「医療レーザー脱毛はどのくらい痛い?」
「医療レーザー脱毛の痛みに耐える方法はある?」
このような疑問を持っている人は少なくないのではないでしょうか。
本記事では、医療レーザー脱毛のメカニズムや、強い痛みが生じる理由について徹底解説。
鎮痛剤として広く使われているロキソニンが、医療レーザー脱毛の痛みに対して効かない理由も紹介します。
本記事を読めば、医療レーザー脱毛に関して理解を深められます。
医療レーザー脱毛に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
医療レーザー脱毛とは?
医療レーザー脱毛は、文字通り医療行為の一つです。
医師の指示を受けた医療従事者が、医療用の特殊なレーザーを用いて永久脱毛を行います。
医療レーザー脱毛とよく似た施術に、サロンやエステなどで行われる光脱毛があります。
しかし、光脱毛はあくまでも毛の成長を一時的に抑制するだけであり、永久脱毛を行うわけではありません。
このように、主にクリニックで行われる医療レーザー脱毛と主に脱毛サロンで行われる光脱毛には大きな違いがあるのです。
医療レーザー脱毛の標的は黒い色素「メラニン」
医療レーザー脱毛で使われる特殊なレーザーは、「メラニン」という黒い色素に反応します。
まずは、メラニンについて詳しく見ていきましょう。
私たちの皮膚の基底層や真皮という場所には、「メラノサイト」という特殊な細胞が存在します。
メラノサイトの中には、「メラノソーム」という小さな袋のようなものがあります。
そして、メラノソーム内で合成されるものがメラニンです。
メラニンを合成するための原料となるのは、アミノ酸の一種であるチロシンです。
メラニンの合成経路は途中で二手に分かれ、「ユーメラニン(真性メラニン)」と「フェオメラニン(黄色メラニン)」の2種類がつくられます。
この2種類のメラニンがどのような比率で合成されているかにより、肌や髪の毛の色に違いができるのです。
シミの原因となることから嫌われがちなメラニンですが、私たちにとって欠かせない存在でもあります。
メラニンには細胞を紫外線の害から防護する働きがあり、大切な遺伝情報であるDNAを守っているのです。
医療レーザー脱毛のメカニズム
医療レーザー脱毛のメカニズムは、大きく以下の3ステップに分けられます。
- 肌にレーザーを照射する
- 熱が発生して毛乳頭を破壊する
- 毛が抜け落ちる
それぞれのステップについて解説します。
①肌にレーザーを照射する
実際にレーザーを照射する前に、まずは毛を剃っていきます。
見える範囲の毛を剃り終わったら、いよいよレーザー照射の開始です。
照射したレーザーはメラニンに反応するため、毛穴に残っている黒い毛に熱が吸収されます。
この時、周囲の皮膚に害を及ぼすことはありません。
②熱が発生して毛乳頭を破壊する
吸収された熱は毛根に集中し、「毛乳頭」という場所を破壊します。
毛乳頭は毛根の一番下に位置しており、毛の発生・成長の根源となる組織です。
一度破壊された毛乳頭は、もう元には戻りません。
つまり、ここから新たに毛が生えてくることはないのです。
③毛が抜け落ちる
毛乳頭が破壊されると、毛穴に残っている毛は自然に抜け落ちていきます。
抜け落ちるまでの期間は、個人差はあるものの約1~2週間です。
なお、脱毛が完了した毛穴は自然と引き締まっていきます。
そのため、脱毛後の毛穴トラブルを心配する必要はないでしょう。
医療レーザー脱毛が痛い理由
医療レーザー脱毛では痛みを感じてしまう人が多く、「死ぬほど痛い」「痛みに耐えられない」と思う人もいます。
痛みが生じる原因は、レーザー照射により発生する熱です。
毛根に集中した熱が周囲の肌に伝わることで痛みを感じます。
光脱毛を受けた際には、痛みを感じなかったという人もいるかもしれません。
しかし、医療レーザー脱毛は光脱毛よりも、かなり強いパワーで施術されています。
具体的には、光脱毛で発生する熱が約70℃である一方で、医療レーザー脱毛で発生する熱は250℃以上です。
そのため、医療レーザー脱毛の方が痛みを感じやすいでしょう。
医療レーザー脱毛で痛みを感じやすい部位
医療レーザー脱毛では、以下の部位で痛みを感じやすいです。
- VIO
- 脇毛
- 顔の産毛
それぞれの理由を見ていきましょう。
①VIO
デリケートゾーンであるVIOは、医療レーザー脱毛をする中で最も痛みを感じやすいと言われています。
特に、Iラインの痛みが最も強いと感じる人が多いようです。
VIOの脱毛が痛い理由は、皮膚が薄いうえに太い毛が生えているからです。
また、粘膜に近いほどより強い痛みを感じやすくなります。
