• カナ
    ドネペジル
  • 英語名
    donepezil
  • 化学式
    C24H29NO3
  • 分子量
    379.492 g/mol

認知症治療を変えたドネペジルとは

ドネペジルは1999年に日本で承認された認知症治療薬です。
アルツハイマー型認知症の症状を和らげる効果があり、現在では多くの患者の治療に使われています。
「アリセプト」という商品名でも知られ、認知症治療の第一選択薬として20年以上にわたり使用されてきました。

認知症の症状は、物忘れだけでなく、生活の質を大きく左右します。
家族との会話が減ったり、趣味が続けられなくなったりする中で、ドネペジルは患者やその家族に希望をもたらしてきました。

最近では新しい認知症治療薬の開発も進んでいますが、ドネペジルは豊富な使用実績と安全性データを持つ、信頼できる薬剤として評価されています。
薬による治療に加えて、生活習慣の改善や適度な運動、社会活動への参加など、総合的なアプローチを組み合わせることで、より良い効果が期待できます。

ドネペジルの作用機序

私たちの脳の中では、「アセチルコリン」という物質が記憶や認知機能に重要な役割を果たしています。
アルツハイマー型認知症では、このアセチルコリンが減少してしまいます。

ドネペジルは、脳内でアセチルコリンの分解を抑える働きがあります。
アセチルコリンを長持ちさせることで、脳の神経細胞同士のコミュニケーションを助けるわけです。

この効果によって、記憶力や判断力の低下を緩やかにし、日常生活の自立をサポートします。
病気の進行を遅らせる効果が期待できるため、早期発見・早期治療が大切だと言われています。

効果と副作用

ドネペジルの効果は人によって異なりますが、今現在認知症を治す薬はなく、ドネペジルも症状の進行を遅らせる程度です。
記憶障害や判断力の低下などの認知機能障害の進行を遅らせる可能性があります。
有効とされる期間は約5年とも言われており、途中で服用を止めずに続けることが大切です。

ただし、全ての方に同じような効果が表れるわけではありません。
また、副作用についても知っておく必要があります。
よくある副作用としては、吐き気や食欲低下、下痢などの消化器症状があります。
これらの症状は服用開始時に現れやすく、その後徐々に落ち着いてくることが多いのですが、気になる症状があれば、すぐに主治医に相談することが大切です。

また、ドネペジルは、夜中に歩き回ったり、興奮したりする認知症特有の症状(周辺症状)にも効果があることがわかってきました。
これは、患者本人だけでなく、介護をする家族にとっても助けとなっています。

ドネペジルを含有する医薬品

アリセプト10mgの商品画像
販売価格 4,680円~
1錠 144円~

売り切れ

アリセプト10mgとは アリセプト10mgは、認知症治療に用いられる薬で、ドネペジルを有効成分としています。 この薬剤は、脳内のアセチルコリンエステラーゼを阻害し、認知機能の低下を抑制することで、アセチルコリンの濃度を高めます。 アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症では、脳内のアセチルコリンが減少するた...

有効成分
ドネペジル

よくあるご質問(FAQ)

  • 質問:
    ドネペジルの主な効果は?
    回答:

    ドネペジルは主にアルツハイマー型認知症の症状緩和を目的として使用されるコリンエステラーゼ阻害薬です。
    この薬剤は脳内でアセチルコリンという神経伝達物質を分解する酵素の働きを抑えることで、神経細胞間の情報伝達を改善し、記憶力や思考力、判断力などの認知機能を一時的に向上させる効果があります。
    つまり、進行する認知症の根本的治療ではないものの、患者さんの生活の質を維持・改善し、日常生活動作の維持に繋がることが期待されています。
    特に軽度から中等度のアルツハイマー病患者に有効性が示されており、症状の進行を遅らせることで家族や介護者の負担軽減にも繋がります。

  • 質問:
    ドネペジルはどのような患者に処方されますか?
    回答:

    ドネペジルは主に軽度から中等度、さらには高度な段階まで進行したアルツハイマー型認知症患者に処方されます。
    特に物忘れが目立ち、思考力や理解力、日常生活動作の低下が認められる段階で用いられ、症状の進行を緩やかにすることが期待されています。
    また、レヴィ小体型認知症やパーキンソン病痴呆など、他のタイプの認知症患者にも有益とされる場合がありますが、適応は疾患特性や症状の度合いにより医師の判断に委ねられます。
    いずれにせよ、処方には医師による正確な診断と適切な評価が不可欠であり、患者さん本人や家族が日常生活で困難を感じている状況で有用性が検討されています。

