エスシタロプラム

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カナエスシタロプラム
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英語名Escitalopram
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化学式C20H21FN2O
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分子量324.3919 g/mol
エスシタロプラムはうつ以外にも効く?
エスシタロプラムは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の中でも最も新しい世代に属する抗うつ薬です。
その特徴的な分子構造により、高い効果と少ない副作用を両立させています。
エスシタロプラムは、以下の症状に効果を示します。
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うつ病
気分の落ち込みや興味・喜びの喪失などの症状を改善します。 -
全般性不安障害
漠然とした不安感や過度の心配を軽減します。 -
社交不安障害
人前での緊張や恐怖感を和らげます。 -
パニック障害
突然の激しい不安発作の頻度と強度を減少させます。
エスシタロプラムの副作用
エスシタロプラムは、他のSSRIと比較して副作用が少ないとされていますが、以下のような副作用が現れることがあります。
初期の副作用として、以下があります。
- 吐き気(最も一般的)
- 下痢
- 不眠または眠気
- 口内乾燥
長期的な副作用には、以下があります。
- 性機能障害(性欲低下、勃起障害など)
- 体重変化(主に増加)
しかし、従来の薬で多く見られた口の渇きや便秘などに対しては改善されており、副作用が少ない薬と言えます。
エスシタロプラムの特徴と利点
エスシタロプラムには、以下の特徴やメリットがあります。
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速やかな効果発現
他のSSRIと比較して、効果の発現が比較的早いとされています。 -
高齢者への適応
肝臓での代謝が少ないため、高齢者でも安全に使用できます。 -
薬物相互作用が少ない
他の薬剤との相互作用が比較的少ないため、複数の薬を服用している患者にも使いやすいです。 -
併発にも効果あり
不安障害やパニック障害を併発しているうつ病患者に特に有効です。
生活習慣の改善との組み合わせも意識しましょう。
規則正しい睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事などの生活習慣改善と併用することで、より効果的な治療が期待できます。
使用上の注意点
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突然の中止を避ける
急な中止は離脱症状(めまい、吐き気、不安感など)を引き起こす可能性があります。
必ず医師の指示のもと、徐々に減量して中止します。 -
若年者への使用
24歳以下の若年者では、服用開始時に自殺念慮が増加する可能性があるため、慎重な経過観察が必要です。 -
アルコールとの相互作用
アルコールとの併用は、中枢神経系の抑制作用を増強させる可能性があるため避けるべきです。
どの薬物療法にも言えることですが、エスシタロプラムもすべての人に同じように効くわけではありません。
それぞれの患者の症状、体質、生活環境などを考慮し、医師と相談しながら最適な治療法を見つけていくことが大切です。
よくあるご質問(FAQ)
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質問:エスシタロプラム錠は何の薬ですか?回答:
エスシタロプラムは憂うつな気分を軽減し、不安などの症状を改善する効果があり、適応症として、うつ病、社会不安障害の治療に用いられます。
作用機序としては脳内に存在しているセロトニンを再取り込みするセロトニントランスポーターの働きを阻害し、セロトニン濃度を上昇させることで、神経伝達をスムーズにして症状を改善します。
セロトニントランスポーターにのみ選択的に結合するため、その他の受容体にはほとんど作用せず、副作用も少ないのが特徴です。 -
質問:エスシタロプラムはどれくらいで効果がありますか?回答:
エスシタロプラムは効果が実感できる様になるまでには、個人差がありますが、約2週間~1か月ほどかかります。
まず、レクサプロを開始する際は用量を5㎎から開始し、2週間毎に効果を判定していきます。
効果が不十分な場合は、5mgずつ増量をしていき、効果の判定をしながら、最高用量の20mgまで用量を増やしていきます。
それでも効果が得られない場合は他の薬剤へ変更したり、他の薬剤を追加したりします。 -
質問:エスシタロプラムとレクサプロは同じ薬ですか?回答:
エスシタロプラムとレクサプロは同じ薬剤です。
一般名がエスシタロプラムで、商品名がレクサプロとなります。
エスシタロプラムはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)であり、デンマークで開発された抗うつ薬です。
