肺炎と気管支炎はどちらも呼吸器系の病気ですが、その原因や症状、治療方法には多くの違いがあります。
この記事では、これら2つの病気について詳しく説明し、治療薬の違いや診断方法、治療期間、併発するリスクなどについて解説します。
また、「気管支炎から肺炎になる確率」や「肺炎になりかけの症状」についても見ていきます。
肺炎と気管支炎の違い
まず、肺炎と気管支炎の基本的な違いを確認しましょう。
肺炎は、肺の中にある小さな気嚢(肺胞)が炎症を起こし、液体や膿がたまる病気です。
酸素の取り込みが難しくなり、呼吸が困難になります。
肺炎の原因には、細菌、ウイルス、真菌などがあります。
一方、気管支炎は気管支の炎症を指します。
気管支は気道の一部で、空気を肺に運ぶ役割を担っています。
また、気管支炎は急性と慢性の2種類に分けられます。
急性気管支炎は一般的にウイルス感染によって引き起こされ、風邪やインフルエンザと関連しています。
一方、慢性気管支炎は主に喫煙によって引き起こされ、慢性的な咳や痰が出るのが特徴です。
肺炎と気管支炎の症状の違い
肺炎と気管支炎の症状には似ている点もありますが、重要な違いもあります。
肺炎の症状
- 高熱
- 悪寒
- 咳(痰を伴う場合が多い)
- 胸痛
- 呼吸困難
- 倦怠感
気管支炎の症状
- 咳(初めは乾いた咳、後に痰を伴う)
- 喉の痛み
- 喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅーという音)
- 軽度の発熱
- 倦怠感
肺炎と気管支炎の診断方法
肺炎と気管支炎の診断には胸部レントゲンがよく使用されます。
レントゲンは肺の状態を詳しく見ることができるため、肺炎の診断に特に有効なのです。
気管支炎の場合、レントゲンでは大きな異常が見られないことが多いですが、肺炎の場合は明確な炎症の痕跡が見られます。
その他の診断方法では、白血球数の増加や感染の有無を確認する血液検査や、痰の中の細菌やウイルスを調べる喀痰検査、血中酸素濃度を測定するパルスオキシメトリーなどがあります。
肺炎と気管支炎は症状が似ているため、専門医の診断が必要です。
特に呼吸困難や高熱、胸痛などの症状がある場合は、早急に医療機関を受診しましょう。
肺炎と気管支炎の原因
肺炎と気管支炎の原因も様々です。
共通している原因もありますが、それぞれが原因となる可能性に違いがあります。
肺炎の原因
- 細菌感染(例:肺炎球菌)
- ウイルス感染(例:インフルエンザウイルス)
- 真菌感染(免疫力が低下している人に多い)
気管支炎の原因
- ウイルス感染(風邪やインフルエンザが主な原因)
- 細菌感染(少ないが可能性あり)
- 喫煙
- 大気汚染や化学物質の吸入
肺炎と気管支炎の治療薬の違い
では、肺炎と気管支炎の治療に使われる薬剤の違いを見ていきましょう。
原因や症状が被ることも多い2つの病気ですが、治療薬に差はあるのでしょうか。
肺炎の治療薬
- 抗生物質:細菌性肺炎の場合に使用。
ペニシリン系やマクロライド系、キノロン系などが一般的。 - 抗ウイルス薬:インフルエンザなどのウイルス性肺炎に対して使用。
- 鎮咳薬や去痰薬:症状を和らげるために使用。
気管支炎の治療薬
- 鎮咳薬:咳を抑えるために使用。
- 去痰薬:痰を排出しやすくするために使用。
- 吸入ステロイド薬:気道の炎症を抑えるために使用(特に慢性気管支炎の場合)。
- 抗生物質:細菌感染が確認された場合に使用。
使われる治療薬は、医師の判断によって決められます。
一人ひとりの症状を見ながら決めるので、病院に行ったら症状や経過について詳しく話すことが大切です。
肺炎と気管支炎の治療期間
肺炎の治療期間は通常1~3週間ですが、重症の場合は入院が必要になることもあります。
抗生物質による治療は通常1~2週間続けられます。
一方、急性気管支炎の治療期間は通常1~2週間です。
慢性気管支炎の場合は、症状管理が長期間にわたることがあります。
気管支炎から肺炎になる確率と併発のリスク
気管支炎から肺炎になる確率は、個人の健康状態や治療の適切さによって異なります。
一般的には、免疫力が低下している人や基礎疾患を持っている人は、気管支炎から肺炎に進行するリスクが高いです。
特に高齢者や小児は注意が必要です。
肺炎と気管支炎の伝染性
肺炎は一般的に細菌やウイルスによって引き起こされるため、感染性があります。
飛沫感染や接触感染が主な感染経路です。
気管支炎もウイルスや細菌による感染性があるため、風邪やインフルエンザと同様に飛沫感染で広がります。
ただし、慢性気管支炎は感染性がないため、他人にうつることはありません。
気管支炎は肺炎の一歩手前か