  • 質問:
    ドネペジルの一般的な副作用は?
    回答:

    ドネペジルの一般的な副作用には、悪心、嘔吐、下痢などの胃腸症状、食欲不振、腹痛などの消化器系不調が多く報告されます。
    また、めまい、頭痛、倦怠感、眠気や不眠といった中枢神経系症状も発生することがあります。
    さらに、心拍数の低下や筋肉痛、体重減少、まれに不整脈や行動変化などが起こる可能性もあります。
    これらの副作用は、開始初期や増量時に多く、時間経過とともに軽減することが少なくありません。
    症状が持続・悪化した場合は必ず医師に相談し、服用量の調整や中止を検討することが重要です。

  • 質問:
    ドネペジルの服用中に体重の変化は起こりますか?
    回答:

    ドネペジル服用中に顕著に体重が増加することは一般的ではありません。
    むしろ一部の患者さんでは食欲不振や消化不良、吐き気などから結果的に体重の減少が見られる場合があります。
    これは消化器系への影響による摂食量の低下が原因となりえます。
    ただし、体重変化は個人差が大きく、全く影響を受けない人もいます。
    体重減少が顕著な場合や体力低下が懸念されるような変化が見られた場合は、医師への相談が推奨されています。
    必要に応じて食事内容の見直しや服用時間の調整、または代替治療の検討が行われることがあります。

  • 質問:
    ドネペジルの服用方法は?
    回答:

    ドネペジルは通常、1日1回、就寝前に経口服用することが推奨されています。
    就寝前の服用は、めまいや吐き気、消化器症状などが日中の活動に支障をきたしにくいためです。
    初期用量は低めから開始し、効果や副作用を見極めながら必要に応じて増量される場合があります。
    医師の指示に従い、服用時間や用量を守ることが重要であり、勝手な減量や中止は症状の再悪化を招く可能性があります。
    また、飲み忘れを防ぐために服用習慣を確立したり、アラームや薬箱を活用するなど工夫も有用です。

  • 質問:
    ドネペジルと併用注意の薬はありますか?
    回答:

    ドネペジルはコリンエステラーゼ阻害薬であり、他の中枢神経系に作用する薬剤や、心拍・血圧に影響を及ぼす薬剤と併用する際には注意が必要です。
    たとえば、抗ヒスタミン薬や一部の睡眠薬、抗うつ薬などの抗コリン作用を有する薬剤は、ドネペジルの効果を減弱させることがあります。
    また、β遮断薬などの心拍を抑制する薬剤は、心拍数低下やめまいを引き起こす可能性が高まります。
    NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)との併用では胃腸障害リスクが増す可能性も指摘されています。
    いずれも、併用する場合は必ず医師や薬剤師に相談してください。
    さらに、高齢者や複数疾患を有する患者さんでは相互作用がより複雑になる場合もあり、処方時には特に慎重な検討が行われます。

  • 質問:
    ドネペジルを服用中に気をつけるべきことは?
    回答:

    ドネペジル服用中は、定期的な医師の診察や指示に従い、用量・用法を厳守することが重要です。
    主な副作用として、悪心、嘔吐、下痢、食欲不振、睡眠障害、めまい、徐脈などが現れる場合があります。
    これらの症状が強く出たり長引いたりする場合は、医師へ相談をしてください。
    また、転倒リスクに注意が必要な方は、めまい対策として急な立ち上がりを避けるなどの配慮をする様にしましょう。
    さらに、併用薬やサプリメント、ハーブ製剤がある場合は、相互作用の可能性があるため必ず医療従事者に報告することが重要です。
    加えて、日常生活での変化や認知機能の微細な悪化にも留意し、家族・介護者と共に状態の観察を続けることが大切だとされています。

  • 質問:
    ドネペジルは妊娠中や授乳中に服用できますか?
    回答:

