ヒドロクロロチアジドの成分画像
  • カナ
    ヒドロクロロチアジド
  • 英語名
    Hydrochlorothiazide
  • 化学式
    C7H8ClN3O4S2
  • 分子量
    297.741 g/mol

ヒドロクロロチアジドの働き

ヒドロクロロチアジドは、高血圧や浮腫(むくみ)の治療に広く用いられる利尿薬です。
体内の余分な水分と塩分を排出する働きがあり、血圧を下げる効果があります。
多くの人が高血圧の治療にこの薬を服用しています。

ヒドロクロロチアジドは、腎臓に作用して尿の量を増やします。
腎臓の尿細管という部分でナトリウムと塩素の再吸収を阻害することで、体内の余分な水分と塩分が尿と一緒に排出される仕組みです。

水分と塩分が減ることで、血液の量が減り、血管にかかる圧力が低下します。
その結果、血圧が下がるのです。
また、むくみの原因となる余分な水分も体外に出るので、むくみの改善にも効果があります。

服用量は人それぞれ異なり、年齢や症状の程度、他の病気の有無などによって医師が判断します。
自己判断で量を変えたり、急に服用をやめたりするのは危険です。
必ず医師の指示に従いましょう。
飲み忘れた場合は、気づいたときにすぐに飲みますが、次の服用時間が近い場合は飛ばして、次の分から規則正しく飲むようにしましょう。
絶対に2回分を一度に飲まないでください。

副作用と注意点

ヒドロクロロチアジドには、他の薬と同様に副作用がある場合があります。
よくある副作用には以下のようなものがあります。

  • めまいや立ちくらみ
    血圧が急に下がることで起こります。
    ゆっくり立ち上がるなど、急な動作を避けましょう。

  • 頻尿
    利尿作用により尿量が増えます。
    特に服用初期に多く見られます。

  • 電解質のバランスの乱れ
    カリウムやナトリウムなどの電解質が不足することがあります。
    バナナやオレンジなど、カリウムを含む食品を適度に摂取するのも良いでしょう。

  • 血糖値の上昇
    糖尿病の人や糖尿病の傾向がある人は、血糖値の変動に注意が必要です。

  • 光線過敏症
    日光に当たると皮膚が赤くなったり、かゆみが出たりすることがあります。
    日焼け止めを使用し、長時間の日光浴は避けましょう。

これらの副作用が強く出たり、長く続いたりする場合は、すぐに医師に相談してください。
また、めまいや失神、急な体重減少、ひどい下痢や嘔吐、筋肉の痛みやけいれんなどの症状が現れた場合も、医師に報告しましょう。

ヒドロクロロチアジドを服用する際の生活上の注意

ヒドロクロロチアジドを服用している間は、以下の点に気をつけましょう。

  • アルコールを控えめにする
    アルコールは利尿作用があり、脱水のリスクが高まります。

  • 十分な水分補給
    特に暑い日や運動時は、積極的に水分を取りましょう。

  • 急激な姿勢の変化を避ける
    めまいや立ちくらみを防ぐため、ゆっくりと動作するよう心がけましょう。

  • 定期的な検査
    腎機能や電解質のバランスをチェックするため、医師の指示に従って定期的に検査を受けましょう。

  • 運動や入浴
    激しい運動や長時間の入浴は血圧の変動を招く可能性があるので、体調を見ながら適度に行いましょう。

  • 塩分摂取
    極端な塩分制限は避け、バランスの取れた食事を心がけましょう。

  • 体重管理
    急激な体重の変化があった場合は、医師に相談しましょう。

よくあるご質問(FAQ)

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドの効果は何ですか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドは、主に以下の効果があります。
    1. 利尿作用:腎臓でのナトリウムと塩素の再吸収を抑制し、尿量を増やすことで体内の余分な水分を排出します。
    そのため、高血圧症や浮腫の改善に効果があります。
    2. 降圧作用:利尿作用に加えて、血管を拡張させる作用もあり、血圧を下げる効果があります。
    そのため、高血圧症の治療に広く用いられています。
    また、ヒドロクロロチアジドは月経前緊張症(生理前のイライラや肌荒れ)の治療にも用いられています。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドの先発品は何ですか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドの先発品は、「ダイクロトライド」で、MSD株式会社(旧万有製薬)から販売されていました。
    しかし、現在は販売中止となっており、後発品のみが販売されています。
    後発品は、東和薬品より以下の3種類が販売されています。
    ・ヒドロクロロチアジド錠12.5mg「トーワ」
    ・ヒドロクロロチアジド錠25mg「トーワ」
    ・ヒドロクロロチアジド OD 錠 12.5mg「トーワ」
    なお、以上は単剤であり、ヒドロクロロチアジドには配合剤として以下の先発品もあります。
    ・ミコンビ配合錠AP/BP
    ・エカード配合錠LD/HD
    ・ミカトリオ配合錠
    ・コディオ配合錠MD/EX
    ・プレミネント配合錠LD/HD

