皆さんは「ノルバスク」がどんな薬かご存知でしょうか?
今回はノルバスクについての知識を深めるために、クイズ形式で勉強していきます。
服用中の方はもちろん、服用者の身近で過ごしているの方も、ぜひ一緒にノルバスクについて学んでいきましょう。
果たしてあなたはすべて正解できるでしょうか?
Q1.ノルバスクは何の薬か?
本コラムのタイトルにもなっている「ノルバスク」とは一体何のでしょうか?
【選択肢】A:糖尿病の薬 B:高血圧の薬 C:インフルエンザの薬
正解は「B:高血圧の薬」です。
人間の身体は血管壁の細胞にカルシウムが入ると、血管の収縮が起きて血圧が上昇します。
ノルバスクは細胞内へのカルシウム流入を抑制して血圧を下げる効果がある薬剤で、このような作用がある薬剤の種類をカルシウム拮抗剤といいます。
カルシウム拮抗剤は、高血圧患者の約70%が服用してる日本で最も多く処方されている降圧剤です。
一番安全な血圧の薬剤であるという呼び声も高く、安定的に血圧を下げることが可能です。
他にも、心臓の負担を軽減する効果があるため、狭心症の治療にも使われています。
Q2.ノルバスクの服用頻度は?
一般的にノルバスクは1日に何回服用する必要があるでしょうか?
【選択肢】A:1日1回 B:1日2回 C:1日3回
正解は「A:1日1回」です。
ノルバスクは1日1回の服用が基本的の薬剤で、1回の服用で約24時間の効果が持続します。
食事の影響を受けにくいため、服用するのは食前・食後のどちらでも問題ないとされていますが、医師から指示があった場合にはそれに従ってください。
また、大切なのは毎日決まった時間にノルバスクを服用することです。
もし、夜間高血圧や早朝高血圧と診断された場合には、就寝前に飲めばより効果的です。
その他の方も、起床してすぐや、朝食と一緒になどご自身が飲み忘ないタイミングを決めておくとよいでしょう。
Q3.ノルバスクの効果が出るまでは服用後早くてどのくらい?
ノルバスクを服用して最初に効果が現れる時間は一体どれくらいでしょうか?
【選択肢】A:6時間 B:12時間 C:24時間
正解は「A:6時間」です。
ノルバスクの有効成分であるアムロジピンべシル酸塩の血中濃度は、服用後およそ6時間でピークとなるため、早い方であれば約6時間で効果を感じる可能性があります。
ただし、ノルバスクは即効性のある薬剤ではないので、効果を感じない方もいれば、効果があっても安定しない場合がほとんどです。
また、急激に血圧を下げるとめまいやふらつきなどの副作用が起きる場合があるのため、医師は薬剤の量を調整し、時間をかけてゆっくりと血圧が下げて安定するように処方します。
このような理由からも、ノルバスクの安定した効果を得るまでには、約1週間~3ヵ月かかると覚えておきましょう。
Q4.ノルバスクの副作用として一般的な症状はどれでしょう?
安全性の高い薬剤であるノルバスクにも副作用があります。
最も一般的に現れる副作用は次のうちどれでしょうか?
【選択肢】A:空咳 B:下痢 C:むくみ
正解は「C:むくみ」です。
ノルバスクの副作用として、最も一般的に報告されているのは足や足首のむくみです。
ノルバスクは血管を広げる作用があるのですが、静脈よりも動脈を拡張させやすい性質があります。
そのため血液の流れが悪くなり、体内の液体バランスが崩れることが原因でむくんでしまいます。
他の一般的な副作用には、次のようなものがあります。
- 頭痛
- めまい
- 顔面紅潮
- 動悸
- 疲労感
- 発疹
- かゆみ
- 胸痛
- 息切れ
- 光線過敏症
- 歯肉肥厚
むくみを含めたこれらの副作用は、劇症肝炎や黄疸、白血球減少などの病気の初期症状である可能性もあるため、副作用が現れた場合は速やかに医師に相談することが重要です。
ノルバスクの副作用は多くの場合、軽度で一時的なものですが、患者さんの体質や他の薬剤との相互作用によって大きな病に繋がる恐れもあるので注意してください。
Q5.ノルバスクとの飲み合わせで避けるべき食べ物はどれでしょう?
ノルバスクには飲み合わせると悪い影響がある食べ物が存在します。
避けるべき食べ物とは一体どれでしょうか?
【選択肢】A:グレープフルーツ B:納豆 C:卵
正解は「A:グレープフルーツ」です。
フラノクマリン類というグレープフルーツに含まれる成分がノルバスクの効き目を強めてしまうため、血圧が下がりすぎたり、頭痛やめまいなどが起きたりする可能性があります。
これはグレープフルーツだけに限らず、はっさくや夏みかんなどの柑橘類にもフラノクマリン類が多く含まれているので注意しましょう。
ただし、みかんやレモンはフラノクマリン類の含有量が少ないので、適量であれば問題ないとされています。
また、選択肢にはありませんが、血圧を上げるアルコールも注意が必要です。
高血圧の治療中は、ビール1本くらいのアルコール量に抑えることを心掛けましょう。
一方、納豆や卵は食べても特に問題ありません。
ただし、納豆はワルファリンという薬剤の抗凝固作用を弱める可能性があるため、この薬剤を処方されている場合は避けましょう。
Q6.ノルバスク処方で注意が必要なのはどんな人でしょう?