エスシタロプラムは以前使用されていた抗うつ薬より副作用を起こしにくく、同等の効果があるのでとても使用しやすい薬剤となっています。
効果は緩徐に現れ、約2週間~1ヶ月かかります。
効果が得られにくい場合は徐々に用量を増やしていきます。 -
質問:エスシタロプラム錠は抗うつ薬ですか?回答:
エスシタロプラムは抗うつ薬です。
商品名はレクサプロで、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類されます。
エスシタロプラムの効果はセロトニンの効果を高める効果があり、セロトニンを高めることで不安や気分の落ち込みなどの症状を改善することができます。
また以前の抗うつ薬は副作用症状が出現しやすい傾向にありましたが、エスシタロプラムは副作用症状が起きにくいため、とても使用しやすい薬剤となっています。 -
質問:エスシタロプラムでODしたらどうなりますか?回答:
エスシタロプラムをOD錠にしても効果に特に影響はありませんが、内服の仕方に注意する必要があります。
OD錠は口腔内崩壊錠のことであり、普通の錠剤と同様に水またはぬるま湯と一緒に服用するか、舌の上でだ液を含ませて舌で軽くつぶし、だ液と一緒に服用することができます。
そのためOD錠は飲み込みがしにくい方にとって内服しやすく、水がなくても場所を気にせず使用することができます。 -
質問:エスシタロプラムを飲んだり飲まなかったりするとどうなりますか?回答:
エスシタロプラムを飲んだり飲まなかったりすると、離脱症状といわれる状態になる可能性があります。
離脱症状には頭痛や耳鳴り、痺れ、イライラ、不安、気分の落ち込みなどの症状が現れます。
そのためエスシタロプラムは効果が十分に得られ、症状が良くなったのを確認してからゆっくりと減らしていくことが大切となります。
万が一飲み忘れた場合は気づいた時点ですぐ服用する様にしましょう。
次の内服までの時間の間隔が短い場合は、飲み忘れた分はスキップし、次の時間に内服するようにしましょう。 -
質問:エスシタロプラムを中断するとどうなりますか?回答:
エスシタロプラムを中断すると、離脱症状が起こる可能性があります。
本来、エスシタロプラムは効果が十分に得られたことを確認してから徐々に減量していく薬剤です。
そのため、急に中断することで頭痛や耳鳴り、痺れ、イライラ、不安、気分の落ち込みなどの症状が現れます。
飲み忘れを防ぐためにも目のつきやすい食卓の上に置いたり、薬剤ケースを使って管理する、家族にも協力してもらい薬剤を一緒に管理するなど、工夫することが大切となります。 -
質問:エスシタロプラムの副作用は何ですか?回答:
エスシタロプラムの副作用症状として、飲み始めにアクチベーションシンドロームが起こる可能性があります。
アクチベーションシンドロームとは、中枢神経系を刺激してしまうことで、不安、焦燥、気分高揚、不眠などが起こったりします。
その他にも副作用として多いのは下痢や吐き気などがあります。
エスシタロプラムはセロトニン濃度を高める効果があり、このセロトニンが高まることで胃腸に作用し、下痢や吐き気といった症状が現れます。 -
質問:エスシタロプラムはどのように使用しますか?回答:
エスシタロプラムの使用方法としては、エスシタロプラム10mgを1日1回夕食後に服用します。
ですが、クリニックや病院によってはエスシタロプラムを初回5㎎から始める場合もあります。
内服後に効果を判定し、増量は1週間以上の間隔をあけて行われます。
1日の最高用量は20mgまでとされており、それ以上内服すると副作用が出現する可能性が高くなります。
したがって、必ず医師の指示に従い、用法・用量を正しく守って服用するようにしましょう。 -
質問:エスシタロプラムはどれ強く作用しますか?回答:
エスシタロプラムは抗うつ作用がある薬剤です。
エスシタロプラムは、セロトニン再取り込み阻害薬であり、セロトニンの濃度を高めることで不安や気分の落ち込みといった症状を軽減することができます。
エスシタロプラムの作用の強さは、効果が現れるまでに約2週間~1ヶ月かかります。
その後も効果が見られない場合は用量を増やしていき、効果の判定をしていきます。
最高1日20㎎まで増量できますが、それでも効果が得られない場合は他の薬剤への変更や併用したりします。 -
質問:エスシタロプラムの使用で太りやすくなりますか?回答:
エスシタロプラムの使用で太ることは考えにくいです。
その根拠として、まずエスシタロプラムが、神経伝達物質のうちセロトニンに特異的に作用しますが、セロトニン受容体の5HT2受容体にセロトニンが結合すると食欲は減退します。
そのため、エスシタロプラムを使用することでセロトニン濃度は高まり、より食欲は減退するでしょう。
また、臨床研究の結果からもエスシタロプラムを使用したことで、頻度が増加した症状は口喝となっています。 -
質問:エスシタロプラムはどのような患者に適していますか?回答:
エスシタロプラムはうつ病、強迫性障害、不安障害、外傷後ストレス障害(PTSD)、月経前不快気分障害(PMDD)の患者さんに効果があります。
エスシタロプラムは選択的セロトニン再取り込み阻害薬であり、セロトニンの濃度を高めることで、不安や気分の落ち込みといった症状の改善を期待できます。