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドの別名は何ですか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドは一般名であり、これ自体が薬剤の正式名称です。
    そのため、ヒドロクロロチアジドには別名はありません。
    ただし、過去に販売されていた先発品「ダイクロトライド」や、現在販売されている後発品(例:ヒドロクロロチアジド錠12.5mg「トーワ」)など、様々な商品名で呼ばれることがあります。
    また、化学名として「6-Chloro-3,4-dihydro-2H-1,2,4-benzothiadiazine-7-sulfonamide 1,1-dioxide」という名称がありますが、一般的に使用されることはほとんどありません。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドの副作用は何ですか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドは、主に以下の副作用が報告されています。
    【一般的な副作用】
    呼吸困難、発疹、黄疸、便秘、食欲不振、吐き気・嘔吐、めまい、頭痛、不整脈、けん怠感
    【まれな副作用】
    ・再生不良性貧血:めまい、鼻血、歯ぐきの出血など
    ・溶血性貧血:からだがだるい、ふらつき、疲れやすいなど
    ・壊死性血管炎:赤い斑点、皮下出血によるあざ、水ぶくれなど
    これら以外にも、複数の副作用が報告されています。
    ヒドロクロロチアジドを服用中に体に異常を感じた場合は、すぐに医師または薬剤師に相談してください。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドを飲んでもお酒は飲めますか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドを服用中にお酒を飲むことは可能ですが、併用によって立ちくらみが強まる可能性があるため、注意が必要です。
    ヒドロクロロチアジドは尿量を増やすことによって血圧を下げる薬剤です。
    アルコールには血管を拡張させる作用があるため、ヒドロクロロチアジドとの併用により降圧作用が増強し、立ちくらみが現れやすくなると報告されています。
    そのため、ヒドロクロロチアジドの服用中は、できるだけアルコールの摂取を控えることをおすすめします。
    もしアルコールを摂取する場合は、少量に抑えるようにしてください。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドはいつ飲みますか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドの服用タイミングは、個人の症状や年齢によって異なります。
    通常、1日1回または2回の服用が一般的ですが、必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
    自己判断で服用タイミングを変更しないようにしましょう。
    副作用が現れやすくなったり、期待した効果が得られなくなったりする可能性があります。
    なお、ヒドロクロロチアジドは尿量を増加させる薬剤であるため、服用後はトイレに行く回数が増えることがあります。
    したがって、午前中に服用することが望ましいです。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドは何系ですか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドはチアジド系利尿薬に分類されます。
    この薬剤は、腎臓の遠位尿細管でナトリウムイオンと塩化物イオンの再吸収を抑制することにより、利尿作用を発揮します。
    通常、これらのイオンは体液の浸透圧維持に不可欠ですが、チアジド系利尿薬は再吸収を阻害し、尿中への排出を促進します。
    その結果、水も一緒に排出され、尿量が増加し、体内の水分量が減少します。
    この作用機序により、チアジド系利尿薬は高血圧症や浮腫の治療に広く用いられています。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドの作用機序は何ですか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドは腎臓の尿細管でナトリウムと塩素の再吸収を抑え、水分の排出を促進します。
    これにより、体内の水分量が減少し、血圧が低下します。
    また、血管を拡張させる作用も持つと考えられていますが、詳しい仕組みはまだ解明されていません。
    初期には、体内の水分量が減少することで心臓から送り出される血液量が減り、血圧が下がります。
    長期的に使用すると、血管が拡張し、血液が流れやすくなることで血圧が低下する可能性があります。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドは降圧作用がありますか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドは、降圧作用を持つ利尿薬です。
    主な作用機序は2つあります。
    1つ目は、腎臓でのナトリウムと塩素の再吸収を抑制し、尿量を増やすことで体内の余分な水分を排出する「利尿作用」です。
    これにより、血液量が減少することで、血圧が下がります。
    2つ目は、「血管拡張作用」です。
    ヒドロクロロチアジドには血管を拡張させる作用もあり、これにより末梢血管抵抗が低下し、血圧が下がります。
    これらの作用により、ヒドロクロロチアジドは高血圧症の治療に広く用いられています。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドとフルイトランの違いは何ですか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドとフルイトランは、どちらも高血圧や浮腫の治療に用いられる薬剤ですが、作用機序が少し異なります。
    【ヒドロクロロチアジド】
    以下の3つの作用機序により、高血圧や浮腫を改善します。
    ・腎臓の遠位尿細管という部分で、ナトリウムと塩素の再吸収を抑え、尿を増やします。
    ・腎臓の炭酸脱水素酵素の働きを抑え、水分の排泄を促します。
    ・血管を拡張させます。
    【フルイトラン】
    以下の2つの作用機序により、高血圧や浮腫を改善します。
    ・腎臓の遠位尿細管という部分で、ナトリウムと塩素の再吸収を抑え、尿を増やします(ヒドロクロロチアジドと同じ作用です)。
    ・血管の神経の感受性を下げることで、血管を拡張させます。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドはどのような薬ですか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドは、チアジド系利尿薬に分類される薬剤です。