多くの患者さんに処方されているノルバスクにも、気をつけて処方しなければならない人がいます。
それはこの3つの選択肢のどれでしょうか?
【選択肢】A:妊婦 B:喫煙者 C:肥満者
正解は「A:妊婦」です。
ノルバスクを含むカルシウム拮抗剤のアムロジピンベシル酸塩は、ラットやマウスを用いた毒性実験で催奇形性が確認されたことから、長い間妊婦や妊娠している可能性のある方への投与は禁忌とされていました。
しかしながら、ラットやマウスの実験で懸念された事案の副作用の報告はなかったことや、妊娠中の血圧コントロールの重要性の高まりを背景に、治療の有益性が危険性を上回ると判断される場合は処方できるように改訂されました。
禁忌は解除されましたが、妊婦や妊娠している可能性のある方で不安がある場合には、医師に相談するとよいでしょう。
また、ノルバスクには併用禁忌とされている薬剤も存在します。
- 降圧作用を有する薬剤
- CYP3A4阻害剤
- CYP3A4誘導剤
- シンバスタチン
- タクロリムス
ノルバスクの血圧を下げる効果が増強されたり、それぞれの薬剤の効果を阻害したりするため、服用を避けなければなりません。
なお、選択肢「B:喫煙者」「C:肥満者」についてはノルバスクの禁忌ではありませんが、それぞれ高血圧の要因です。
禁煙をし、適正な体重になるよう生活習慣を整えましょう。
Q7.「ノルバスク5mg錠」この「5mg」とは一体何のこと?
ノルバスクを含めた様々な薬剤に記載されている「mg」の意味は次の3つのうちのどれでしょう?
【選択肢】A:薬の重さ B:主成分の含有量 C:ただの記号
正解は「B:主成分の含有量」です。
ノルバスクの主成分アムロジピンの含有量の違いによって3つの薬剤が販売されています。
- ノルバスク錠2.5mg
- ノルバスク錠5mg
- ノルバスク錠10mg
成人でも2.5mg錠か5mg錠を1日1回服用するのが通常ですが、効果が感じられない場合には10mg錠が処方されるケースもあります。
高用量になるにつれて副作用の発現率が高くなる可能性があるため、より注意が必要です。
Q8.ノルバスクのジェネリック医薬品はある?
薬剤には先発品と後発品であるジェネリック医薬品が存在します。
さて、ノルバスクにはジェネリック医薬品があるか、それともないか、どちらでしょうか?
【選択肢】A:ジェネリック医薬品はある B:ジェネリック医薬品はない
正解は「A:ジェネリック医薬品はある」です。
ノルバスクの一般名であるアムロジピンベシル酸塩には多くの商品が販売されており、その中でもヴィアトリス製薬の「ノルバスク」と住友ファーマの「アムロジン」が先発品です。
ジェネリック医薬品となる後発品の一部を紹介します。
商品名 | メーカー |
---|---|
アムロジピン錠「CH」 | 長生堂製薬、日本ジェネリック |
アムロジピン錠「JG」 | 日本ジェネリック |
アムロジピン錠「サワイ」 | 沢井製薬 |
アムロジピン錠「ファイザー」 | ヴィアトリス・ヘルスケア、ヴィアトリス製薬 |
アムロジピン錠「ニプロ」 | ニプロESファーマ |
ジェネリック医薬品は先発品よりも価格面で優れているメリットがありますが、薬の形状や含有している添加物が異なるケースもあります。
ジェネリック医薬品を検討する際には薬剤師に相談のうえ、万一服用中に気になる症状が出た場合は速やかに医師や薬剤師に連絡しましょう。
Q9.高血圧な人はどんな薬を飲んではいけないのか?
ノルバスクのような高血圧の薬を飲んでいなくても、高血圧の人が注意すべき薬があります。
それは次のうちのどれでしょうか?
【選択肢】A:胃腸薬 B:総合感冒薬 C:酔い止め薬
正解は「B:総合感冒薬」つまり総合風邪薬です。
総合感冒薬や鼻炎薬、鎮咳去痰薬に含まれていることがあるdl-メチルエフェドリン塩酸塩や塩酸プソイドエフェドリンは、交感神経を刺激して血圧上昇や心拍数増加させます。
このような理由からも、総合感冒薬が必要な時には薬剤師に相談し、エフェドリン類が含まれていない薬剤を選んでもらうとよいでしょう。
また、高血圧の人が飲んではいけない漢方薬として、甘草(リコリス)が含まれている漢方薬が挙げられます。
甘草の有効成分であるグリチルリチンは腎臓内のホルモン量の調整を妨げるため、身体へ塩分が吸収されやすくなり、結果的に高血圧が悪化する可能性があります。
これらのことからも、高血圧の薬剤を服用していなくても新しく薬剤を服用する時には、必ず医師や薬剤師に相談してください。
ノルバスクは多くの方に処方されている高血圧の薬剤
ノルバスクについての知識を深めるために、様々な角度からクイズ形式で解説してきました。
皆さんは何問正解することができましたか?
ノルバスクを含むカルシウム拮抗剤は、日本の高血圧患者の70%が服用している比較的安全性の高い薬剤です。
しかしながら、むくみや頭痛などの副作用や飲み合わせに注意が必要なグレープフルーツなどの食べ物が確認されているため、独断的な判断で行動するのは控え、疑問や不安は医師や薬剤師に相談しながら高血圧の治療に励んでいきましょう。