フルオキセチンの成分画像
  • カナ
    フルオキセチン
  • 英語名
    Fluoxetine
  • 化学式
    C17H18F3NO
  • 分子量
    309.3261 g/mol

フルオキセチンの特徴と適応症

フルオキセチンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる薬です。
その登場は精神医療に革命をもたらしていますが、日本では厚生労働省未承認の処方箋医薬品です。

フルオキセチンの特徴的な点は、その長い半減期です。
体内での代謝に時間がかかるため、効果が長く持続します。
そのため、服薬を忘れた際のリスクが低減されます。

フルオキセチンは体内で代謝されてノルフルオキセチンになりますが、この代謝物も抗うつ作用を持っています。
このため、薬の効果がより長く持続します。

適応症の幅広さにも注目です。
うつ病以外にも、フルオキセチンは様々な精神疾患の治療に用いられます。

  • 摂食障害
    特に神経性大食症(過食症)の治療に効果があります。

  • 強迫性障害
    繰り返される強迫観念や強迫行為を軽減します。

  • 月経前不快気分障害
    月経前の気分の変動や身体症状を改善します。

フルオキセチンの副作用と対処法

フルオキセチンにも副作用はありますが、多くは一時的なものです。

  • 食欲変化
    食欲不振や逆に食欲増進が起こることがありますが、規則正しい食事を心がけることで対処できます。

  • 睡眠への影響
    不眠や眠気が生じる場合があります。
    就寝時間を一定にし、睡眠環境を改善することで軽減できることがあります。

  • 性機能への影響
    性欲低下や性機能障害が起こることがあります。
    医師と相談し、用量調整や他の薬剤への変更を検討することもあります。

フルオキセチンが服用できる人

普通、薬は小児や高齢者、妊婦への使用が禁止、あるいは懸念されるものが多いのですが、フルオキセチンの場合は少し違います。

フルオキセチンは、小児のうつ病治療に FDA(アメリカ食品医薬品局)の承認を受けている数少ない抗うつ薬の一つですし、高齢者でも比較的安全に使用できます。
ただし、高齢者の場合は低用量から開始し、慎重に増量します。

また、他の抗うつ薬と比較して、妊娠中の使用に関するデータが多くあります。
自身や胎児に対し、どのような影響があるか明確です。

使用上の注意点

フルオキセチンを服用する際には、以下の点に注意しましょう。

  • セロトニン症候群
    他のセロトニン作用薬との併用には注意が必要です。
    発熱、筋硬直、意識障害などの症状が現れた場合は緊急対応が必要です。

  • 休薬症候群
    長期服用後の急な中止は避けるべきです。
    徐々に減量する必要があります。

フルオキセチンは、薬物療法だけでなく心理療法や生活習慣の改善など、総合的なアプローチを組み合わせることで、より効果的な治療成果が期待できます。

よくあるご質問(FAQ)

  • 質問:
    フルオキセチンは何の薬ですか?
    回答:

    フルオキセチンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に分類される抗うつ薬の1つです。
    アメリカ合衆国のイーライリリー・アンド・カンパニーから商品名プロザック(Prozac)として発売されています。
    日本国内では、厚生労働省未承認の処方箋医薬品であり、保険調剤報酬として掲載・販売はありません。
    主にうつ病、強迫性障害、摂食障害に使用されています。
    副作用としては、吐き気(21.1%)、頭痛(20.9%)、神経痛(14.9%)、自殺リスクがあります。

  • 質問:
    フルオキセチンの副作用は何ですか?
    回答:

    主な副作用は、睡眠障害、頭痛、動悸、便秘、発疹、倦怠感などがあります。
    重大な副作用として、重篤な副作用として、アナフィラキシーショック、セロトニン症候群などの症状が現れる場合があります。
    アナフィラキシーショックになると全身にあらゆる症状が発現しますが、症状には軽症、中等症、重症と3段階あります。
    特に重症の場合、意識がなくなる場合もありますので、体調に異変を感じたら服用を中止し、すぐに受診しましょう。

  • 質問:
    フルオキセチンの効果は何ですか?
    回答:

    フルオキセチンは選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に分類される抗うつ薬の1つですが、様々な精神障害に効果があり、うつ病、強迫性障害、月経前症候群(PMS)、パニック障害、神経性過食症の治療に使用されます。
    また、7~17歳の小児のうつ病および強迫性障害の治療薬としてFDA(米国食品医薬品局)から認可されています。

  • 質問:
    フルオキセチンは日本で承認されていますか?
    回答:

    日本国内では、厚生労働省未承認の処方箋医薬品であり、保険調剤報酬として掲載・販売はありません。
    そのため、うつ病に対する抗うつ薬の選択では、セルトラリン、エスシタロプラム、デュロキセチンが第一選択肢になると考えられます。
    アメリカでは商品名プロザック(Prozac)としてアメリカ合衆国のイーライリリー・アンド・カンパニーから発売され、後発医薬品も存在しています。