    腎臓でのナトリウムと塩素の再吸収を抑制し、尿量を増加させることで、高血圧や浮腫の改善に効果を発揮します。
    また、血管を拡張させる作用も併せ持つと考えられています。
    先発品は「ダイクロトライド」でしたが、現在は販売中止となっており、後発品のみが販売されています。
    主な副作用としては、呼吸困難、発疹、黄疸、便秘、食欲不振、吐き気・嘔吐、めまい、頭痛、不整脈、倦怠感などが報告されています。
    アルコールとの併用により立ちくらみが現れやすくなるため、服用中はアルコールの摂取をなるべく控え、医師または薬剤師の指示に従って服用してください。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドの適切な服用方法は何ですか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドの基本的な服用方法は、以下のとおりです。
    ・1日1~2回、決められた量を服用します。
    ・食前、食後どちらでも服用できます。1日の決まった時間に服用してください。
    ・服用するトイレに行く回数が増えるため、寝る前に飲むことが望ましいです。
    ・コップ1杯の水、またはぬるま湯で飲んでください。
    なお、ヒドロクロロチアジドの適切な飲む量や回数は、個人の症状や年齢によって異なります。
    自己判断で服用方法を変更すると、症状が悪化したり、危険な副作用が現れたりするリスクがあるため、医師または薬剤師から指示された服用方法がある場合は、必ず指示に従って服用してください。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドの効果が現れるまでにどのくらいの時間がかかりますか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドの効果が現れるまでの時間に関する公式なデータは存在しません。
    しかし、ヒドロクロロチアジドは服用後、約1~2時間で血中濃度が最大に達すると報告されています。
    そのため、効果が現れるまでには少なくとも約1時間かかると考えられます。
    なお、効果が現れる時間は症状の度合いや年齢によって個人差があります。
    薬剤は指示通りに服用し、効果が感じられない場合は担当の医師や薬剤師に相談してください。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドを服用しているときに避けるべき食品や飲み物はありますか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドを服用している間は、アルコールの摂取はできるだけ控えることをおすすめします。
    ヒドロクロロチアジドとアルコールはどちらも血圧を下げる作用があります。
    そのため、併用すると血圧が過度に低下し、立ちくらみやめまいなどの症状が現れる可能性があります。
    もしアルコールを摂取する場合は、少量にとどめ、飲酒後の体調変化に注意してください。
    万が一、体調が悪くなった場合はすぐに担当の医師や薬剤師に相談してください。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドと他の薬の相互作用はありますか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドには、併用が禁止の薬剤や、併用に注意すべき薬剤があります。
    【併用禁止】
    ・ミニリンメルト:尿崩症の治療薬です。併用により、低ナトリウム血症を生じる恐れがあります。
    【併用注意】
    ・インドメタシン:痛み止めの薬です。併用により、ヒドロクロロチアジドの効果が弱まることがあります。
    ・インスリン:糖尿病の薬です。併用により、インスリンの効果が弱まる可能性があります。
    以上以外にも、ヒドロクロロチアジドには併用に注意すべき薬がいくつか存在します。
    現在治療中の病気がある方や、新しく薬剤を使用する方は、必ず医師や薬剤師に相談してください。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドの長期使用によるリスクはありますか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドの長期使用によるリスクは特に報告されていません。
    ただし、効果や安全性は人によって異なります。
    定期的に医師の診察を受け、医師の指導のもとでヒドロクロロチアジドを使用してください。
    効果が感じられない場合や体に異常が現れた場合は、すぐに担当の医師または薬剤師に相談してください。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドは高血圧治療にどのくらい効果的ですか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドの効果は症状の度合いや年齢によって個人差がありますが、国内の治験においては以下の効果が確認されています。
    血圧が改善した患者数と割合は59/85例(69.4%)です。
    成人には、ヒドロクロロチアジドとして1回25~100mgを1日1~2回経口投与することができますが、高血圧症の治療に用いる場合は、少量から始めて徐々に増量することが一般的です。
    また、以上はヒドロクロロチアジド単独での効果であり、重度の高血圧には他の高血圧症治療薬との併用が推奨されています。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドは利尿薬としてどのように機能しますか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドは、腎臓の遠位尿細管でナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl-)の再吸収を抑制することで利尿作用を発揮します。
    通常、これらのイオンは体液の浸透圧を維持するために再吸収されますが、ヒドロクロロチアジドはこの再吸収を阻害します。
    その結果、Na+とCl-は尿中に排出され、水も一緒に排出されるため、尿量が増加し、体内の水分量が減少します。
    また、ヒドロクロロチアジドは炭酸脱水酵素阻害作用も有しており、これも利尿作用に寄与すると考えられています。

  • 質問:
    ヒドロクロロチアジドはどのように体内で代謝されますか?
    回答:

    ヒドロクロロチアジドは、ほとんど代謝されず、尿中へと排泄されます。
    日本人での検証ではありませんが、外国人では以下のようなデータが得られています。
    ヒドロクロロチアジド75mgを健康な成人に経口投与したとき、ヒドロクロロチアジドはほとんど代謝されず、尿中へと排泄されました。
    摂取したヒドロクロロチアジドのほとんどは12時間以内に尿中へと排泄され、4日間で投与したヒドロクロロチアジドの70%が尿中へと排泄されました。