    ドネペジルは妊娠中や授乳中の安全性が十分に確立されていない薬剤です。
    一般的に、妊娠期における薬物使用は胎児への影響が懸念されるため、必要性が明確で、医師による十分なリスク・ベネフィット検討を経ない限り避けることが推奨されています。
    また、授乳中についても、母乳中へ薬剤が移行する可能性があり、乳児への影響が不明なため、通常は授乳を控えるか、別の治療法を検討することが望まれます。
    これらの場合、専門医への相談が不可欠で、情報不足の中で慎重な判断が求められます。

  • 質問:
    ドネペジルの作用機序は?
    回答:

    ドネペジルは中枢神経系でアセチルコリンを分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼを阻害することによって、シナプス間隙でのアセチルコリン濃度を上昇させます。
    これにより、脳内で情報伝達に重要な役割を担うアセチルコリンの作用を強化し、認知機能を改善・維持する効果が期待されます。
    アルツハイマー型認知症では神経細胞間の情報伝達が低下する傾向があるため、この酵素阻害作用によって神経伝達を補助し、症状進行を緩和する手助けをします。
    なお、個々の症例によっては効果に個人差があり、必ずしもすべての患者さんに顕著な改善がみられるわけではありません。

  • 質問:
    ドネペジルの効果はいつ頃から現れますか?
    回答:

    ドネペジルの効果はすぐに明確に感じられるわけではありません。
    一般的には、服用開始から数週間から数ヵ月かけて徐々に認知機能や日常生活動作の改善・維持傾向が見られることが多いと報告されています。
    ただし、患者個々の状態、病期、併用薬や基礎疾患によって効果発現までの時間や度合いは異なります。
    そのため、早期に顕著な効果が得られなくても、主治医の指示に従って一定期間継続し、定期的な評価を行うことが重要です。
    また、効果判定には家族や介護者による日常観察も有用で、総合的な判断が求められます。

  • 質問:
    ドネペジルは睡眠に影響を与えますか?
    回答:

    ドネペジルは一部の患者さんで不眠や異常な夢、睡眠の質の変化といった睡眠関連の副作用が報告されています。
    このため、服用中に睡眠障害や寝つきの悪さ、夜間の覚醒が続く場合は、医師に相談する様にしましょう。
    また、医師は投与時間を調整したり、他の治療法を検討する場合もあります。
    さらに、全員に起こるわけではありませんが、睡眠パターンに異変を感じた場合は、早めに専門家へ報告し、適切な対応を図ることが重要です。
    必要に応じて就寝前の刺激回避や生活リズム調整など、環境面からの対策も検討できます。

  • 質問:
    ドネペジルの服用を忘れた場合はどうすればいいですか?
    回答:

    ドネペジルの服用をうっかり忘れた場合は、気づいた時点で医師や薬剤師の指示に従い対処します。
    一般的には、思い出した時点でまだ次の服用まで十分な時間がある場合は忘れた分を服用しますが、次回の予定時間が近い場合は、忘れた分を無理に飲まず、通常のスケジュールに戻ることが推奨されています。
    複数回連続で服用を忘れた場合や、服用タイミングがわからなくなった場合は医師や薬剤師に相談し、指示を仰ぐ様にしましょう。
    また、服用記録をつけるなど、飲み忘れ防止策の導入も有効です。

  • 質問:
    ドネペジルは食前と食後のどちらで服用すべきですか?
    回答:

    ドネペジルは特に厳密な食事のタイミング指示がないことが多く、一般的には食後に服用することが推奨されます。
    食後の服用は、悪心・嘔吐などの胃腸障害の発生を軽減する可能性があります。
    なお、個々の患者さんの状態や副作用の有無に応じて、医師が服用時間帯を調整する場合もあります。
    もし医師から特別な指示がない場合は、毎日一定の時間、たとえば夕食後などに服用することで、飲み忘れや副作用リスクを軽減することができます。
    必要であれば、医療従事者へ相談し、最適なタイミングを検討しましょう。

  • 質問:
    ドネペジルは他の認知症治療薬とどう違いますか?
    回答:

    ドネペジルは、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬として脳内アセチルコリン濃度を高める作用を持ちます。
    これに対し、他の認知症治療薬には、同様のリバスチグミン、ガランタミンなどの酵素阻害薬や、NMDA受容体拮抗薬があります。
    NMDA受容体拮抗薬は、過剰なグルタミン酸作用を調整し、神経細胞の興奮毒性を軽減します。
    この様に、ドネペジルはコリン作動性神経伝達を高める方向で作用する一方、メマンチンは興奮抑制的なメカニズムを持つなど、作用機序が異なる点が特徴です。