またエスシタロプラムは以前使用されていた抗うつ薬より副作用が出現しにくく、1日1回の使用で効果が得られることが特徴として挙げられます。 -
質問:エスシタロプラムの薬価はどれくらいですか?回答:
持田製薬のレクサプロは先発薬品であり、販売名レクサプロ錠10㎎114.5円/錠、レクサプロ錠20㎎164.1円/錠となっています。
その他の製薬会社が販売しているエスシタロプラムは後発薬品であり、エスシタロプラム10㎎60円/錠、エスシタロプラム20㎎89.6円/錠となっています。
日本ジェネリックと辰巳化学は、エスシタロプラム10㎎49円/錠、エスシタロプラム20㎎74.8円/錠と安価となっています。 -
質問:エスシタロプラムと他の抗うつ薬との違いは何ですか?回答:
エスシタロプラムは、セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に分類されます。
SSRIには、ジェイゾロフトやデプロメール、ルボックス、パキシルなどがありますが、エスシタロプラムは継続性と有効性の高い薬と臨床試験で確認されています。
またエスシタロプラムは他のSSRIと比べてセロトニンへの選択性が高く、不安や焦燥感の改善が大いに期待できます。
また副作用が出現しにくいため、使用しやすい薬剤となっています。 -
質問:エスシタロプラムは妊娠中や授乳中の女性に使用できますか?回答:
エスシタロプラムは、心室中隔欠損症のリスクがわずかに上がるという報告があるため、妊娠中の内服は避けたほうがいいでしょう。
ですが、エスシタロプラムを中断することで、症状が出現する場合は、医師によっては最小量で服用を継続することもあります。
エスシタロプラムを内服している方で、妊娠が発覚した場合はすぐに医師に相談しましょう。
また、授乳中もエスシタロプラムの内服は避けたほうが良いと添付文書にありますが、内服していたことによる否定的な報告はあがっていません。
エスシタロプラムを処方している医師に授乳の継続は可能か確認しましょう。 -
質問:エスシタロプラムを服用している間に運転しても安全ですか?回答:
エスシタロプラムを服用している間に運転しても問題ありませんが、副作用にめまいや眠気といった症状が出現する可能性があるため注意は必要です。
実際に、エスシタロプラムを内服しながら車の運転をしている方もいるので、過度に心配する必要はありません。
ですが、症状が出現している場合は運転を控えるようにしましょう。
めまいや眠気といった症状が持続または増強している場合は、用量を減らしたり、薬剤の変更を検討することがあるので医師に相談しましょう。 -
質問:エスシタロプラムは不眠症にも効果がありますか?回答:
エスシタロプラムは、不安や気分の落ち込みといった症状に効果があります。
エスシタロプラムは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬であり、セロトニンの濃度を増やすことで症状の改善を図ることができます。
そのため、不眠症にエスシタロプラムを使用することは考えにくいですが、副作用症状として、眠気が現れることがあります。
ですので、エスシタロプラムを処方された方で、うつ病や、不安障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、月経前気分不快障害の他に、不眠症もあるという方には一定の効果があるかもしれません。
ですが、正しい使用方法ではないため医師に相談することが大切です。 -
質問:エスシタロプラムはどのようなメカニズムで効果を発揮しますか?回答:
エスシタロプラムの作用メカニズムは以下の通りです。
モノアミンは脳内の神経伝達物質であり、エスシタロプラムは、モノアミンの量を調整する作用があります。
モノアミンには、セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンがあり、モノアミンの量を調整することで症状を改善します。
モノアミンのうち、エスシタロプラムはセロトニンに特異的に作用する働きがあり、選択的にセロトニンの再取り込みを阻害することで、セロトニン濃度を高め、症状の改善が期待できます。 -
質問:エスシタロプラムを服用する際に避けるべき食事や薬はありますか?回答:
エスシタロプラムの併用禁忌の薬剤としては、モノアミン酸化酵素阻害剤、セレギリン塩酸塩、エフピー、ラサギリンメシル酸塩、アジレクト、サフィナミドメシル酸塩、エクフィナがあります。
これらの薬剤を使用することで、セロトニン症候群があらわれることがあり、症状には高体温,自律神経および神経筋の活動亢進などがあります。
そのため、上記の薬剤を使用している方は医師に相談する様にしましょう。 -
質問:エスシタロプラムは子供にも使用できますか?回答:
エスシタロプラムは12歳以上のうつ病患者に承認されています。
思春期の抗うつ治療は、まだ確率されていないため、エスシタロプラムを開始する際は少量から開始することが望まれます。
効果が得られにくい場合は、徐々に用量を増やしていき、効果の判定をしていきます。
逆に効果が得られている場合は、様子を見ながら少しずつ投与量を減らしていくことが推奨されます。
そのため、エスシタロプラムを内服中は定期的に受診を行い、医師に効果の判定をしてもらうことが大切となります。