カルバマゼピンの成分画像
  • カナ
    カルバマゼピン
  • 英語名
    Carbamazepine
  • 化学式
    C15H12N2O
  • 分子量
    236.269 g/mol

てんかんの治療効果としてのカルバマゼピン

カルバマゼピンは、てんかんや三叉神経痛の治療に広く使われる薬の成分です。
また、双極性障害の躁状態の治療にも用いられることがあります。
脳内の神経細胞の過剰な興奮を抑える働きがあり、発作や痛みの軽減に効果を示します。

カルバマゼピンは、てんかんの特に部分発作と全般性強直間代発作に対して高い効果を発揮します。
これらの発作タイプでは、発作の頻度や強さを減らせます。

てんかんの新規診断患者に対して、カルバマゼピンが第一選択薬として使用されることも多いです。
長年の使用実績があり、その効果と安全性が広く認められています。

小児から成人まで幅広い年齢層で使用可能ですが、特に成人の部分てんかんの治療では重要な役割を果たしています。

三叉神経痛への応用

三叉神経痛は、顔の激しい痛みを特徴とする神経の病気です。
カルバマゼピンは、この痛みの軽減に非常に効果的です。

多くの患者で、カルバマゼピンの服用により痛みが大幅に軽減されます。
痛みの発作回数が減ったり、痛みの強さが弱まったりする効果が期待できます。

ただし、すべての患者に効果があるわけではありません。
また、長期使用で効果が弱まることもあるため、定期的な効果の確認が必要になってきます。

服用方法と生活上の注意

カルバマゼピンは通常、服用を始めてから効果が現れるまでに時間がかかることがあります。
また、突然服用を中止すると、発作が増えたり症状が悪化したりする可能性があります。
医師の指示なしに自己判断で中止しないようにしましょう。

カルバマゼピンを服用中は、アルコールの摂取に注意が必要です。
アルコールによって薬の効果が弱まったり、眠気などの副作用が強くなったりする可能性があるからです。

また、日光に当たると皮膚が敏感になることがあります。
外出時は日焼け止めを使用し、直射日光を避けるなどの対策をとりましょう。

運転や機械操作を行う際は注意が必要です。
特に服用開始時や増量時は眠気や目のかすみが生じることがあるため、これらの作業は控えめにしましょう。

副作用と注意点

カルバマゼピンにも他の薬と同様に副作用があります。
比較的多い副作用としては以下があります。

  • めまい
  • 眠気
  • 吐き気
  • 視覚の乱れ

これらの症状は多くの場合、時間とともに軽減します。
まれに重い副作用として、肝機能障害や血液障害が起こることがあります。
発熱、発疹、喉の痛み、倦怠感などの症状が現れた場合は、すぐに医師に相談してください。

カルバマゼピンを含有する医薬品

テグレトール200mgの商品画像
販売価格 1,380円~
1錠 55円~

テグレトール200mgとは テグレトール200mgは、カルバマゼピンを有効成分とする抗痙攣薬です。 1錠にカルバマゼピン200mgを含有し、てんかん発作の抑制や三叉神経痛の疼痛緩和に効果があります。 また、躁うつ病の躁状態の治療にも使用されることがあります。 てんかんは、脳内の神経細胞が過剰興奮することで引き起こされる...

有効成分
カルバマゼピン

よくあるご質問(FAQ)

  • 質問:
    カルバマゼピンはどのような疾患に使用されますか?
    回答:

    カルバマゼピンは、てんかん、躁病、統合失調症興奮状態、躁病の躁状態、三叉神経痛などに使用されます。
    神経興奮伝達の物質として、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、塩化物イオンなどがあります。
    カルバマゼピンは、神経細胞におけるナトリウムイオンチャネルを阻害することで、細胞内へのナトリウムイオンの流れを抑制し、異常な興奮を抑える作用があります。
    この作用によって、てんかんや躁病、興奮状態などの改善の効果が期待できます。

  • 質問:
    カルバマゼピンの副作用は何がありますか?
    回答:

    カルバマゼピンの副作用には、眠気やふらつき、倦怠感、発疹、掻痒感、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、発熱、顔面腫脹、水疱、血小板減少、無顆粒球症、肝機能障害による黄疸、皮膚、眼球結膜の黄染などがあります。
    このような症状が現れた場合は、服用を中断し、すぐに医師に相談する様にしましょう。
    カルバマゼピンを内服中は、定期的な受診をすることで副作用症状を早期に発見できる可能性があります。

  • 質問:
    カルバマゼピンの効果が現れるまでの時間はどれくらいですか?
    回答:

    カルバマゼピンの効果が現れるまでには、約10日かかります。
    ですが、個人差があるため、あくまでも目安となります。
    カルバマゼピンは、即効性の薬剤ではないため、薬剤の効果を感じるには多少時間がかかります。
    すぐ効果を感じられる方もいますが、ゆっくり効果を感じる方が多いように思われます。
    効果を感じられないからといって、自己判断で用量を増やしたりしない様に注意しましょう。
    副作用症状が出現する可能性が高くなります。

  • 質問:
    カルバマゼピンの適切な投与量はどれくらいですか?
    回答:

    カルバマゼピンの適切な投与量は、疾患によって異なります。
    精神運動発作、てんかんに伴う精神障害、てんかんの痙攣発作、強直間代発作、躁病、躁うつ病の躁状態、統合失調症の興奮状態の場合の場合は、成人は1日量200から400mgを経口投与し、効果が得られるまで徐々に増量します。
    増量できる量は、最大1日1,200mgまでです。
    三叉神経痛の場合、成人は1日量200から400mgから投与し、症状により1日800mgまで増量することができます。

  • 質問:
    カルバマゼピンはどのように服用すればよいですか?
    回答:

    てんかんの場合、成人はカルバマゼピン100~200mgを1日2回、または1回200~400mgを1日1回から始め、症状により1日600mgまで徐々に増量します。
    1日の最大量は、1,200mgまで増やすことができます。
    小児は、1日カルバマゼピン100~600mgを小分けにして服用します。
    躁病の場合、成人はカルバマゼピン100~200mgを1日2回、または1回200~400mgを1日1回から始め、症状により1日600mgまで徐々に増量し、1日1,200mgまで最高で増やすことができます。

  • 質問:
    カルバマゼピンの血中濃度の正常値は何ですか?
    回答:

    カルバマゼピンの血中濃度の正常値は4~12μg/mLです。
    カルバマゼピンの採血をするタイミングは、次回カルバマゼピンを内服する直前に採血をすることが大切です。
    カルバマゼピンは、抗てんかん薬であり、脳の中枢に作用して、てんかんのけいれん発作を抑え、精神神経症状を抑えます。
    末梢から採血を取ることに意義があり、抗てんかん効果は脳内濃度に依存し,末梢濃度と平行関係にあるため、定期的に採血をすることが重要となります。

  • 質問:
    カルバマゼピン中毒になる濃度はどれくらいですか?
    回答:

    カルバマゼピン中毒になる濃度は約8μg/mLからとなります。
    血中濃度が8μg/mLになると、眠気、悪心・嘔吐、眼振、複視が出現する可能性があります。
    カルバマゼピンの有効血中濃度は5~10 μg/mLであるため、定期的に採血を行い、血中濃度を測定することが重要となります。
    また、万が一、副作用と思われるような症状が出現した場合は医師に相談しましょう。
    投与量の減量や他の薬剤への変更を検討する可能性があります。

  • 質問:
    カルバマゼピンは神経痛にも効果がありますか?
    回答:

    カルバマゼピンは、三叉神経痛に対して効果があります。
    三叉神経痛とは、顔面の一部に発作性の電撃痛、激痛が繰り返し起こります。
    発作は話しをしている最中や、食事、顔を洗っている時、歯磨きなどの顔面の運動や冷たい風があたるなどの刺激で誘発されるのが特徴です。
    原因としては、脳の動脈が顔面の感覚をつかさどる三叉神経を圧迫するためとされています。
    治療法にはカルバマゼピンの他、手術や神経ブロック、ガンマナイフなどがあります。

