美容業界で「奇跡の保湿成分」として注目を集めているヒアルロン酸は、専門家でなくても名前を聞いたことがあるくらい有名な成分ですよね。
化粧水やクリーム、美容液など、数多くのスキンケア製品に配合されています。
しかし、その効果について新たな研究結果が発表され、業界に衝撃が走ってます。
今回はその研究について解説するので、ヒアルロン酸について深堀していきましょう。
ヒアルロン酸が有名になった理由
ヒアルロン酸は、人体の皮膚や関節などに自然に存在している成分です。
医療分野では、関節炎の治療薬として数十年前から使用されてきました。
2000年代に入ると、化粧品メーカーが次々とヒアルロン酸配合製品を開発。
「自身の重量の1,000倍もの水分を保持できる」という謳い文句とともに、爆発的な人気を博しました。
消費者からの支持を集めた理由として、ヒアルロン酸には以下のような特徴があります。
- 優れた保水力による即効性のある潤い効果
- 肌のハリや弾力を高める作用
- シワの予防効果
- 抗酸化作用による紫外線からの保護効果
美容成分と言ったらヒアルロン酸ですよね。
ヒアルロン酸の効果は水と変わらない?
ところが、カリフォルニア大学の研究チームが発表したプレプリント論文で、ヒアルロン酸の保水力に関する従来の主張に疑問が投げかけられました。
研究チームは、ヒアルロン酸溶液と純水を比較する実験を実施。
その結果、両者の間に顕著な違いは見られませんでした。
この実験では、ヒアルロン酸1gと水1,000g(0.1%濃度)を混合した溶液を作成し、加熱時の熱変化を測定しました。
もし従来の主張通り、ヒアルロン酸が水分を強く保持しているのであれば、純水と比べて明確な違いが現れるはずでした。
しかし、結果は予想を裏切るものだったのです。
分子サイズによる効果の違い
ただし、この研究結果は全てのヒアルロン酸に当てはまるわけではありません。
研究チームが使用したのは、中等度の分子サイズのヒアルロン酸のみでした。
ヒアルロン酸には様々な分子サイズがあり、そのサイズによって効果が異なることがわかっています。
大きな分子サイズのヒアルロン酸は、0.1%という低濃度でもハニカム状のネットワークを形成できます。
このネットワーク構造こそが、優れた保水力の秘密です。
さらに、超大型分子の場合、0.05%という極めて低い濃度でも同様の効果を発揮し、自重の2,000倍もの水分を保持できるとされています。
ヒアルロン酸の実力
ヒアルロン酸のメリットは保水力だけにとどまりません。
実は、以下のような多面的な効果があることが科学的に証明されています。
- 細胞の再生促進効果
- コラーゲン生成の活性化
- 肌のバリア機能の強化
- 創傷治癒の促進
これらの効果は、肌の健康維持にも役立つことがわかりますね。
ヒアルロン酸を含む美容商品選びに迷った時のアドバイス
ヒアルロン酸は保湿効果に優れた成分のため多くの商品があり、どれを選べばいいか迷うことも少なくありません。
ここでは、ヒアルロン酸を含む美容商品選びで迷った時の対処法や具体的なアドバイスを詳しくご紹介します。
ヒアルロン酸の基本知識を理解する
まず、ヒアルロン酸について基本的な知識を持つことが重要です。
どの商品を選ぶにしても、成分の特性や役割を知ることで、自分の肌に適したものを選びやすくなります。
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保湿成分としての役割
ヒアルロン酸はその高い保水力によって、肌に潤いを与え、乾燥を防ぐ効果があります。 -
分子量の違い
ヒアルロン酸には高分子ヒアルロン酸、中分子ヒアルロン酸、低分子ヒアルロン酸があります。 -
高分子ヒアルロン酸
肌表面を保湿し、バリア機能を強化。 -
低分子ヒアルロン酸
肌の奥深くに浸透し、内部から保湿。 -
配合量
商品によってヒアルロン酸の配合量が異なるため、成分表示を確認することが大切です。
肌質に合った商品を選ぶ
自分の肌質を理解し、それに合ったヒアルロン酸商品を選ぶことも大切です。
以下を参考にしてみてください。
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乾燥肌
高分子ヒアルロン酸が多く配合されたクリームやバームタイプがおすすめです。 -
脂性肌
軽めのジェルやローションタイプを選ぶと良いでしょう。 -
敏感肌
無添加や低刺激の製品を優先し、香料やアルコールが含まれていないものを選びましょう。 -
混合肌
部分的なケアに適した製品を選ぶか、複数のテクスチャの商品を使い分ける方法が適しています。
賢い製品選びのポイント
今回の研究結果とヒアルロン酸の特徴を踏まえると、効果的なヒアルロン酸製品を選ぶためには、以下の点に注目することをおすすめします。