VIOは脱毛部位として人気が高いにもかかわらず、痛みを理由に諦めてしまう人も少なくありません。
クリニックによっては、冷却や麻酔などの処置により痛みを軽減できるため、気になる方は問い合わせてみましょう。
②脇毛
男女ともに脱毛の人気が高い脇毛も、痛みを感じやすいと言われています。
なぜなら、毛が比較的密集して生えているからです。
ただし、脇毛は毛が密集しているが故に生えている範囲は狭いです。
そのため、施術時間は短い傾向にあります。
③顔の産毛
顔の産毛は細い毛であるにもかかわらず、痛みを感じやすいと言われています。
その理由は、産毛はメラニンの含有量が少ないからです。
医療レーザー脱毛ではメラニンを標的としたレーザーを照射するため、産毛にはあまり反応しません。
医療レーザー脱毛の痛みに鎮痛剤は期待できない
医療レーザー脱毛の痛みに対して、鎮痛剤を使用したいと考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、残念ながらあまり期待はできません。
ここからは、鎮痛剤として広く使われているロキソニンが、なぜ医療レーザー脱毛の痛みに対して効かないのか見ていきましょう。
ロキソニンは、「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」に該当する薬剤です。
ロキソニンテープやクリームとして、痛み止め用に市販されています。
頭痛や生理痛、関節痛などに対して使用経験がある人も少なくないでしょう。
頭痛・生理痛・関節痛などが発生している時、私たちの体内では炎症反応が生じています。
炎症の原因となっているのは、「アラキドン酸」という物質を原料とする、「プロスタグランジン」という物質です。
そして、「アラキドン酸→プロスタグランジン」という変化を進めるためには、「COX2」という物質が欠かせません。
ここで、NSAIDsはCOX2を標的としています。
そのため、プロスタグランジンの産生が抑制され、抗炎症作用が発揮されているのです。
しかし、医療レーザー脱毛の際に生じる痛みには、プロスタグランジンはほとんど関与していません。
実際は、皮膚に存在する神経に直接作用して、痛みが生じていると考えられています。
そのため、ロキソニンをはじめとするNSAIDsは、医療レーザー脱毛の痛みに対して効果が期待できないのです。
医療レーザー脱毛では光線過敏症が発生する恐れがある
医療レーザー脱毛では光線過敏症が発生する恐れがあります。
光線過敏症の症状は、光に反応することで生じる皮膚の赤みや水疱です。
普段は何ともない方が、その時の体調や使用中の薬剤などの影響で発生するケースも少なくありません。
光線過敏症を引き起こす可能性がある薬剤として、代表的なものは以下の通りです。
- ニューキノロン系抗菌薬
- 抗ヒスタミン薬
- 降圧剤
この他にも、様々な薬剤で光線過敏症が引き起こされる可能性があります。
使用中の薬剤がある場合は禁忌(使っていけない)ではないか確認し、もし飲んでしまった場合は必ず伝えるようにしましょう。
医療レーザー脱毛に関するQ&A
医療レーザー脱毛に関してよくある質問を紹介します。
ここで気になる疑問を解消しましょう。
Q.ステロイドは医療レーザー脱毛を受ける何日前まで使える?
ステロイドの外用薬を使用している場合は、施術を受ける前日の入浴後から施術日までは控えましょう。
ステロイドの飲み薬を服用している場合は、病状や用量により判断が異なります。
自己判断せずクリニックで相談しましょう。
Q.医療レーザー脱毛がNGな病気はある?
以下のような病気がある場合、医療レーザー脱毛を受けられない可能性があります。
- 甲状腺疾患
- 心疾患
- てんかん発作の既往
- アトピー肌
以上の病気にかかわらず、何か持病を持っている人は必ず事前に相談しましょう。
Q.生理中に医療レーザー脱毛はできる?
生理中の場合、経血による感染症が生じるリスクがあるため、VIOの医療レーザー脱毛はできない場合がほとんどです。
他の部位ができるかどうかはクリニックの判断に左右されますので、事前に確認しておきましょう。
まとめ:医療レーザー脱毛の痛みが気になる人はクリニックに相談しよう
医療レーザー脱毛は、メラニンに反応する特殊なレーザーを用いて行う施術です。
強いパワーを持つレーザーを使用するため、VIOや脇毛などを中心にかなりの痛みを感じる人も少なくありません。
ロキソニンをはじめとする鎮痛剤は、医療レーザー脱毛による痛みには効かない可能性が高いです。
痛みを抑える施術を行っているクリニックもあるので、気になる人は相談してみてはいかがでしょうか。