  • 質問:
    カルバマゼピンは太りやすくなりますか?
    回答:

    カルバマゼピンは抗てんかん薬ですが、抗てんかん薬は体重減少するものと体重増加するものに分かれます。
    カルバマゼピンは体重増加しやすい抗てんかん薬のひとつであり、長期的に服用することで体重が増える傾向にあります。
    しかし、体重増加の原因ははっきりしておらず、諸説には食欲の亢進や、糖の代謝を調節するインスリンというホルモンのバランスが崩れるためという報告があります。
    発作が改善されていれば、副作用よりメリットが大きい場合もあるため、自己判断で中断せず、医師に相談することが大切です。

  • 質問:
    カルバマゼピンと他の抗てんかん薬との違いは何ですか?
    回答:

    カルバマゼピンは部分てんかん発作の第一選択薬です。
    また、気分調整薬や三叉神経痛の治療にも効果があります。
    他の抗てんかん薬としては、フェニトインがあり、フェニトインは部分てんかん発作だけでなく、全般のてんかん強直発作にも有効です。
    てんかん重積や内服ができない場合には、注射として使用することができます。
    フェノバルビタールという抗てんかん薬は、けいれん発作に有効で、フェニトインと同様にてんかん重積時に注射剤や座薬として使用できます。
    このように、疾患や症状に応じて抗てんかん薬を使い分けながら治療が行われています。

  • 質問:
    カルバマゼピンの代謝経路はどのようになっていますか?
    回答:

    カルバマゼピンはまず消化管から緩やかに吸収され、1回の投与では最高血中濃度が4~24時間後に達します。
    カルバマゼピンの70~80%は血漿蛋白と結合し、唾液中の未変化体濃度は血漿中の非蛋白結合型カルバマゼピンを反映します。
    未変化体の尿中排泄率は、1回の投与、または繰り返しの投与にかかわらず投与量の2~3%とわずかであり、主に薬理活性のあるカルバマゼピンエポキシドなどの代謝物として排泄されます。

  • 質問:
    カルバマゼピンの薬価はどれくらいですか?
    回答:

    共和薬品工業のカルバマゼピンは、カルバマゼピン細粒50%が22.2円/g、カルバマゼピン錠200mgが10円/錠、カルバマゼピン錠100mgが5.7円/錠です。
    藤永製薬のカルバマゼピンは、カルバマゼピン細粒50%が22.2円/g、カルバマゼピン錠200mgが8.3円/錠、カルバマゼピン錠100mgが5.7円/錠です。
    サンファーマのカルバマゼピン(テグレトール)は、細粒50%が22.2円/g、テグレトール錠200mgが8.2円/錠、テグレトール錠100mgが5.9円/錠となっています。

  • 質問:
    カルバマゼピンの服用を中止する際の注意点は何ですか?カルバマゼピンの服用を中止する際の注意点は何ですか?
    回答:

    カルバマゼピンの服用を中止する際の注意点として、カルバマゼピンの成分または三環系抗うつ剤で過敏症のある方、血液障害のある方、第二度以上の房室ブロックや徐脈のある方は使用が禁忌となっています。
    また、カルバマゼピンを長期的に服用する場合は、定期的に肝機能や腎機能、血液検査を受けることが大切です。
    定期的に受診することで、身体の状態を評価することができます。
    カルバマゼピンには眠気や複視、注意力の低下などの副作用があるため、服用中は車の運転や危険物の取り扱いに注意が必要です。

  • 質問:
    カルバマゼピンの過剰摂取時の対処法は何ですか?
    回答:

    カルバマゼピンを大量に摂取してしまった場合、すぐに病院を受診するようにしましょう。
    過剰摂取によって意識障害、傾眠傾向、呼吸抑制、深昏睡、痙攣重積、呼吸停止、徐脈性不整脈などが起こる可能性があります。
    もし過剰投与して1時間以内であれば、胃洗浄を行うことで薬剤を取り除くことができるかもしれません。
    しかし、時間が経過すると吸収されてしまうため、早めの受診が重要です。

  • 質問:
    カルバマゼピンの血中濃度を測定する必要がありますか?
    回答:

    カルバマゼピンの血中濃度を測定する必要があります。
    カルバマゼピンの有効血中濃度は5~10mcg/mLであり、この値を超えると中毒症状が現れる可能性があります。
    中毒症状には意識障害や傾眠傾向、呼吸抑制、深昏睡、痙攣重積、呼吸停止、徐脈性不整脈などが含まれます。
    そのため、カルバマゼピンを長期的に服用している方は定期的に受診し、採血を行うことで適切な血中濃度を保ちながら薬剤を調整することができます。

  • 質問:
    カルバマゼピンは高齢者に使用しても安全ですか?
    回答:

    カルバマゼピンは高齢者に使用されることがありますが、高齢者は生理機能が低下しているため、慎重に投与する必要があります。
    そのため、投与を開始する際は低用量から始め、効果の判定をしながら徐々に増量します。
    また、定期的な受診によりカルバマゼピンの副作用の早期発見に繋がり、重大な副作用の進行を未然に防ぐことができます。
    高齢者は代謝機能の低下により薬剤が体内に留まりやすくなるため、定期的に血中濃度を測定しながら慎重に投与することが重要です。

  • 質問:
    カルバマゼピンは依存性がありますか?
    回答:

    カルバマゼピンの毒性には用量依存性と用量非依存性があります。
    用量依存性には、めまいや複視などの中枢神経の症状があります。
    用量非依存性には、血液疾患や悪心、嘔吐、眼振、食欲不振などの胃腸障害が含まれます。
    カルバマゼピンの有効血中濃度は5~10mcg/mLであるため、定期的に採血を行い、血中濃度を測定することが重要です。
    この濃度を超えると中毒症状が現れる可能性が高くなるので、注意が必要です。

  • 質問:
    カルバマゼピンは薬物相互作用がありますか?
    回答:

    カルバマゼピンは薬物相互作用があります。
    ボリコナゾール、タダラフィル、リルピビリン、マシテンタン、チカグレロル、エンシトレルビル、ソホスブビル・ベルパタスビルなどは血中濃度が減少し、効果が弱まります。
    一方、ニルマトレルビル・リトナビル、クエチアピン、イトラコナゾール、テラプレビル、クロバザム、パロキセチンなどは血中濃度を上昇させます。
    そのため、これらの薬剤を内服している方は医師に相談し、適切な処方を受けるようにしましょう。

  • 質問:
    カルバマゼピンはてんかん以外にも適用できますか?
    回答:

    カルバマゼピンはてんかん以外にも適応されることがあります。
    適応される疾患として、双極性障害、片頭痛、三叉神経痛、パーキンソン病などがあります。
    カルバマゼピンには鎮痛作用があるため、片頭痛や三叉神経痛の治療にも効果があり、臨床でも使用されています。
    また、精神神経疾患の患者さんに対して様々な薬物療法を行っても十分な効果が得られない場合、カルバマゼピンが抗てんかん薬以外の効果を発揮することがあり、使用が検討されることがあります。

  • 質問:
    カルバマゼピンに耐性が出る可能性はありますか?
    回答:

    カルバマゼピンに耐性が出る可能性があります。
    ビクテグラビル(インテグラーゼ阻害薬)やテノホビルアラフェナミド(カテプシンA、CYP3A、P-gpの基質)は血漿中濃度が低下し、カルバマゼピンの効果が減弱するため、耐性が発現する可能性があります。
    そのため、長期的に服用することで効果が得られにくくなることが考えられます。
    医師に相談し、別の薬剤への変更や用量の調整を検討してもらいましょう。
    効果が得られないからといって、自己判断で過剰服用することは避けてください。