• カナ
    テノホビルジソプロキシルフマルサンエン
  • 英語名
    Tenofovir Disoproxil Fumarate
  • 化学式
    C19H30N5O10P・C4H4O4
  • 分子量
    635.51 g/mol

テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の作用

テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、HIV感染症や慢性B型肝炎の治療に使用される抗ウイルス薬です。
この薬は核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)に分類され、ウイルスの増殖を抑制する効果があります。

テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は体内でテノホビルに変換され、ウイルスの複製過程を妨げます。
ウイルスが自身のDNAを合成する際に必要な逆転写酵素という酵素の働きを阻害することにより、HIVやB型肝炎ウイルス(HBV)が新しいウイルス粒子を作り出すのを防ぎ、体内でのウイルスの増殖を抑えるのです。

HIV感染症の治療の場合は、他の抗HIV薬と組み合わせて使用し、体内のHIVの量を減少させ、免疫機能の回復を促します。
慢性B型肝炎の治療では、HBVの増殖を抑制し、肝臓の炎症や障害を軽減します。

テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の効果

  • ウイルス量の減少
    体内のHIVやHBVの量を減少させます。

  • 免疫機能の改善
    HIV感染症の場合、CD4細胞(HIVが攻撃する免疫細胞)の数を増やし、免疫システムの機能を改善します。

  • 肝機能の改善
    慢性B型肝炎の場合、肝臓の炎症を軽減し、肝機能を改善します。

  • 病気の進行抑制
    HIV感染症やB型肝炎の進行を遅らせます。

副作用と注意点

テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は比較的安全性の高い薬ですが、患者によっては以下のような副作用が報告されています。

  • 消化器症状:吐き気、下痢、腹痛など
  • 腎機能への影響:腎機能の低下や骨密度の減少が起こる場合があります
  • 頭痛
  • めまい
  • 疲労感

テノホビルジソプロキシルフマル酸塩使用時の注意点

  • 腎機能のチェック
    定期的に腎機能検査を受けることが重要です。

  • 骨密度のモニタリング
    長期使用で骨密度が低下する可能性があるため、定期的な検査を行いましょう。

  • 他の薬との相互作用
    腎臓に負担をかける薬や、テノホビルの血中濃度を上げる薬との併用には注意が必要です。

  • B型肝炎患者の注意
    B型肝炎の治療中に急に服用を中止すると、肝炎が悪化する可能性があります。

  • 妊娠・授乳中の使用
    妊娠中や授乳中の使用については、利益とリスクを慎重に検討する必要があります。

テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、毎日決まった時間に服用することで薬の血中濃度を一定に保ち、効果を最大限に引き出せます。
バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠など、健康的な生活習慣を心がけることで、薬の効果をサポートしましょう。

テノホビルジソプロキシルフマル酸塩を含有する医薬品

テンビルEMの商品画像
販売価格 5,880円~
1錠 118円~

テンビルEMとは テンビルEMは、有効成分としてエムトリシタビンとテノホビルジソプロキシルフマル酸塩を含む抗HIV薬です。 この薬剤は、HIV感染症の治療に使用される複合剤で、逆転写酵素阻害薬(NRTI)に分類されます。 HIV感染症の治療だけでなく、曝露前予防(PrEP) にも使用されることがあります。 PrEPは、HIV陰性の人がH...

