緑内障・高眼圧症治療薬には何がおすすめ?点眼薬や効果を解説!

日常生活において、目は重要な役割を果たしてくれています。
しかし、遺伝や生活環境によって視力が落ちることもあれば、年齢と共に目の病気にかかるリスクも増えてきます。
目の病気の中でも、緑内障や高眼圧症は視力を脅かす深刻な疾患です。
これらの疾患は眼圧の上昇によって視神経が損傷し、放置すると失明のリスクがあります。
眼圧を下げる治療が有効ですが、そのために点眼薬が広く使用されています。
この記事では、2023年以降の新薬開発の状況や点眼薬の一覧、効果、副作用などについて解説していきます。
眼圧を下げる目薬の種類
眼圧を下げる目薬は、以下の5つのカテゴリに分かれます。
- プロスタグランジン類似薬
- β遮断薬
- 炭酸脱水酵素阻害薬
- α2受容体作動薬
- 副交感神経刺激薬
以下で、それぞれの目薬の特徴を見ていきましょう。
緑内障・高眼圧症治療としての点眼薬一覧
現在、多くの緑内障・高眼圧症治療薬が使用されています。
最も推奨されているのはプロスタグランジン類似薬ですが、それ以外にも以下のような目薬があります。
β遮断薬
- チモロール(商品名:チモプトール)
- カルテオロール(商品名:オクメル)
β遮断薬は眼房水の生成を抑制することで眼圧を下げます。
心臓や呼吸器への副作用が懸念されるため、全身疾患のある患者さんは使用に注意が必要です。
炭酸脱水酵素阻害薬
- ドルゾラミド(商品名:トルソプト)
- ブリンゾラミド(商品名:エイゾプト)
これらの薬剤も、眼房水の生成を抑えることで眼圧を低下させます。
副作用として口の乾きや味覚異常が報告されています。
α2受容体作動薬
- ブリモニジン(商品名:アルファガン)
α2受容体作動薬は、眼房水の生成を減少させ、かつ流出を促進する効果があります。
副作用として眠気や口の渇きを感じることがあります。
副交感神経刺激薬
- ピロカルピン(商品名:ピロカルピン点眼液)
副交感神経刺激薬は、瞳孔を縮小させて眼房水の流出を促します。
主に急性緑内障発作の緊急治療に使用されます。
点眼薬の効果と強さ
点眼薬の効果は、それぞれの薬剤の有効成分や患者さんによって異なります。
一般的には、最も強力な眼圧降下効果があるのがプロスタグランジン類似薬です。
これに対して、β遮断薬や炭酸脱水酵素阻害薬は中等度の効果を示し、α2受容体作動薬や副交感神経刺激薬は特定の状況で使用されることが多いです。
点眼薬の副作用
点眼薬にはいくつかの副作用が報告されています。
以下に主要な副作用をまとめました。
プロスタグランジン類似薬
まつげの成長、目の周囲の色素沈着、充血
β遮断薬
心拍数の減少、気管支痙攣、低血圧
炭酸脱水酵素阻害薬
味覚異常、口の乾き、眼痛
α2受容体作動薬
眠気、口の乾き、アレルギー反応
副交感神経刺激薬
視界のぼやけ、頭痛、目の痛み
おすすめの目薬ランキングトップ3!
では、市販でも購入できる目薬のうち、人気の商品を3つ紹介しましょう。
サンテメディカル12 12mL
この目薬には、眼精疲労に効くビタミンB12(シアノコバラミン)やネオスチグミンメチル硫酸塩が含まれているのが特徴です。
他にも、抗ヒスタミン薬や角膜表層保護剤、抗炎症薬血管収縮薬などの成分を含んでいるため、目の不調を広くカバーしてくれます。
ソフトサンティア 5mL×4
こちらの目薬は涙に近い成分で作られているので、目に優しいのが特徴です。
ドライアイなどで目が乾燥している場合に有効です。
全てのタイプのコンタクトレンズで使用可能なのも嬉しいところ。
スマイル40プレミアムDX 15mL
目の乾燥を防いだり、角膜修復効果がある成分、レチノールパルミチン酸エステル(ビタミンA)が配合されています。
その他にも、代謝促進成分やピント調節成分などが含まれており、眼精疲労や充血、目のかゆみなどに効きます。
ジェネリック医薬品
ジェネリック医薬品は、特許が切れたブランド薬の有効成分と同じ成分を用いた薬品です。
ジェネリック医薬品は通常ブランド薬よりも安価であり、同等の効果が期待できます。
以下は、いくつかのジェネリック点眼薬の例です。
ラタノプロスト(ブランド名:キサラタン) → ジェネリック:ラタノプロスト点眼液
チモロール(ブランド名:チモプトール) → ジェネリック:チモロール点眼液
2023年の新薬とその開発状況
2023年には、緑内障や高眼圧症の治療に新しい点眼薬が開発され、いくつかが市場に出回りました。
新薬の開発では、眼圧降下効果の向上、副作用の軽減、そして投与回数の減少を目指しました。
ラタノプロスト50μg/mLカチオニック乳化点眼剤
2023年11月17日に公開された記事に、「開放隅角緑内障および高眼圧症における眼圧下降を目的とする点眼薬」に関する記述があります。
Catiolanze(R)(ラタノプロスト50μg/mLカチオニック乳化点眼剤が欧州委員会の承認を取得したという内容です。
以下、引用を見てみましょう。