  • 質問:
    ドネペジルは肝機能に影響を与えますか?
    回答:

    ドネペジルは主に肝臓で代謝されますが、一般的には軽度から中等度の肝機能障害患者に対して特別な用量調整が必ずしも必要とされないとされています。
    ただし、重度の肝機能障害を持つ患者さんにおいては、代謝・排泄に影響が出る可能性があるため、慎重な観察や用量検討が必要です。
    肝機能検査値の著しい異常がある場合や、服用中に肝機能悪化を疑う症状が出た場合は、速やかに主治医へ相談してください。
    定期的な血液検査や適切な生活習慣の維持も、肝機能管理に有用です。

  • 質問:
    ドネペジルはアルツハイマー病以外の認知症にも効果がありますか?
    回答:

    ドネペジルは主にアルツハイマー型認知症に対する効果が認められ、標準的な治療薬として用いられています。
    一部ではレビー小体型認知症や血管性認知症などでの使用例や研究報告もありますが、これらの場合、効果の確立度はアルツハイマー型に比べて明確ではありません。
    また、医師は患者個々の病型や症状を考慮して処方するため、アルツハイマー病以外の認知症で使用を検討する場合は、専門医と相談し、期待効果とリスクを十分に検討する必要があります。

  • 質問:
    ドネペジルの服用中に注意すべき症状は?
    回答:

    ドネペジル服用中は、悪心、嘔吐、下痢、食欲不振などの消化器症状や、めまい、徐脈(脈拍低下)、筋けいれん、不眠などの中枢神経症状が現れることがあります。
    また、症状が強く出る場合や、意識混濁、極端な倦怠感、歩行困難などのこれまでなかった変化が生じた場合は、速やかに医師へ報告してください。
    転倒や起立性低血圧にも注意し、めまい対策としてゆっくり立ち上がるなどの予防策を取ることが重要です。
    さらに、小さな変化でも定期的な観察と相談を重ねることで、早期対応が可能となります。

  • 質問:
    ドネペジルは記憶力を改善しますか?
    回答:

    ドネペジルは、アルツハイマー型認知症などで見られる記憶力低下や認知機能低下症状を緩和し、一定期間その進行を遅らせることが期待されています。
    しかし、あくまで症状改善や進行抑制が狙いであり、完全な記憶力回復や根本的治癒をもたらすわけではありません。
    また、効果の度合いには個人差があり、中には顕著な改善を実感しにくい場合もあります。
    継続的な服用と定期的評価により、治療方針を適宜見直すことが重要です。
    また、家族や介護者との情報共有によって、効果の評価やサポート体制の強化も可能となります。

  • 質問:
    ドネペジルの服用中に発熱した場合はどうすればいいですか?
    回答:

    ドネペジル服用中に発熱が起こった場合、その原因は様々で、必ずしも薬剤との直接的関係はありません。
    しかし、強い倦怠感、意識レベルの変化、他の異常な症状が伴う場合や、発熱が長引く場合は、感染症や他の合併症の可能性もあるため、速やかに医師へ相談してください。
    医師は他の症状や体調変化を踏まえ、必要に応じて検査や治療方針の修正を行います。
    自己判断での服用中止や解熱剤追加は避け、必ず専門家の指示に従いましょう。
    早期対応により重篤な合併症を防ぎ、治療の継続性を確保できます。

  • 質問:
    ドネペジルは認知症の進行を完全に止めることができますか?
    回答:

    ドネペジルは、アルツハイマー型認知症などの進行を遅らせたり、症状を一時的に軽減したりする効果が期待されていますが、病気そのものの進行を完全に止めることはできません。
    つまり、病状悪化の速度を緩やかにすることはあっても、根本的な治療や完治に結びつくわけではありません。
    そのため、ドネペジル服用とあわせて、リハビリテーション、生活環境の調整、家族や介護者によるサポートなど、総合的なケアが重要となります。
    療従事者との継続的な連携により、最適な対処法やサポート体制を模索していくことが大切です。