状により適宜増減しながら処方されます。

  • 質問:
    クロルプロマジンの作用機序は何ですか?
    回答:

    クロルプロマジンの作用機序は、主にドーパミン受容体の遮断に基づいています。
    クロルプロマジンは、フェノチアジン系抗精神病薬の一つであり、まず中枢神経系のドーパミンD2受容体を競合的に遮断します。
    これにより、ドーパミンの神経伝達が抑制され、統合失調症の陽性症状(幻覚や妄想など)が軽減されます。
    また、クロルプロマジンは他の神経伝達物質の受容体にも作用します。
    具体的には、セロトニン5-HT2受容体、ヒスタミンH1受容体、アルファ1アドレナリン受容体、およびムスカリン性アセチルコリン受容体を遮断します。

  • 質問:
    クロルプロマジンは妊娠中に使用しても安全ですか?
    回答:

    クロルプロマジンは、妊娠中には使用しないことが望ましいとされています。
    動物実験では胎児に対する毒性が報告されており、特に妊娠後期に使用すると、新生児に哺乳障害や傾眠、呼吸障害、錐体外路症状などの問題が現れる可能性があります。
    ヒトにおける安全性も完全には確立されていないため、妊娠中にクロルプロマジンを使用する必要がある場合は、必ず医師と相談し、リスクとベネフィットを慎重に評価することが重要です。

  • 質問:
    クロルプロマジンと他の抗精神病薬との違いは何ですか?
    回答:

    クロルプロマジンは第一世代の定型抗精神病薬であり、ドーパミンD2受容体を強力に遮断します。
    これに対して、第二世代の非定型抗精神病薬は、ドーパミンD2受容体だけでなくセロトニン受容体も遮断し、副作用が少ないことが特徴です。
    クロルプロマジンは副作用が多く、重篤な副作用のリスクも高いため、現代では使用が減少しています。

  • 質問:
    クロルプロマジンの効果が現れるまでの時間はどれくらいですか?
    回答:

    急性の不安や興奮状態に対しては、クロルプロマジンの効果は比較的迅速に現れます。
    経口投与の場合、30分から2時間以内に鎮静効果が感じられることがあります。
    統合失調症や双極性障害の陽性症状(幻覚や妄想)の改善については、効果が現れるまでに約数日~数週間かかることが一般的です。
    初期投与後1週間以内に効果が見られることが多いですが、大きな効果を得るためには数週間の継続的な治療が必要です。

  • 質問:
    クロルプロマジンの薬価はどれくらいですか?
    回答:

    クロルプロマジンの薬価は、日本において用量や製造メーカーによって異なります。
    一般的な例として、2024年4月の薬価改定後、クロルプロマジン塩酸塩錠25mg「ツルハラ」の薬価は1錠あたり約9.4円です。
    また、注射液の場合、コントミン筋注50mg(1%5mL1管)の薬価は1管あたり約96.0円となります。

  • 質問:
    クロルプロマジンの効果が持続する期間はどれくらいですか?
    回答:

    クロルプロマジンの半減期は、約11.7時間と比較的長いため、効果の持続期間も長いと言えます。
    具体的な持続時間は個人差がありますが、定期的な服用によって安定した効果が期待されると言われています。

  • 質問:
    クロルプロマジンはどのように服用すれば良いですか?
    回答:

    クロルプロマジンは通常、経口投与で服用されます。
    通常成人は1日30~100mgを分割して経口投与され、精神科領域においては、1日50~450mgを分割経口投与されます。
    服用方法については、医師の指示に従うようにしましょう。

  • 質問:
    クロルプロマジンの長期使用による影響は何ですか?
    回答:

    クロルプロマジンの長期使用により、体重増加、糖尿病、高脂血症、錐体外路症状(手の震え、筋肉のこわばり)などの副作用が生じるリスクがあります。
    また、遅発性ジスキネジアと呼ばれる不随意運動が発生することもあります。
    長期使用に際しては、定期的な健康チェックと医師の監督が重要です。

  • 質問:
    クロルプロマジンとアルコールの併用は大丈夫ですか?
    回答:

    クロルプロマジンとアルコールの併用は推奨されていません。
    クロルプロマジンは中枢神経系に作用する抗精神病薬であり、アルコールも中枢神経系に影響を与えるため、併用することで相乗効果が生じ、いくつかの問題が発生する可能性があります。
    まず、中枢神経系の抑制作用が強まり、過度の眠気、混乱、集中力の低下、運動失調などの副作用が悪化する可能性があります。
    また、アルコールはクロルプロマジンの代謝を遅らせることがあり、これにより薬剤の血中濃度が上昇し、副作用のリスクがさらに高まります。
    さらに、アルコールは肝臓で代謝されるため、クロルプロマジンと併用することで肝臓への負担が増大し、肝機能障害のリスクも高まります。

  • 質問:
    クロルプロマジンはうつ病の治療に効果がありますか?
    回答:

    クロルプロマジンは、主に統合失調症や双極性障害などの精神病の治療に使用される抗精神病薬であり、うつ病の治療には一般的に使用されません。
    クロルプロマジンはドーパミン受容体を遮断することで精神病症状を緩和します。
    具体的には、統合失調症の陽性症状(幻覚や妄想)や双極性障害の躁症状の管理に役立つとされています。
    うつ病に対する使用に関しては、クロルプロマジンは直接的な効果を持たないため、一般的な治療法としては推奨されていません。
    うつ病の治療には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)などの抗うつ薬が一般的に使用されます。