- 複数の分子サイズを配合した製品を選ぶ(表示例:トリプルウェイト、マルチウェイト、マルチ分子量)
- ヒアルロン酸濃度が0.1%以上の製品を選ぶ
- 目的に応じた分子サイズを選ぶ(浸透力重視なら小分子、保湿力重視なら大分子)
少々専門的になってしまいますが、水とほぼ変わらない効果の商品を購入したら損です。
ここは、科学的根拠に基づいた選択をしたいところですね。
ヒアルロン酸を多く含む食べ物
先ほど、ヒアルロン酸は私たちの身体の中に自然に存在していると書きました。
ということは、他の動物にもヒアルロン酸が入っているのではないかと考えることができます。
そして、その答えはYesです。
以下で、ヒアルロン酸が豊富な食べ物をチェックしてみましょう。
ヒアルロン酸が多く含まれている食品として挙げられるものの中には、以下のような動物性食品があります。
- ウナギ
- 魚の目
- フカヒレ
- 鶏の手羽
- 鶏のトサカ
- 鶏の皮
- スッポン
これらはコラーゲンを多く含む部位とも共通しており、ヒアルロン酸も同様に豊富に含まれています。
ウナギは日本の食文化において馴染み深い食材ですが、その栄養価の高さも注目に値します。
ビタミンAやDが豊富で健康維持に役立つ食品ですが、ヒアルロン酸もその中に含まれています。
魚の目やフカヒレなど、日常的にはあまり食べない部分にもヒアルロン酸が含まれており、これらの部位を取り入れることで効果的に摂取できるでしょう。
また、意外かもしれませんが、以下の植物性食品にもヒアルロン酸が含まれています。
- 山芋
- 海藻
- オクラ
いわゆるぬめり成分が特徴の食品はヒアルロン酸を含む場合が多いです。
これらの食品は和食にも取り入れやすく、普段の食事に自然と加えることができます。
食品から摂取したヒアルロン酸はどうなる?
食品から摂取したヒアルロン酸は、一度体内で分解されます。
具体的には、肝臓で単糖として分解され、その後、体内の必要な部位で再びヒアルロン酸として合成されます。
そのため、ヒアルロン酸を直接摂取した場合でも、体内でそのまま利用されるわけではなく、一度分解されることを理解しておくことが大切です。
しかし、食品から摂取するヒアルロン酸の分子構造は大きいため、すべてが体内に吸収されるわけではないというのが現実です。
吸収効率を高めるためには、ヒアルロン酸を含む食品を摂るだけではなく、代謝を助ける他の栄養素も意識的に摂取することがポイントです。
ヒアルロン酸を効率よく摂取する方法
ヒアルロン酸を食品から摂取する場合、その特性を知っておくことが大切です。
ヒアルロン酸は熱に弱く、加熱調理をするとその多くが失われてしまうため、生で食べられる食品を選ぶことが効果的なのです。
しかし、全ての食品を生で食べるのは難しいでしょう。
特に動物性食品は加熱しないと食べられないものがほとんどです。
そこで、サプリメントが重要な役割を果たします。
市販されているヒアルロン酸サプリメントの中でも、低分子化されたものは体内で吸収されやすい特徴があります。
このようなサプリメントを活用することで、効率よくヒアルロン酸を摂取できます。
また、ヒアルロン酸の吸収を助けるビタミンCを多く含む食品を同時に摂ることもおすすめです。
例えば、山芋や海藻に加えて柑橘類やキウイフルーツを食べることで、より効果的に摂取できるでしょう。
関節の痛みにもヒアルロン酸が効果的
ヒアルロン酸はその保湿効果から、美容分野で広く利用されていることは先述しました。
しかし、さらに関節の健康維持にも効果を発揮することをご存知でしょうか。
関節部分に存在している滑液の主成分であるヒアルロン酸は、関節の動きを滑らかにし、痛みを和らげる効果が期待できるのです。
関節の違和感を抱えている場合は、ヒアルロン酸を積極的に摂取することで症状の改善が見込めるかもしれません。
バランスの取れた食生活の重要性
ヒアルロン酸は美容や健康に良い影響を与える一方で、これだけに頼るのは適切ではありません。
ヒアルロン酸を含む食品やサプリメントを活用しつつ、栄養バランスを考えた食生活を送ることが重要です。
例えば、ヒアルロン酸が含まれる食品に偏ると、他の重要な栄養素が不足する可能性があります。
そのため、様々な食品を取り入れながら、全体的なバランスを考えることが大切です。
毎日の食事に少し工夫を加えることでより健やかな生活を送れるなら、習慣に取り入れてみる価値はあるでしょう。
まとめ
今回の研究は、ヒアルロン酸の効果を全面的に否定するものではありません。
むしろ、分子サイズや濃度によって効果が異なることを明確にした点で、製品選びに役立つでしょう。
マーケティング文句に惑わされることなく、科学的根拠に基づいて製品を選ぶことが大切になってきます。
ヒアルロン酸を「魔法の成分」として過度に期待するのではなく、その特性を理解した上で、自分の肌に合った使い方を見つけることが大切でしょう。