• カナ
    エムトリシタビン
  • 英語名
    Emtricitabine
  • 化学式
    C8H10FN3O3S
  • 分子量
    247.240 g/mol

HIV感染症治療に用いられるエムトリシタビンとは?

エムトリシタビンは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の治療に使用される抗ウイルス薬です。
核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)というグループに属しており、HIVの増殖を抑制する効果があります。

エムトリシタビンは、HIVが自身を複製する過程を妨げることで働きます。
ウイルスのDNA合成に必要な逆転写酵素という酵素の働きを阻害するため、HIVが新しいウイルス粒子を作り出すのを防ぎ、体内でのウイルスの増殖を抑えます。

エムトリシタビンは単独で使用されることは少なく、通常は他の抗HIV薬と組み合わせて使用されます。
これは、複数の薬を組み合わせることで、より効果的にHIVの増殖を抑え、薬剤耐性の発生リスクを減らすためです。

エムトリシタビンの効果

  • HIVの増殖抑制
    体内のHIVの量(ウイルス量)を減少させます。

  • 免疫機能の回復
    CD4細胞(HIVが攻撃する免疫細胞)の数を増やし、免疫システムの機能を改善します。

  • HIV関連症状の改善
    HIVによる症状を軽減し、エイズの発症を遅らせます。

  • 薬剤耐性の予防
    他の抗HIV薬と併用することで、薬剤耐性ウイルスの出現リスクを減らします。

エムトリシタビンは、毎日決まった時間に服用することが大切です。
飲み忘れた場合、気づいたらすぐに服用しますが、次の服用時間が近い場合は飛ばして通常のスケジュールに戻ります。
決して2回分を一度に服用しないでください。
HIVの治療は長期にわたるため、医師の指示なく服用を中止しないようにしましょう。

エムトリシタビンの副作用

エムトリシタビンは副作用の少ない薬として知られていますが、以下のような副作用が報告されています。

  • 頭痛
  • 吐き気
  • 下痢
  • めまい
  • 不眠
  • 皮疹

これらの副作用の多くは軽度で一時的なものですが、気になる症状がある場合は医師に相談しましょう。

エムトリシタビン使用時の生活上の注意点

まずは、十分な睡眠と栄養バランスの良い食事を心がけ、免疫力の維持に努めましょう。
また、喫煙は免疫機能を低下させる可能性があるため、禁煙を心がけ、過度の飲酒は避け、適度な飲酒にとどめましょう。

免疫力を高めるには、適度な運動も有効です。
手洗いやマスク着用など、一般的な感染予防策を心がけましょう。
また、医師の指示に従い、定期的に血液検査などを受けて、治療の効果や副作用をチェックしてください。

HIV治療は薬物療法だけでなく、総合的な健康管理が重要です。
規則正しい生活習慣を心がけ、定期的に医療機関を受診することで、より効果的な治療を行うことができるでしょう。

エムトリシタビンを含有する医薬品

テンビルEMの商品画像
販売価格 5,880円~
1錠 118円~

テンビルEMとは テンビルEMは、有効成分としてエムトリシタビンとテノホビルジソプロキシルフマル酸塩を含む抗HIV薬です。 この薬剤は、HIV感染症の治療に使用される複合剤で、逆転写酵素阻害薬(NRTI)に分類されます。 HIV感染症の治療だけでなく、曝露前予防(PrEP) にも使用されることがあります。 PrEPは、HIV陰性の人がH...

有効成分
エムトリシタビン テノホビルジソプロキシルフマル酸塩

よくあるご質問(FAQ)

  • 質問:
    エムトリシタビンの効果はどのようなものですか?
    回答:

    エムトリシタビンは、HIV感染症に効果のある薬剤です。
    HIV(ヒト免疫不全ウイルス)が人の体内で増える際に必要な逆転写酵素を阻害することによって、ウイルスの増殖を抑えます。
    ただし、エムトリシタビンは単独では効果が不十分なため、必ず他のHIV治療薬と併用されます。

  • 質問:
    エムトリシタビンの副作用はありますか?
    回答:

    エムトリシタビンは、特に注意すべき副作用として、次のものが報告されています。
    ・腎不全:尿量が減る、むくみ、身体がだるいなどの症状が現れることがあります。
    ・乳酸アシドーシス:頭痛、眠気、意識の低下などの症状が現れることがあります。
    ・脂肪肝:身体がだるい、吐き気、食欲不振、発熱、腹痛、白目や皮膚が黄色くなる、身体がかゆくなる、尿の色が濃くなるなどの症状が現れることがあります。
    このような症状に気づいたら、すぐに医師や薬剤師に相談してください。

  • 質問:
    エムトリシタビンの服用方法はどうなっていますか?
    回答:

    エムトリシタビンは、成人の場合、通常1日1回200mgを服用します。
    単独では効果が不十分なため、他のHIV治療薬との併用が一般的です。
    ただし、エムトリシタビンを含むHIV治療薬は、そのほとんどが他のHIV治療薬も含む配合剤です。
    製品によっては、他のHIV治療薬との併用を禁止しているものもあります。
    同じエムトリシタビンを含むHIV治療薬でも、服用方法は製品によって様々です。
    必ず医師の指示に従って、エムトリシタビンを使用してください。