「参天製薬株式会社(本社:大阪市、以下Santen)はこのほど、開放隅角緑内障および高眼圧症における眼圧下降を目的とする点眼薬として、Catiolanze(R)(一般名:ラタノプロスト50μg/mLカチオニック乳化点眼剤、開発コード:STN1013001)が、欧州委員会(European Commission、以下EC)から現地法人を通じて販売承認を取得したことをお知らせします。9月に欧州医薬品庁(European Medicines Agency、以下EMA)の医薬品委員会(Committee for Medicinal Products for Human Use:CHMP)が承認勧告を採択していたもので、本承認は、欧州連合(European Union:EU)の全27加盟国とアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーが対象となります。」
「NCX470」
また、2024年2月9日には、以下のような記事も発表されました。
「興和 Nicox社と「NCX470」の国内開発・製造・販売で独占的ライセンス契約締結 治療の選択肢拡大へ」以下、引用です。
「興和は2月8日、フランスのNicox社と緑内障・高眼圧症を予定適応症とする「NCX470」の日本での開発・製造・販売に関する独占的ライセンス契約を締結したと発表した。 同剤はすでに米国、中国で第3相臨床試験を実施している。 同社は、NCX470の開発を通じ、緑内障・高眼圧症治療剤の新たな選択肢を提供したいとしている。
「NCX470」は、ビマトプロスト(プロスタノイド受容体関連薬)に NO(一酸化窒素)供与体が結合した新規化合物。 NOによる線維柱帯-シュレム管を介する主流出路およびビマトプロストによるぶどう膜強膜を介する副流出路の2つの経路からの房水流出を促進することで、強力な眼圧下降作用が期待される。
興和は、緑内障・高眼圧症治療剤「グラナテック(R)点眼液」(Rho キナーゼ阻害薬)、「グラアルファ(R)配合点眼液」(Rho キナーゼ阻害薬/アドレナリンα2受容体作動薬配合剤)などの情報提供活動を実施している。 これに「NCX470」は加わることで、緑内障・高眼圧症領域の治療選択肢を拡大できることに期待感を込めた。」
これらの記事から、新薬が世界規模で開発・流通していることがわかります。
緑内障・高眼圧症で困っている方が、より過ごしやすくなる未来が待っています。
治療薬の第一選択薬はどれか?
緑内障や高眼圧症の治療において、第一選択薬として推奨されるのはプロスタグランジン類似薬です。
その理由は、高い眼圧降下効果と比較的少ない副作用です。
しかし、患者さんの症状や健康状態に応じて、β遮断薬や他の薬剤が選ばれることもあります。
どの点眼薬を選ぶか、それは患者さんのそれぞれの症状、眼圧の高さ、健康状態、副作用の有無などを総合的に考慮して決められます。
一概にどの薬剤が最適か決めることは難しいため、医師と相談しながら最適な治療薬を見つけていくことになります。
緑内障や高眼圧症の治療には多数の目薬がありますが、多くの場合、複数の薬剤を併用します。
眼圧が高いと言われたらどうしたらいい?
眼圧が高いと言われた場合、以下の手順を踏んで症状改善に努めましょう。
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眼科受診
まずは眼科医を受診し、検査を受けます。 -
生活習慣の見直し
カフェインの摂取を控える、喫煙をやめる、適度な運動を取り入れるなどの生活習慣を見直します。 -
点眼薬の使用
医師の指示に従い、点眼薬を使用します。 -
継続的なフォローアップ
定期的に眼科医を受診し、眼圧の状態をチェックします。
症状を改善するにはどうしたらいい?
緑内障や高眼圧症を改善するためには、以下のポイントを守ることが重要です。
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定期的な検査
眼科医の定期検査を受けることで、眼圧や視神経の状態をチェックします。 -
正しい点眼方法
医師の指示に従い、正しい方法で点眼薬を使用しましょう。 -
生活習慣の見直し
ストレス管理、適度な運動、バランスの取れた食事を心がけます。 -
薬剤の継続使用
症状が改善しても、点眼薬の使用を続けることが重要です。
まとめ
緑内障や高眼圧症の治療には、様々な点眼薬が利用されます。
プロスタグランジン類似薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、α2受容体作動薬、副交感神経刺激薬などがあり、それぞれに特有の効果と副作用があります。
新薬の開発も進んでおり、患者さんにとってより効果的で副作用の少ない選択肢が増えてきているのは喜ばしいことでしょう。
治療の第一選択薬としてはプロスタグランジン類似薬が推奨されることが多いですが、それぞれの患者さんの状態に応じて最適な薬剤を選ぶことが重要です。
また、正しい点眼方法と生活習慣の見直しを行うことで、治療効果を最大限に引き出すことができます。
定期的な眼科医のフォローアップも欠かさず行いましょう。