有効成分
エムトリシタビン テノホビルジソプロキシルフマル酸塩

よくあるご質問(FAQ)

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の効果は何ですか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)は、B型肝炎ウイルスの増殖を抑制し、肝機能の異常が確認されたB型慢性肝疾患に対して効果があります。
    慢性HBV感染症では、B型肝炎ウイルス(HBV)の増殖に必要な酵素であるDNAポリメラーゼを阻害し、ウイルスの増殖を抑え、肝臓の炎症を軽減します。
    これにより、肝機能の改善や肝硬変、肝がんのリスクを低減します。
    自己判断で服用を中止したり、量を変更すると病気が悪化する可能性があるため、医師の指示に従い飲み続けることが重要です。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の副作用はありますか?
    回答:

    特に注意が必要な重大な副作用とその主な自覚症状をいくつかまとめました。
    ・重度の腎機能障害(腎機能不全、急性腎障害、ファンコニー症候群など):尿量減少、むくみ、身体のだるさ、筋力低下、骨痛、尿量増加、喉の渇き、多飲
    ・乳酸アシドーシス:頭痛、眠気、意識低下
    ・肝腫大(脂肪肝):身体のだるさ、吐き気、食欲不振、発熱、腹痛、白目や皮膚の黄変、身体のかゆみ、濃い色の尿
    これらの症状が同時期に現れた場合、直ちに医師または薬剤師に相談してください。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩はどのような疾患に使用されますか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)は、主に慢性B型肝炎ウイルスの治療薬に使用されます。
    TDFは、B型肝炎ウイルス(HBV)のDNAポリメラーゼを阻害し、ウイルスの複製を抑えることで肝炎の進行を遅らせ、肝臓の損傷を軽減します。
    これにより、肝硬変や肝がんのリスクを低減する効果があります。
    TDFは長期的に服用されることが一般的であり、定期的な医療チェックが必要です。
    治療効果を最大限に活かし、副作用を最小限に抑えるため、医師の指示に従い適切な用法・用量で使用することが重要です。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の服用方法はどうですか?
    回答:

    医師の指示に基づき、一人一人の症状に応じた適切な量と回数が決定されます。
    通常、成人は1日1回、1錠を水またはぬるま湯で服用します。
    飲み忘れた場合は、気づいた時点で1回分を服用し、次の服用時間が近い場合はその時間に1回分を飲まずに次の時間に服用します。
    自己判断で服用を中断したり、量を変更したりしないでください。
    中断するとウイルスが再び増殖するリスクがあります。
    過量使用の場合や異常を感じた場合は、直ちに医師に連絡してください。
    特に腎臓に障害がある人は使用量について慎重に調整されます。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩はHIV治療に効果がありますか?
    回答:

    2016年に承認されたテノホビルアラフェナミドフマル酸塩(TAF)は、高い抗HIV効果を持つテノホビル(TFV)のプロドラッグです。
    TAFは血中で安定性が高く、HIV細胞内でTFVに変換され、抗HIV効果を発揮します。
    TDFと比較して、TAFは尿細管障害や骨密度の低下リスクが低いとされ、日本国内では2017年からTAFの使用が推奨されています。
    ただし、TDFからTAFへの切り替えが体重や脂質代謝に影響する可能性があり、特に日本人ではBMIの増加が腎機能障害を悪化させる可能性があるため、その影響を評価する研究が進められています。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は肝炎治療に使用されますか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)は主にB型肝炎ウイルス(HBV)感染症の治療に使用されます。
    HBVは肝臓に感染し、慢性化すると肝硬変や肝がんに進行する可能性があります。
    TDFはHBVのDNAポリメラーゼを阻害し、B型肝炎ウイルスの複製を抑えることで肝炎の進行を遅らせ、肝臓の損傷を軽減する効果があります。
    このため、長期間にわたってTDFが使用され定期的な検査が必要です。
    HBV感染の治療効果が期待される一方で、腎機能障害や骨密度の低下といった副作用のリスクが報告されています。
    医師の指示に従い、適切な容量と服用方法が重要です。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の適切な服用量はどのくらいですか?
    回答:

    成人にはテノホビルジソプロキシルフマル酸塩を1回300mgを1日1回、口から服用します。
    この薬を使用する際には、他のテノホビルジソプロキシルフマル酸塩を含む薬やテノホビルアラフェナミドフマル酸塩を含む薬との併用は避ける必要があります。
    特に腎機能に障害がある患者さんでは、血中濃度が上昇するリスクがあるため、腎機能に応じて投与量を調整します。
    例えば、クレアチニンクリアランスが50mL/min以上の場合は1日1回、30~49mL/minの場合は2日に1回、10~29mL/minの場合は3~4日に1回の割合で投与します。
    血液透析を受けている患者さんには、透析後に1週間に1回の投与を行います。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩と他の薬剤との相互作用はありますか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は他のいくつかの薬剤と相互作用する可能性があります。
    例えば、ジダノシンとの併用では、ジダノシンの副作用が増強する可能性があるため、医師と相談してジダノシンの投与量を調整する必要があります。
    また、アタザナビル硫酸塩との併用では互いの血中濃度が影響を受けるため、リトナビルと共に投与することが推奨されます。
    他にも、ロピナビル・リトナビルやアシクロビルなどとの併用で副作用が増加する可能性があります。
    腎機能に影響を与えるため薬剤との併用も避けるべきです。
    これらの薬物を同時に使用する際には、医師による適切な管理と定期的なモニタリングが必要です。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の価格はどのくらいですか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、医療用医薬品で、市販されていません。
    しかし、医療保険に適用されているので薬価が設定されています。
    例えば、先発品の「テノゼット錠300mg」は、1錠あたり約584.9円です。
    また、同じく先発品の「ビリアード錠300mg」は1錠あたり約1,419.1円となっています。
    これらの価格は、販売元や市場の状況によって変わることがあるため、購入時には薬局で確認することが大切です。
    治療費に不安がある場合は、医師や薬剤師に相談し、医療費助成制度や保険適用などのサポートを受けることもできます。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の作用機序は何ですか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、肝炎やHIV感染症の治療に用いられる抗ウイルス薬です。
    その作用機序は、ウイルスのDNA合成を阻害することにあります。
    具体的には、ウイルスのDNAポリメラーゼという酵素の働きを抑えることで、ウイルスの増殖を防ぎます。
    これにより、ウイルスが体内で増え過ぎるのを抑え、感染症の進行を遅らせることが可能です。
    医師の指示に従い、定められた用法・用量で服用することで、効果を最大化し副作用を最小限に抑えることが重要です。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩はジェネリック医薬品がありますか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩には、ジェネリック医薬品は存在しません。
    先発薬はテノゼット錠300mgとビリアード錠300mgです。
    テノゼット錠300mgはGSKが製造しており、薬価は約726.8円(300mg1錠)です。
    一方、ビリアード錠300mgはギリアド・サイエンシズが製造しており、薬価は約1,539円(300mg1錠)となります。
    ジェネリック医薬品は通常、先発薬よりも薬価が低いため、経済的な負担を軽減することができます。
    しかし、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩にはジェネリック医薬品がないため、薬価が高くなります。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の効果を最大化するための方法はありますか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)の効果を最大化するためには、医師の指示通りに規定の用法・用量で毎日服用することが大切です。
    また、体調が良くなったと感じても、自己判断で服用を中止したり量を変えたりすると、B型肝炎の症状が悪化したり、肝機能や腎機能の悪化といった副作用の可能性があります。
    そのため、必ず医師の指示に従って、規定どおりに飲み続けましょう。
    効果を最大化するためには、まずは医師や薬剤師の指示通りに服用することが重要です。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩を服用する時間帯は重要ですか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)の服用時間帯は、効果を最大限に引き出すために重要です。
    通常、TDFは1日1回、毎日同じ時間に服用することが推奨されます。
    これは、血中の薬物濃度を安定させ、ウイルスの増殖を効果的に抑えるためです。
    また、服用を忘れた場合は、思い出した時点で1回分を服用してください。
    ただし、次の服用時間が近い場合は1回分を飛ばし、次の時間に通常通り服用してください。
    2回分を一度に服用することは避けてください。
    食事の有無にかかわらず服用できますが、飲み方については医師の指示に従ってください。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の効果が現れるまでの時間はどのくらいですか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)300mgを空腹時に服用すると、薬の活性成分であるテノホビルは1~1.2時間後に血液中で最も高い濃度に達します。
    この濃度は健康成人男性では212~296ng/mLです。
    テノホビルの効果が持続する時間(半減期)は約15.1時間であり、薬の量に比例して体内に留まる時間も増えます。
    さらに、反復投与によっても薬の動態に変化はありません。
    したがって、規定の用量を守り、医師の指示に従って服用することが重要です。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は妊娠中に服用しても安全ですか?
    回答:

    妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療の利益がリスクを上回ると判断された場合のみテノホビルジソプロキシルフマル酸塩を投与します。
    研究結果では、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)はサルにおいて胎盤を通過することが確認されていますが、胎児組織への蓄積は認められていません。
    そのため、妊娠中や妊娠の可能性がある場合は、必ず主治医に相談し、定期的な検査を受けながら治療を続けることが重要です。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の服用を忘れた場合はどうすればよいですか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の服用を忘れた場合は、気づいた時にすぐに1回分を服用してください。
    ただし、次の服用時間が近い場合は忘れた分を飛ばし、次の予定の時間に1回分を服用してください。
    決して2回分を一度に服用しないでください。
    服用時間を忘れないようにするために、毎日同じ時間に服用する習慣をつけると良いでしょう。
    もし不安や疑問がある場合は、医師または薬剤師に相談してください。
    指示通りに飲み続けることが、治療効果を最大限にするために重要です。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の保存方法はどうすればよいですか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は直射日光や高温・湿気を避けて室温(1~30℃)で保管することが重要です。
    冷蔵庫に入れる必要はありません。
    また、小児の手の届かない場所に保管してください。
    もし薬剤の色や形が変わったり、異常なにおいがする場合は使用を避け、医師や薬剤師に相談してください。
    さらに、使用期限が過ぎた薬剤は使用せず、適切に廃棄してください。
    薬剤が残った場合、他の人に渡さず、処分方法について薬局や医療機関に相談してください。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩はB型肝炎に効果がありますか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、B型肝炎の治療に効果があります。
    この薬剤はB型肝炎ウイルス(HBV)の増殖を抑えることで、ウイルス量を減らし、肝機能の改善を助けます。
    特にB型慢性肝疾患の患者さんに使用され、肝炎の進行を遅らせ、肝臓の損傷を軽減することが期待されます。
    治療効果を最大化するためには、医師の指示通りに正確に服用することが重要で、体調が良くなったと感じても自己判断で中止せず、医師の指導に従って継続することが必要です。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩とラミブジンの相互作用は何ですか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)とラミブジンの相互作用では、特別な薬物相互作用は報告されていません。
    これらの薬剤は併用されることが多く、特にB型肝炎やHIVの治療に効果的です。
    TDFとラミブジンはそれぞれ異なるメカニズムでウイルスの増殖を抑制するため、併用することで治療効果を高めることができます。
    ただし、どちらの薬剤も腎臓に影響を与える可能性があるため、腎機能の定期的な監視が推奨されます。
    併用については医師の指示を必ず守り、自己判断で服用を変更しないようにしてください。

  • 質問:
    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩錠の主成分は何ですか?
    回答:

    テノホビルジソプロキシルフマル酸塩錠の主成分は「テノホビルジソプロキシルフマル酸塩」です。
    この成分は、B型肝炎ウイルスの増殖を抑えるために用いられます。
    具体的には、ウイルスのDNAポリメラーゼを阻害し、ウイルスの複製を抑制します。
    医師の指示に従い、毎日一定の時間に服用することが重要です。
    また、この薬は光や湿気を避け、常温で保管する必要があります。
    服用中に他の薬を使用する場合は、医師に相談することが大切です。