  • 質問:
    エムトリシタビンはどのような疾患に使用されますか?
    回答:

    エムトリシタビンは、HIV感染症の治療薬として使用されます。
    単独では効果が不十分なため、他のHIV治療薬との併用が一般的です。
    また、日本国内では承認されていませんが、治療だけでなくHIV感染症の予防薬としても用いられます。
    このようなHIVの感染前に予防として服用する方法をPrEP(プレップ)と呼びます。
    海外ではすでに、HIV感染症の予防薬としてエムトリシタビンが積極的に使用されています。

  • 質問:
    エムトリシタビンの投与量はどのくらいですか?
    回答:

    エムトリシタビンは、成人の場合、通常1日1回200mgを服用します。
    エムトリシタビンは抗HIV作用を持つ成分であり、HIV治療薬として複数の製品に使用されています。
    多くのHIV治療薬は、1錠当たりエムトリシタビンを200mg含んでいるため、1日1回1錠を服用することが一般的です。

  • 質問:
    エムトリシタビンの価格はどのくらいですか?
    回答:

    エムトリシタビンはHIV治療に用いられる有効成分であり、その価格は製品によって異なります。
    2024年6月13日時点のエムトリシタビンを含むHIV治療薬の薬価は次のとおりです。
    ・ツルバダ配合錠:1錠2,442.4円
    ・ゲンボイヤ配合錠:1錠7,040.5円
    ・デシコビ配合錠LT:1錠2,781.1円
    ・デシコビ配合錠HT:1錠3,991.5円
    ・オデフシィ配合錠:1錠5,872.7円
    ・ビクタルビ配合錠:1錠7,094.1円
    ・シムツーザ配合錠:1錠4,607.1円
    このように、エムトリシタビンは製品によって薬価に差があります。

  • 質問:
    エムトリシタビンはジェネリック医薬品がありますか?
    回答:

    エムトリシタビンにはジェネリック医薬品がありますが、2024年6月時点では日本国内で承認されていません。
    そのため、エムトリシタビンのジェネリックは海外からの輸入品として利用されています。
    ジェネリックは先発品に比べて安価であり、通販で購入することも可能です。
    個人輸入を行う際は、信頼できるサイトや業者を利用することが重要です。
    安全に使用するためには、医師のアドバイスを受けることをおすすめします。

  • 質問:
    エムトリシタビンの薬物相互作用はありますか?
    回答:

    複数の薬剤との薬物相互作用が、エムトリシタビンでは報告されています。
    エムトリシタビンは腎臓から排泄されるため、同じく腎臓から排泄される薬剤とエムトリシタビンの併用には注意が必要です。
    エムトリシタビンと他の薬剤の排泄が競合するため、エムトリシタビンの排泄が遅れ、体内濃度が上昇します。
    体内濃度の上昇は、副作用の発生に繋がる恐れがあります。
    エムトリシタビン以外の薬剤を服用されている場合は、必ず医師や薬剤師にお伝えください。

  • 質問:
    エムトリシタビンはHIV治療に効果がありますか?
    回答:

    エムトリシタビンは、HIV治療に効果があります。
    エムトリシタビンはHIV治療に用いられる有効成分の名前であり、複数のHIV治療薬に含まれています。
    日本国内では、次のようなHIV治療薬が、エムトリシタビンを有効成分としています。
    ・ツルバダ配合錠
    ・ゲンボイヤ配合錠
    ・デシコビ配合錠LT
    ・デシコビ配合錠HT
    ・オデフシィ配合錠
    ・ビクタルビ配合錠
    ・シムツーザ配合錠
    なお、エムトリシタビンは単独では効果が不十分なため、他のHIV治療薬と併用することが一般的です。

  • 質問:
    エムトリシタビンは他の抗HIV薬と併用できますか?
    回答:

    エムトリシタビンは、他の抗HIV薬と併用ができます。
    エムトリシタビンは単独では効果が不十分なため、必ず他のHIV治療薬と併用する必要があります。
    ただし、同じくエムトリシタビンを含む他の抗HIV薬とは併用できません。
    また、同じ抗HIV薬であり、ウイルスに対してエムトリシタビンと似た作用を示す「ラミブジン」との併用も禁止されています。
    この様に、エムトリシタビンは他の抗HIV薬と併用し使用されますが、併用できない薬剤もあります。
    エムトリシタビンを他の抗HIV薬と服用する際は、必ず医師の指示に従ってください。

  • 質問:
    エムトリシタビンの作用機序は何ですか?
    回答:

    エムトリシタビンは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)が人の身体で増える際に必要な逆転写酵素を阻害することによって、ウイルスの増殖を抑えます。
    具体的には、次の様な作用機序により、HIVの増殖を阻害します。
    エムトリシタビンは、人の細胞内酵素によりリン酸化され、エムトリシタビン5’-三リン酸となります。
    エムトリシタビン5’-三リン酸は、HIV逆転写酵素の基質であるデオキシシチジン5’-三リン酸と競合します。
    エムトリシタビン5’-三リン酸は、新生ウイルスDNAに取り込まれた後に、DNA鎖の伸長を停止させます。
    この様な作用により、エムトリシタビンはHIV治療薬として用いられています。