気管支炎が必ずしも肺炎の一歩手前というわけではありませんが、免疫力が低下している場合や適切な治療が行われなかった場合には、気管支炎が肺炎に進行する可能性があります。
特に高齢者や基礎疾患を持つ人は注意が必要です。
肺炎になりかけの症状
肺炎になりかけの段階では、以下の症状が現れることがあります。
- 乾いた咳から痰の出る咳へと変わる
- 軽度の発熱
- 倦怠感や疲労感
- 胸の不快感や痛み
- 呼吸が苦しくなる
免疫力を高めよう!日頃からできる具体例コーナー
肺炎や気管支炎に限らず、免疫力を高めることは感染症や病気から身を守るために重要です。
日々の生活習慣を見直し、バランスの取れた食事や適度な運動、ストレス管理などを取り入れることで、免疫力を強化できます。
以下に、免疫力を高めるための具体的な方法を解説しますので、皆さんもぜひ取り入れてみてください。
バランスの取れた食事
免疫力を高めるためには、様々な栄養をバランスよく摂取することが重要です。
以下の栄養素が免疫機能の強化に良いとされています。
ビタミンC
抗酸化作用があり、免疫細胞の機能をサポートします。
柑橘類やキウイ、イチゴ、ピーマンなどに多く含まれます。
ビタミンD
免疫系の調節に役立ちます。
魚類や卵、キノコ、強化ミルクなどから摂取できます。
日光浴もビタミンDの生成を促進します。
ビタミンE
抗酸化作用があり、免疫細胞の保護に役立ちます。
ナッツ類や種子、ホウレンソウ、ブロッコリーなどに含まれます。
亜鉛
免疫細胞の生成と機能に必要です。
肉類や貝類、ナッツ、種子、全粒穀物などが豊富な供給源です。
プロバイオティクス
腸内環境を整え、免疫機能をサポートします。
ヨーグルトやキムチ、納豆、味噌などの発酵食品に含まれます。
食物繊維の摂取
食物繊維は腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える役割を果たします。
全粒穀物や野菜、果物、豆類などに多く含まれます。
適度な運動
適度な運動は免疫機能を強化し、病気のリスクを低減してくれます。
週に150分以上の中等度の有酸素運動(ウォーキングやジョギング、水泳など)や、週に2回以上の筋力トレーニングがおすすめです。
毎日運動するのは大変かもしれませんが、少しずつ継続することで習慣化できます。
一気に運動しようと思うとより大変なので、無理のない範囲で意識的に運動しましょう。
例えば、通勤時にエレベーターやエスカレーターを使わず、階段を使うだけでも運動になります。
運動は血液循環を改善し、免疫細胞が体内を効率よく巡回するのをサポートします。
また、ストレスホルモンのレベルを低下させるため、免疫力を高める作用があります。
良質な睡眠
良質な睡眠は、免疫機能の正常な働きに不可欠です。
睡眠不足や質の悪い睡眠は免疫力を低下させ、感染症にかかりやすくなります。
以下の睡眠の改善方法を参考にしてみてください。
規則正しい生活リズム
毎日同じ時間に就寝・起床することが大切です。
起きたら部屋のカーテンを開け、朝日を浴びましょう。
目に光が入ると、体内時計が整います。
快適な睡眠環境
静かで暗く、涼しい部屋で眠るようにしましょう。
良質な睡眠には快適性がなければいけません。
安心して眠れる寝室づくりから始めるのもおすすめです。
寝る前のリラックス
寝る前にスマートフォンやパソコンを使用せず、リラックスする時間を持つと入眠がスムーズです。
YouTubeで好きな環境音を流すのもおすすめです。
ストレス管理
過度のストレスは、免疫力を低下させる原因となります。
ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌されると、免疫細胞の機能が抑制されてしまうからです。
ストレス管理の方法を以下にまとめたので、自分に合う方法を取り入れてみてください。
リラクゼーション
瞑想や深呼吸、ヨガなどのリラクゼーション法を取り入れることで、ストレスを軽減できます。
趣味や活動
自分が楽しめる趣味や活動に時間を割くことでも、ストレス解消になります。
特に、最近のイギリスの研究で、読書は運動よりもストレスを軽減することが報告されています。
たった数分でも効果が出るそうなので、寝る前の習慣として取り入れてみてもいいかもしれません。
まとめ
肺炎と気管支炎は、原因や症状、治療方法が異なる呼吸器系の病気です。
どちらも適切な診断と治療が重要であり、特に重症化するリスクのある人々は注意が必要です。
気管支炎が肺炎に進行する可能性もあるため、症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。
また、普段から健康管理を行い、免疫力を高めることが予防に繋がります。
健康な生活を送り、病気の予防に努めましょう。