  • 質問:
    フルオキセチンの商品名な何ですか?
    回答:

    フルオキセチン塩酸塩の商品名は、プロザックまたはサラフェムで、イーライリリー社から販売されています。
    主成分であるフルオキセチンは選択的セロトニン再取り込み阻害剤であり、不足したセロトニンの働きを強めることで、不安感や悲観的などの感情が前向きになり、うつ症状が改善されます。

  • 質問:
    フルオキセチンはSSRIですか?
    回答:

    フルオキセチンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる抗うつ薬の一種です。
    SSRIには他にも、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、ビラゾドンなどがあります。
    SSRIの特徴として、広い治療範囲があり、投薬が比較的簡単で、通常は用量を大きく調整する必要がない点が挙げられます。
    ただし、フルボキサミンは例外です。

  • 質問:
    フルオキセチンは犬に対して効果がありますか?
    回答:

    分離不安がある犬に効果があります。
    フルオキセチンは選択的セロトニン取り込み阻害作用により、セロトニンの濃度を高めることで犬の不安状態を緩和し、行動療法と分離不安の薬物療法として使用します。
    分離不安がある犬は、不安に関与するセロトニンのシナプス間隙での濃度が低い傾向にあるといわれています。

  • 質問:
    フルオキセチンの適切な服用方法は何ですか?
    回答:

    フルオキセチンの適切な服用タイミングは、1日1回朝食後に服用してください。
    決められた用量の2倍・3倍といった量を1度に服用しても効果が強く出るわけではありません。
    服用量の目安として、1回20mg~80mgの間で増量できますが、80mgを超えない範囲で適宜増減してください。
    推奨されている服用量は症状の種類や状況によって異なります。
    服用する量や期間は症状に合わせて医師に相談しましょう。

  • 質問:
    フルオキセチンはどのような疾患に使用されますか?
    回答:

    フルオキセチンは、うつ病や強迫性障害、パニック障害などの治療に使われる薬です。
    脳内の神経伝達を改善することで、意欲を高めたり、憂鬱な気分を和らげる効果があります。
    うつ病の場合、脳内のセロトニンという神経伝達物質の働きが悪くなり、意欲の低下や不安が生じることがあります。
    通常、神経伝達物質は神経細胞から放出され、自分の受容体に結びついて情報を伝えますが、放出された物質の一部は再び神経細胞に取り込まれます。
    フルオキセチンはこの再取り込みを阻害し、セロトニンの働きを強めることで、うつ症状を改善します。

  • 質問:
    フルオキセチンの効果はどのくらいで現れますか?
    回答:

    フルオキセチンの効果が現れるまでの時間は疾患によって異なります。
    例えば、全般性不安障害の場合、通常6週間以内に中等度の改善が見られ、その後も効果が高まることが多いです。
    社交不安障害では、通常8週間以内に治療効果が現れることが一般的です。
    強迫性障害の場合、効果が出るまでに10~12週間かかることがあり、もし効果が不十分な場合は、追加で抗精神病薬が使われることもあります。
    PTSDの場合は、多くの場合8週間以内に効果が見られますが、12週間かかることもあります。

  • 質問:
    フルオキセチンと他の抗うつ薬の違いは何ですか?
    回答:

    フルオキセチンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に分類される抗うつ薬で、脳内のシナプスでのセロトニンの再取り込みを阻害します。
    これにより、シナプス後膜のセロトニン受容体が刺激され、セロトニンの信号が増加します。
    セロトニン調節薬は抗うつ作用および抗不安作用を持ちますが、性機能障害を引き起こすことはありません。
    一方、セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)はセロトニンとノルアドレナリンに対して二重の作用機序を持ち、ノルアドレナリン-ドパミン再取り込み阻害薬(NDRI)はドパミンとノルアドレナリンに影響を与え、セロトニン神経系には作用しません。

  • 質問:
    フルオキセチンは長期使用しても安全ですか?
    回答:

    フルオキセチンの使用が長期間にわたると、体重増加や性機能障害などの副作用が1/3の患者さんに現れることがあります。
    また、一部のSSRIは食欲不振を引き起こしたり、服用開始後数週間は日中に眠気を覚えることがありますが、これらの症状は一時的なものです。
    SSRIの中には、急に使用を中止すると離脱症候群を引き起こすことがあり、めまい、不安、易怒性、疲労、吐き気、悪寒、筋肉痛などがあります。

  • 質問:
    フルオキセチンの服用を忘れた場合、どうすればよいですか?
    回答:

    抗うつ薬を飲み忘れた場合、次の服用までに時間がある場合はすぐに服用してください。
    次の服用時間が近い場合は、1回分をスキップするのが良いでしょう。
    次に服用するまでの間隔を調整することも可能です。
    1日3回服用する場合は4時間以上、1日2回服用する場合は5時間以上、1日1回服用する場合は8時間以上の間隔をあけることが目安です。
    抗うつ薬は食事の影響を受けにくいため、空腹時でも服用して問題ありません。