  • 質問:
    エムトリシタビンの一般名は何ですか?
    回答:

    エムトリシタビンの一般名は、エムトリシタビン(Emtricitabine)です。
    世界共通の医薬品の固有名詞であるINN(医薬品国際一般名称)と、日本独自の固有名詞であるJAN(日本医薬品一般名称)の両方に命名されています。

  • 質問:
    エムトリシタビンはB型肝炎に有効ですか?
    回答:

    エムトリシタビンはHIV感染症の治療薬ですが、B型肝炎にも有効です。
    そのため、HIVとB型肝炎の両方に感染している場合、エムトリシタビンの服用を中止するとB型肝炎が悪化することがあります。
    HIVの症状がよくなってきたからといって、自己判断でエムトリシタビンの服用をやめることは危険です。
    エムトリシタビンの服用を中止する場合は、必ず医師に相談してください。
    また、中止した後も、少なくとも数ヵ月は状態を注意深く観察する必要があります。

  • 質問:
    エムトリシタビンの半減期はどれくらいですか?
    回答:

    併用する薬剤や健康状態によって異なりますが、エムトリシタビンの半減期はおおよそ10~20時間です。
    日本人の健康成人を対象とした試験では、次の様な結果が得られています。
    ・ダルナビル・コビシスタット配合錠、デシコビ配合錠LT単回経口投与時:13.9時間
    ・デシコビ配合錠HT単回経口投与時:22.3時間
    エムトリシタビンは単独では効果が不十分なため、他の抗HIV薬との併用が一般的ですが、この様に併用する薬剤によってエムトリシタビンの半減期は異なります。
    また、エムトリシタビンは主に腎臓から排泄されるため、腎機能が低下している方は半減期が長くなる傾向があります。

  • 質問:
    エムトリシタビンの薬価は何ですか?
    回答:

    HIV治療薬の有効成分であるエムトリシタビンは、製品によって薬価が異なります。
    2024年6月13日時点での薬価は、ツルバダ配合錠(1錠)が2,442.4円と最も安価で、ビクタルビ配合錠(1錠)が7,094.1円と最も高価でした。
    具体的には、
    ・ツルバダ配合錠:2,442.4円/錠
    ・ゲンボイヤ配合錠:7,040.5円/錠
    ・デシコビ配合錠LT:2,781.1円/錠
    ・デシコビ配合錠HT:3,991.5円/錠
    ・オデフシィ配合錠:5,872.7円/錠
    ・ビクタルビ配合錠:7,094.1円/錠
    ・シムツーザ配合錠:4,607.1円/錠

  • 質問:
    エムトリシタビンの肝機能への影響はどうですか?
    回答:

    頻度は少ないですが、エムトリシタビンは脂肪沈着により重度の肝腫大(脂肪肝)を起こすことが報告されています。
    肝腫大が生じると、主に次の様な症状が現れます。
    ・身体がだるい
    ・吐き気
    ・食欲不振
    ・発熱
    ・腹痛
    ・白目が黄色くなる
    ・皮膚が黄色くなる
    ・身体がかゆくなる
    ・尿の色が濃くなる
    エムトリシタビンを服用中にこの様な症状が現れた場合は、すぐに医師または薬剤師に相談してください。

  • 質問:
    エムトリシタビンの腎機能への影響はどうですか?
    回答:

    頻度は少ないですが、エムトリシタビンは腎不全や重度の腎機能障害を起こすことが報告されています。
    腎不全や腎機能障害が生じると、主に次の様な症状が現れます。
    ・尿量が減る
    ・むくみ
    ・身体がだるい
    ・筋力の低下
    ・骨痛
    ・発熱
    ・発疹
    ・関節の痛み
    ・吐き気
    ・嘔吐
    ・下痢
    ・腹痛
    ・尿量が増える
    ・喉が渇く
    ・多飲
    エムトリシタビンを服用中にこの様な症状が現れた場合は、すぐに医師または薬剤師に相談してください。

  • 質問:
    エムトリシタビンのアレルギー反応はありますか?
    回答:

    エムトリシタビンの服用によりアレルギー反応を起こすことがあります。
    最悪の場合、アナフィラキシーショックを起こし、死に至ることもあります。
    エムトリシタビンを服用した後に、肌のかゆみやブツブツ、呼吸困難などが現れた場合は、すぐに病院を受診してください。

  • 質問:
    エムトリシタビンの飲み忘れた場合はどうすればよいですか?
    回答:

    エムトリシタビンを飲み忘れた場合は、決して2回分を一度に飲まないでください。
    飲み忘れに気が付いた時点で1回分を飲み、次回から予定どおり服用してください。
    なお、飲み忘れに気が付いた時が次の服用時間に近い場合は、1回とばして次回から予定どおり服用してください。