アテノロール

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カナアテノロール
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英語名Atenolol
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化学式C14H22N2O3
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分子量266.34 g/mol
心臓に優しいアテノロールとは?
アテノロールは、心臓の負担を軽減する薬として知られています。
この薬は選択的β1遮断薬に分類され、主に心臓に作用します。
高血圧や狭心症、不整脈の治療によく使われる薬です。
他のβ遮断薬と比べ、アテノロールには以下のような特徴があります。
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心臓選択性
主に心臓のβ1受容体に作用し、気管支などへの影響が少ないです。 -
長時間作用
1日1回の服用で効果が持続します。 -
水溶性
脂溶性の低い薬なので、脳への移行が少なく、中枢神経系の副作用が起こりにくいです。 -
腎臓からの排泄
肝臓での代謝を受けにくいため、肝機能障害のある人でも使いやすいです。
アテノロールの効果
アテノロールには以下のような効果があります。
- 心拍数を落とす
- 心臓の収縮力を弱める
- 血圧を下げる
- 狭心症の発作を予防する
- 不整脈を抑える
これらの効果により、心臓への負担が軽減されます。
ただし、急に服用を中止すると狭心症や不整脈が悪化する恐れがあります。
医師の指示なしに服用を中止しないようにしましょう。
副作用と注意点
アテノロールの主な副作用には以下のようなものがあります。
- めまい
- 疲労感
- 手足の冷え
- 睡眠障害
- 性機能障害
また、以下の人はアテノロールの使用に注意が必要です。
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喘息やCOPDの人:症状を悪化させる可能性があります。
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糖尿病の人:低血糖の症状を隠してしまう可能性があります。
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末梢循環障害のある人:症状を悪化させる可能性があります。
運動時にも注意が必要で、アテノロールは運動時の心拍数上昇を抑えるため、激しい運動を行う際は徐々に運動強度を上げていくなどしましょう。
生活習慣の改善と長期使用の影響
アテノロールによる治療と並行して、以下のような生活習慣の改善も大切です。
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減塩:1日の塩分摂取量を6g未満に抑えましょう。
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適度な運動:ウォーキングなどの軽い有酸素運動から始めるのがよいでしょう。
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禁煙:喫煙は血管を収縮させ、薬の効果を弱める可能性があります。
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節酒:過度の飲酒は血圧を上昇させる要因になります。
アテノロールを長期間使用する場合、以下の点に注意が必要です。
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脂質代謝への影響:HDLコレステロールを低下させる可能性があります。
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耐糖能への影響:インスリン感受性を低下させる可能性があります。
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突然の中止による反跳現象:急に中止すると、血圧が急上昇したり、狭心症が悪化したりする可能性があります。
また、特に長期間アテノロールを服用する場合は、定期的に以下の項目をチェックすることが大切です。
- 血圧
- 心拍数
- 腎機能
- 電解質バランス
- 血糖値(糖尿病患者の場合)
よくあるご質問(FAQ)
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質問:アテノロール錠は何の薬ですか?回答:
アテノロールの先発品であるテノーミンは、心臓選択性β遮断剤としてアストラゼネカ株式会社が製造販売を行っていましたが、2021年7月からは太陽ファルマ株式会社が製造販売を行っています。
アテノロールはβ受容体を遮断する作用により血圧を低下させ、心拍数を下げ、頻脈を改善する効果があります。
そのため、適応症として本態性高血圧症、期外収縮、洞性頻脈、狭心症、頻脈性不整脈の治療に使用されます。
主な副作用として低血圧、呼吸困難、喘鳴、視力異常、頭痛、めまい、口渇、嘔吐、食欲不振、下痢があり、症状が出現した際は医師に相談しましょう。 -
質問:アテノロールの降圧効果はどの程度ですか?回答:
アテノロールは本態性高血圧症(軽症~中等度)に対して効果があります。
高血圧は本態性高血圧と二次性高血圧に分類され、二次性高血圧はホルモン分泌過多や薬の副作用などが原因で発生します。
それ以外の高血圧が本態性高血圧とされ、高血圧患者の約85%が本態性高血圧と報告されています。
高血圧は様々な要因によって発生するため、医師に正しくアセスメント(診断)してもらい、用法・用量を正しく守って服用しましょう。 -
質問:アテノロールとテノーミンの違いは何ですか?回答:
アテノロールとテノーミンの違いは、一般名がアテノロールで販売名がテノーミンであることです。
テノーミンは有効成分であるアテノロールの含有量が異なります。
2024年2月の時点では、テノーミン錠25(アテノロール含量:25mg)とテノーミン錠50(アテノロール含量:50mg)の2種類が製造販売されています。
どちらも太陽ファルマが製造・販売しており、薬価はテノーミン50mg1錠あたり10.4円、テノーミン25mg1錠あたり9.8円となっています。 -
質問:アテノロールとテノーミンはどちらが先発ですか?回答:
テノーミンが先発品で、アテノロールは有効成分の名前です。
先発品のテノーミンは太陽ファルマが製造・販売しており、テノーミン25mg1錠あたりの薬価は9.80円です。
アテノロールは後発品であり、日医工岐阜工場、日医工、武田薬品、沢井製薬、日新製薬、サンドなどが販売しています。
後発品のアテノロール錠25mg1錠あたりの薬価は5.90円となっています。
テノーミン錠の有効成分であるアテノロールはβ遮断薬に分類され、適応症として本態性高血圧症、期外収縮、洞性頻脈、狭心症、頻脈性不整脈の治療に使用されます。 -
質問:アテノロールは血圧を下げる薬ですか?回答:
アテノロールは血圧を下げる効果があります。
心臓の交感神経β受容体を選択的に遮断する作用があり、それにより心拍出量を減らし、血管にかかる圧を減少させることで狭心症の発作を予防し、不整脈を改善することができます。
そのため、適応症として本態性高血圧症(軽症~中等度)、狭心症、頻脈性不整脈の治療に用いられます。
ただし、もともと降圧剤を内服している方はアテノロールを内服することで降圧作用が増強し、低血圧により意識障害を起こす可能性があるため注意が必要です。 -
質問:アテノロールの効果はどのくらい持続しますか?回答:
アテノロールは、毎日1回経口投与することで24時間にわたって安定した降圧作用があります。
アテノロール50mgを内服した場合、最高血中濃度到達時間は内服後約3.1時間で、血中濃度半減期は約8.9時間となっています。
最高血中濃度到達時間とは、血中濃度が最大濃度に達するまでの時間を指し、血中濃度半減期は薬物の血中濃度が半分になるまでの時間を表しており、これらは体内動態の指標となります。 -
質問:アテノロールの飲み方は何ですか?回答:
アテノロールの飲み方は、成人の場合1回1錠(アテノロールとして50mg)を1日1回服用します。
効果の度合いや副作用症状、年齢、体重、症状によって適宜増減しますが、最高量は1日1回2錠(100mg)までとされています。
アテノロールを飲み忘れた場合は気づいた時点で服用しましょう。
ただし、次の服用までの時間の間隔が短い場合は1回分スキップし、次の服用時間に1回分を飲んでください。
飲み忘れたからといって2回分を一度に飲まないようにしましょう。 -
質問:アテノロールの量はどのくらいですか?回答:
アテノロールの量は、成人の場合1日1回2錠(アテノロールとして50mg)を経口投与します。
最高量は1日1回2錠(100mg)までとします。
それ以上内服すると副作用症状が出現するリスクが高くなります。
副作用症状には、発疹、かゆみ、視力異常、霧視、涙液分泌減少、動悸、頭痛、口渇、倦怠感、脱力感があります。
指示された用法・用量を正しく服用していても症状が出現することがありますので、その場合は服用を中断し医師に相談しましょう。 -
質問:アテノロールは喘息に禁忌ですか?回答:
アテノロールは喘息患者には基本的には禁忌となります。
また、喘息だけでなく気管支炎や気管支けいれんのおそれがある場合にも注意が必要です。
アテノロールは降圧薬として心臓にだけ作用する働きがあり、気管支への影響は少ないことが特徴です。
しかし、副作用として喘息発作(咳き込み、ぜいぜい、ヒューヒュー音がする、息切れ、呼吸困難など)を誘発する可能性があるため、投与時は注意が必要です。 -
質問:アテノロールの注意点はありますか?回答:
アテノロールは現在かかっている疾患によっては症状を悪化させる恐れがあります。
例えば、心不全や刺激伝導障害、徐脈、低血圧、末梢循環障害などがあり、これらの疾患を悪化させる可能性があります。
また、アテノロールは心臓にだけ作用する働きがあり気管支への影響は少ないですが、喘息を誘発させる副作用もあるため注意が必要です。
高齢者も全身状態の機能低下から副作用症状を起こしやすい傾向があるため、慎重に投与する必要があります。 -
質問:アテノロールの副作用でめまいは起こりますか?回答:
アテノロールの副作用としてめまいが起こることがあります。
その他には倦怠感、発疹、掻痒感、視力異常、霧視、涙液分泌減少などがあります。
めまいが起こる要因として、アテノロールは降圧薬であり、β受容体を遮断する作用によって血圧を低下させる効果があります。
