イミプラミンの成分画像
  • カナ
    イミプラミン
  • 英語名
    Imipramine
  • 化学式
    C19H24N2
  • 分子量
    280.407 g/mol

イミプラミンの効果と用途

イミプラミンは、三環系抗うつ薬の一種で、うつ病の治療に広く使用されてきた薬剤です。
1950年代に開発され、長年にわたり臨床で使用されてきた歴史があります。
現在でも、特定の症例において重要な役割を果たしています。

イミプラミンの主な用途は以下の通りです。

  • うつ病の治療
  • パニック障害の治療
  • 遺尿症(夜尿症)の治療
  • 慢性疼痛の管理

イミプラミンは脳内の神経伝達物質、特にノルアドレナリンとセロトニンの濃度を調整することで効果を発揮し、気分の改善や不安症状の軽減を行います。

うつ病の治療では、効果が現れるまでに時間がかかります。
通常、少量から開始し、徐々に増量していく方法を取ります。
これは副作用のリスクを減らし、最適な用量を見つけるためです。

イミプラミンの特徴

イミプラミンには、他の抗うつ薬にはない特徴があります。

  • 強力な抗うつ効果:重度のうつ病に対しても効果的です。

  • 鎮静作用:不安や不眠を伴ううつ病に有効です。

  • 慢性疼痛への効果:神経障害性疼痛などの慢性疼痛の管理にも使用されます。

  • 遺尿症治療:小児の夜尿症の治療に効果があります。

イミプラミンは、長年にわたって使用されてきた薬であり、その効果と安全性について多くの研究データが蓄積されています。
しかし、患者の状態や他の健康上の問題、服用中の他の薬剤などを考慮して、慎重に使用する必要があります。

注意したい副作用

イミプラミンにも他の薬と同様に副作用があります。
よく見られる副作用には以下のようなものがあります。

  • 口の渇き
  • 便秘
  • 眠気
  • めまい
  • 霧視(物がぼやけて見える)
  • 体重増加
  • 発汗増加
  • 性機能障害

これらの副作用の多くは軽度で、時間とともに改善することが多いです。
イミプラミンには、より深刻な副作用のリスクもあります。

  • 心臓への影響:不整脈や血圧の変動を引き起こす可能性があります。

  • 痙攣発作のリスク増加

  • 緑内障の悪化

  • 尿閉:特に前立腺肥大がある男性で起こりやすいです。

高齢者は若い人に比べて副作用のリスクが高くなる可能性があります。
特に、転倒のリスクが高まるので注意が必要です。

服用中止時の注意点

イミプラミンの服用を突然中止すると、離脱症状が現れることがあります。
よくある離脱症状には以下のようなものがあります。

  • 吐き気
  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 睡眠障害
  • 不安感の増大

これらの症状を避けるため、服用をやめる際は必ず医師と相談し、徐々に減量していく方法をとりましょう。
自己判断で急に中止するのは避けてください。

よくあるご質問(FAQ)

  • 質問:
    イミプラミンは何の薬ですか?
    回答:

    イミプラミンは三環系抗うつ薬のひとつです。
    抗うつ薬には三環系、四環系、SSRI、SNRI、NaSSAの5つのグループがあり、化学構造や作用機序によって分類されています。
    脳内において、セロトニンやノルアドレナリンの取り込みを阻害することでレセプターの刺激が増強され、抗うつ作用を発揮します。
    三環系抗うつ薬は最も古い薬ですが、新しい薬と比べて安価で経済的な負担が少なく、人によっては新しい薬よりも効果がある場合もあります。

  • 質問:
    イミプラミンの商品名は何ですか?
    回答:

    イミプラミンは、三環系抗うつ薬の一種で、総称名は「イミドール」です。
    田辺三菱製薬から販売されており、商品名は「イミドール糖衣錠10mg」9.8円/錠、「イミドール糖衣錠25mg」10.1円/錠です。
    また、アルフレッサファーマからは総称名「トフラニール」で販売されており、商品名は「トフラニール錠10mg」9.8円/錠、「トフラニール25mg」10.1円/錠となっています。

  • 質問:
    イミプラミンとアミトリプチリンの違いは何ですか?
    回答:

    イミプラミンとアミトリプチリンの違いは、アミトリプチリンの方がヒスタミンH1受容体とムスカリンM受容体を阻害する作用が強い点です。
    ヒスタミンH1受容体の阻害により中枢神経が抑制され、眠気や倦怠感が起こります。
    また、ムスカリンM受容体の阻害により副交感神経の作用が抑制されます。
    アミトリプチリンは抗うつ作用に加え、片頭痛予防、緊張型頭痛予防、神経障害性疼痛、不安にも使用されます。

  • 質問:
    イミプラミンの副作用は何ですか?
    回答:

    イミプラミンの主な副作用には、口渇、眠気、めまい、立ちくらみ、便秘などがあります。
    服用初期には不安感や焦燥感、気分の高揚やいらだちなどの気分障害が現れることがあります。
    重度の副作用には、イレウス、セロトニン症候群、血液障害、悪性症候群、不整脈などがあります。
    これらの症状が出た場合は、すぐにかかりつけ医に相談し、自己判断せずに適切な対応を受けることが重要です。

  • 質問:
    イミプラミンの作用機序は何ですか?
    回答:

    イミプラミンの作用機序は完全には明らかにされていませんが、セロトニンやノルアドレナリンのシナプス間での取り込みを阻害することで、これらの神経伝達物質の機能を高め、抗うつ作用を発揮すると考えられています。
    しかし、セロトニンやノルアドレナリンの取り込みを阻害するだけでなく、ヒスタミン受容体やムスカリン受容体、アドレナリン受容体も阻害するため、口渇、便秘、血圧低下などの副作用が発現することがあります。

  • 質問:
    イミプラミンは緑内障に効果がありますか?
    回答:

    イミプラミンは緑内障には効果がなく、緑内障のある方への投与は禁忌です。
    イミプラミンの抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状が悪化する可能性があります。
    抗コリン作用は、副交感神経を抑制し、眼圧上昇などを引き起こすため、緑内障患者への投与は慎重に行う必要があります。

  • 質問:
    イミプラミンの禁忌はありますか?
    回答:

    イミプラミンを投与する際は、禁忌事項に注意が必要です。
    閉塞隅角緑内障の方は、抗コリン作用により眼圧が上昇し症状が悪化する可能性があるため、使用を避けるべきです。
    また、尿閉のある方も抗コリン作用によって症状が悪化する場合があります。
    心疾患のある方は、イミプラミンの使用が影響を与える可能性があるため、主治医に相談する必要があります。
    さらに、MAO阻害剤を投与中、または投与中止後2週間以内の方も禁忌です。脳内でのノルアドレナリンやセロトニンの神経伝達が過剰に高まり、セロトニン症候群を引き起こす可能性があります。

  • 質問:
    イミプラミンの一般名は何ですか?
    回答:

    イミプラミンの一般名は「イミプラミン塩酸塩」で、総称名は「イミドール」です。
    薬効分類名はうつ病・うつ状態治療剤および遺尿症治療剤となっています。
    承認情報として、田辺三菱製薬から「イミドール糖衣錠10mg」9.8円/錠、「イミドール糖衣錠25mg」10.1円/錠が販売されています。

  • 質問:
    イミプラミンの活性代謝物は何ですか?
    回答:

    イミプラミンは活性代謝物であるデシプラミンに代謝されます。
    主にCYP2C19によって代謝され、この酵素はイミプラミンのほか、フェニトイン、ジアゼパム、クロバザム、アミトリプチリン塩酸塩、セルトラリン塩酸塩、メチルフェニデートなどの代謝も担っています。
    これにより、うつ病、てんかん、注意欠陥多動性障害などの治療に適用されます。

  • 質問:
    イミプラミンの適切な投与量はどれくらいですか?
    回答:

    イミプラミンの適切な投与量は疾患によって異なります。
    うつ病の場合、イミプラミン10mg錠では成人に1日30~70mgから開始し、効果が得られにくい場合は1日200mgまで増量します。
    遺尿症の場合、学童には1日30~50mgを経口投与します。
    イミプラミン25mg錠では、成人に1日25~75mgから開始し、同様に効果が得られない場合は増量を検討します。
    遺尿症の場合、学童には1日25~50mgを内服します。年齢や症状に応じて投与量は適宜調整されます。

  • 質問:
    イミプラミンを服用する際の注意点は何ですか?
    回答:

    イミプラミンを服用する際は、開放隅角緑内障や排尿障害のある方は使用を避けましょう。
    抗コリン作用により症状が悪化する恐れがあるため、医師に現在の身体症状や既往歴を正確に伝えることが重要です。
    また、イミプラミンは低血圧を引き起こすことがあるので、もともと低血圧の方は注意が必要です。
    てんかんの既往歴がある方は、痙攣を引き起こす可能性があります。
    重篤な腎障害のある方は排尿障害によって副作用が出やすくなるため、注意が必要です。

  • 質問:
    イミプラミンと他の抗うつ薬との違いは何ですか?
    回答:

    イミプラミンは三環系抗うつ薬であり、脳内のセロトニン・ノルアドレナリンの活性を高めることで抗うつ効果を期待できます。
    副作用としては、抗ヒスタミン作用による体重増加や眠気、抗コリン作用による口渇や便秘などがあります。
    他にも、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)などの新しい抗うつ薬があり、これらは三環系抗うつ薬に比べて副作用が少ないのが特徴です。

  • 質問:
    イミプラミンの効果が現れるまでの時間はどれくらいですか?
    回答:

    イミプラミンは三環系抗うつ薬の一種ですが、効果が現れるまでに約1~2週間かかります。
    これは三環系抗うつ薬の欠点であり、効果を実感する前に副作用が先に出ることがあります。
    服用は少量から開始し、効果が得られない場合は徐々に増量していきますが、効果を感じるまでに時間がかかるため、副作用が出たからといってすぐに中断せず、他の薬と併用しながら症状を軽減することが重要です。

  • 質問:
    イミプラミンの薬価はどれくらいですか?
    回答:

    イミプラミンは、脳内のノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みを阻害します。
    田辺三菱製薬から販売されている「イミドール糖衣錠10mg」は9.8円/錠、「イミドール糖衣錠25mg」は10.1円/錠です。
    また、アルフレッサファーマからは「トフラニール錠10mg」が9.8円/錠、「トフラニール錠25mg」が10.1円/錠で販売されています。

  • 質問:
    イミプラミンの効果が持続する期間はどれくらいですか?
    回答:

    イミプラミンの血漿中半減期は9~20時間ほどであり、効果の持続は個人差がありますが、半日は効果を感じることができるでしょう。
    ただし、効果を実感するまでに時間がかかるため、定期的に受診しながら薬剤の量を調整していく必要があります。
    副作用が早く出ることがあるため、症状が出た場合は自己判断せず、医師に相談するようにしましょう。

  • 質問:
    イミプラミンは睡眠障害の治療に効果がありますか?
    回答:

    イミプラミンは三環系抗うつ薬であり、適応はうつ病・うつ状態および遺尿症です。
    睡眠障害を理由に使用することはできません。
    抗ヒスタミン作用による眠気が出る可能性があるため、車の運転や危険物の取り扱いには注意が必要です。
    睡眠障害にはゾルピデムやゾピクロンなど様々な睡眠薬があるので、自分に合った薬剤を医師に相談して見つけましょう。

  • 質問:
    イミプラミンに耐性が出る可能性はありますか?
    回答:

    イミプラミンに耐性が出る可能性は低いとされています。
    抗うつ薬は中毒症状が起きにくいとされていますが、三環系抗うつ薬は効果を得るのに時間がかかるため、副作用が先に出ることがあります。
    そのため途中で中断する方もいますが、中断すると離脱症状が出ることがあるため、自己判断で中断せずに医師に相談することが大切です。

  • 質問:
    イミプラミンは他の薬剤と併用できますか?
    回答:

    イミプラミンは、MAO阻害剤を使用している方には禁忌です。
    MAO阻害剤としては、セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩などがあり、これらはドパミンの分解を阻害し、パーキンソン病の症状を改善します。
    これらの薬を投与中、または投与中止後2週間以内の患者には、イミプラミンを使用することはできません。

  • 質問:
    イミプラミンは年齢に関係なく服用できますか?
    回答:

    イミプラミンには基本的に年齢制限はありませんが、24歳以下では抗うつ薬の投与によって自殺念慮や自殺企図のリスクが増加するとの報告があります。
    そのため、薬のリスクと症状改善の効果を十分に考慮して使用することが重要です。
    また、投与中は定期的に受診し、医師による全身状態の観察を受けることが大切です。