  • 質問:
    フルオキセチンを服用中に避けるべき飲食物はありますか?
    回答:

    フルオキセチンを服用中は、グレープフルーツを避けることが大切です。
    グレープフルーツに含まれるベルガモチンやジヒドロキシベルガモチンなどの成分は、消化管での薬物の代謝を妨げ、血中の薬物濃度を高めることがあります。
    これにより、フルオキセチンの効果が過剰になり、予期しない副作用が起こる可能性があります。
    グレープフルーツジュースも同様の影響を及ぼすため、ジュースでの摂取も避けた方が良いです。
    他の柑橘類、例えばオレンジ、レモン、みかんなどでは、一般的に相互作用のリスクは低いですが、スウィーティーやブンタンはグレープフルーツと同じような相互作用を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

  • 質問:
    フルオキセチンの服用期間はどのくらいですか?
    回答:

    フルオキセチンの服用期間は、個々の症状や状態によって異なります。
    研究によると、急性期と同じ用量を3年間続けることで、うつ病の再発リスクが1/3になることがわかっています。
    一般的には、3年間の服用が推奨されていますが、過去に3回以上うつ病を経験し、再発率が高いと予想される場合は、服薬を続ける方が良いでしょう。
    ただし、服薬の効果をあまり感じない場合や再発を防ぎたいと考える場合は、医師と相談しながら服用を続けるかどうか決めることが重要です。

  • 質問:
    フルオキセチンは猫にはどのような副作用がありますか?
    回答:

    フルオキセチンは、犬や猫の攻撃性や強迫性障害の治療に使用される医薬品です。
    主成分はフルオキセチンで、そう痒の治療にも用いられます。
    フルニルは選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる新しいタイプの抗うつ薬で、従来型の抗うつ薬と比べて副作用が少ないとされています。
    従来型の抗うつ薬である三環系抗うつ薬は、うつ症状を改善する効果がありますが、脳内の複数の神経伝達物質に作用するため、副作用として口渇、便秘、排尿障害、倦怠感、眠気、ふらつきなどが比較的出現しやすい傾向があります。
    フルニルはセロトニン系のみに選択的に作用し、脳内のセロトニンを増やします。
    そのため、従来型の抗うつ薬に比べて副作用が少ないとされています。

  • 質問:
    フルオキセチンの過剰摂取はどのような影響がありますか?
    回答:

    フルオキセチンの過剰摂取には様々な影響があります。
    副作用としては、吐き気、頭痛、神経痛、自殺リスクの増加が挙げられます。
    また、過剰摂取によりこれらの副作用が強まる可能性があります。
    さらに、重度のセロトニン毒性が現れることがあり、これには昏睡、ミオクローヌス(筋肉の痙攣)、高体温、振戦(震え)、過呼吸、横紋筋融解症(筋肉の破壊)、腎不全、呼吸不全といった症状が含まれる可能性があります。

  • 質問:
    フルオキセチンは妊娠中や授乳中に服用しても安全ですか?
    回答:

    フルオキセチンは胎盤を通過し、母乳中に検出されるため、妊娠中または授乳中に服用すると、胎児または乳児が曝露されます。
    授乳中の女性の血液や母乳、またその乳児の血液中でもフルオキセチンが検出され、乳児の血中濃度はフルオキセチンの母体への投与量や母体のフルオキセチンおよびノルフルオキセチンの血清濃度に関連しています。
    試験データによると、妊婦がフルオキセチンに経口曝露されると、妊娠期間の短縮や生後6ヵ月中の乳児の成長抑制、さらに新生児の適応能力の低下など、新生児にかかわる発生・発達毒性が生じる可能性があります。

  • 質問:
    フルオキセチン服用中に運転しても大丈夫ですか?
    回答:

    フルオキセチンを服用中に運転する際には注意が必要です。
    薬の影響や病気の症状で「運転に支障がある」と判断されると、事故を起こした場合には「危険運転致死傷罪」が適用され、通常より厳しい罰則が科せられることがあります。
    具体的には、薬の副作用で眠気や集中力の低下、ふらつきが生じる可能性があります。
    ただし、同じ薬を服用しても副作用の現れ方には個人差があり、「眠気やふらつきが全くなく、運転しても問題がない」と感じる方もいますが、法律的にはそのような個別の判断は考慮されません。
    フルオキセチンは、眠気やめまいといった副作用が特に服用開始時に現れることが多いため、車の運転や危険を伴う機械の操作を行う際には十分な注意が必要です。

  • 質問:
    フルオキセチンは保険適応はされますか?
    回答:

    フルオキセチンは、商品名「プロザック」としてアメリカ合衆国のイーライリリー・アンド・カンパニーから発売されており、後発医薬品も存在しますが、日本では厚生労働省に未承認の処方箋医薬品です。
    そのため、日本国内では保険適応されておらず、保険調剤報酬としても掲載・販売されていません。