降圧効果が過度になると低血圧となり、めまいやふらつき、重度の場合には意識障害が発生する恐れがあります。
アテノロール内服中にこれらの症状が出現した場合は服用を中断し、医師に相談しましょう。 -
質問:アテノロールの1日の摂取量はどれくらいですか?回答:
アテノロールの量は年齢、体重、効果の度合い、副作用症状などを総合的にアセスメントして調整します。
成人の場合、1日1回1錠(アテノロールとして50mg)を経口投与します。
最高量は1日1回2錠(100mg)までとされています。
それ以上内服することで副作用症状が出現するリスクが高くなります。
そのため、飲み忘れた際に自己判断で1度に2回分内服することは避け、最高量を超えると副作用のリスクが高まるため十分に注意して服用しましょう。 -
質問:アテノロールの副作用は何ですか?回答:
アテノロールの主な副作用には以下のものがあります。
低血圧、視力障害、頭痛、めまい、倦怠感、口渇、嘔吐、食欲不振、下痢、便秘、腹痛
他に、重大な副作用としては、呼吸困難、喘鳴の悪化、徐脈、心不全、気管支痙攣、房室ブロック、洞房ブロック、失神、血小板減少症、紫斑病があります。
副作用は用法・用量を正しく守っていても誰にでも発生する可能性があります。
また、疾患によっても症状を悪化させる恐れがあるため、医師に現在内服している薬剤や既往歴を正しく伝えてから処方してもらうようにしましょう。 -
質問:アテノロールの半減期はどれくらいですか?回答:
アテノロールの半減期は、アテノロール25mgの場合は約8.7時間、アテノロール50mgの場合は約8.9時間です。
肝機能障害のある方は、この半減期が遅延することがあります。
薬剤は肝臓で代謝されますが、肝機能が低下すると代謝に時間がかかり、体内に薬剤が滞留するため、血中濃度の半減期も延びます。
血中濃度が高い状態を維持すると副作用のリスクが高まるため、医師に既往歴や現在内服している薬剤を正確に伝えた上で処方してもらいましょう。 -
質問:アテノロール錠25mgの副作用は何ですか?回答:
アテノロール錠25mgの主な副作用には以下のものがあります。
副作用は用法・用量を正しく守っていても誰にでも発生する可能性があります。
具体的な例は、低血圧、視力障害、頭痛、めまい、倦怠感、口渇、嘔吐、食欲不振、下痢、便秘、腹痛などです。
重大な副作用としては、呼吸困難、喘鳴の悪化、徐脈、心不全、気管支痙攣、房室ブロック、洞房ブロック、失神、血小板減少症、紫斑病があります。
また、疾患によっても症状を悪化させる恐れがあるため、医師に相談の上、処方してもらうようにしましょう。 -
質問:アテノロールは振戦に効く薬ですか?回答:
アテノロールは降圧薬であり、心臓の交感神経β1受容体を選択的に遮断することで血圧を低下させたり、頻脈性不整脈を改善させる効果があります。
本態性振戦の震えの原因は、脊髄細胞の異常興奮とβ2受容体刺激の2つの機序が考えられているため、アテノロールには振戦を改善する効果は期待できません。
日本国内で、本態性振戦の治療薬として保険適用があるのはアロチノロールのみであり、そのため振戦の第1選択薬はアロチノロールの内服が推奨されます。 -
質問:アテノロールを飲んでもお酒は飲めますか?回答:
アテノロールは心臓のβ受容体を遮断することで血圧を下げる効果がある降圧薬ですが、降圧薬はアルコールとの相性が良くありません。
アルコールにより一時的に血圧が低下し、アテノロールの降圧作用と相乗効果をもたらし、低血圧の可能性があります。
また、アルコールと薬が同時に体内に入ると、肝臓でのアルコールの分解が優先され、薬剤の分解が滞り、薬剤が長時間体内に残ることで効き目が強く現れるため、飲酒は控えるようにしましょう。 -
質問:アテノロールの代替薬は何ですか?回答:
アテノロールの代替薬には以下のものがあります。
・商品名:アルセノール(メーカー:原沢製薬)
・商品名:テノーミン(メーカー:太陽ファルマ)です。
テノーミンは先発品であり、テノーミン錠25mg1錠あたりの薬価は9.8円です。
アルセノールは後発品であり、アルセノール錠25mg1錠あたりの薬価は5.9円です。
後発品のメリットは個々の薬代の負担を減らし、国の医療費抑制にも繋がります。
また、後発品は有効成分は同じで形状を飲みやすく改良しているものもあります。 -
質問:アテノロールの一般的な服用量と服用タイミングはどのようになっていますか?回答:
アテノロールの服用量は、成人の場合1回2錠(アテノロールとして50mg)を1日1回服用します。
その後、医師が効果の度合いや副作用症状の有無、年齢、体重、症状に応じて適宜増減します。
アテノロールの添付文書によると、最高量は1日1回4錠(100mg)までとされています。
アテノロールを飲むタイミングは、処方する医師によって異なりますので、医師の指示に従い正しく内服するようにしましょう。
飲み忘れた場合は気づいた時点で服用し、自己判断で過剰投与しないようにしましょう。 -
質問:アテノロールの作用機序と高血圧症や狭心症における効果はどのようなものですか?回答:
アテノロールは適応症として、本態性高血圧症、狭心症、頻脈性不整脈の治療に使用されます。
アテノロールの作用機序は、心臓の交感神経β受容体を選択的に遮断することで、心拍出量を減少させ、血管への抵抗を減少させます。
それにより、降圧作用や狭心症の予防が期待できます。
アテノロールはβ受容体の中でも心臓にのみ作用するβ1受容体に選択的に働くため、気管支への影響が少ないことが特徴です。