私たちの身近でよく耳にする「水虫」。
症状はたいしたことがないと思っている方もいるかもしれませんが、実は重篤な病気に繋がる可能性があることがわかっています。
日本人は高い頻度で水虫が感染しやすいため、日常生活でしっかり予防し、水虫にかかったら塗り薬や飲み薬で治すことが大切です。
本記事では以下についてお話しします。
- 水虫と皮膚がんの関係性
- 日本人が水虫にかかる確率
- 水虫の治療薬
- 水虫塗り薬の注意点
- 水虫の予防方法
「水虫の症状がよくでる」「家族に水虫がいる」などと悩んでいる方にとって、水虫の恐ろしさや治療、予防方法がよくわかる内容となっています。
ぜひ最後までお読みください。
水虫は皮膚がんの可能性?!
東京慈恵会科大学の研究によると、水虫(足白癬)が足のうらのがんが起こるリスクに関係している可能性があることがわかりました(2024年5月時点)。
足のうらにメラノーマというがんが発症している人と、メラノーマ以外の皮膚病変が発症している人を比較したところ、メラノーマが発症している人のほうが水虫の感染率が高かったようです。
東京慈恵会科大学は今後、より信頼性の高い結果を得るために、ほかにも様々な研究行っていくようです。
私たちの生活で身近にある「水虫」が、皮膚がんに繋がる可能性があるなんて恐ろしい事実ですよね。
そこで、日本人はどのくらいの割合で水虫が発症しているのでしょうか。
日本人の6人に1人は水虫!
2023年に日本臨床皮膚科医会でおこなわれた大規模疫学調査では、日本人の6人に1人が足や爪の水虫にかかっていることがわかりました。
女性より男性のほうが発症率は高く、指と指の間にできる趾間型がもっとも多いことも明らかになっています。
また、日本皮膚科学会では水虫を訴える人は、皮膚科を新たに受診する患者さんの10人に1人の割合で存在していると報告しています。
水虫のなかでも足、爪の順番で症状が多いようです。
このように水虫は日常生活でありふれた病気であるため、感染する原因をよく知り、予防に努めることが大切です。
参照:足白癬・爪白癬の実態と潜在罹患率の大規模疫学調査(Foot Check 2023)第1報
参照:公益社団法人 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A
水虫になる原因は?
水虫は同居している家族や、ジムで共同のシャワーを使用した人などから、白癬菌が感染して発症することがほとんどです。
水虫で剥がれ落ちた皮膚の垢が、バスマットやスリッパ、床、畳、布団などから足に付着することで感染します。
また、白癬菌はカビなので、足などの湿っている場所に好んで集まる性質もあるわけです。
靴下を履けば余計に湿度が高まるため、より発症リスクが高まるでしょう。
白癬菌は皮膚に付着して感染することがほとんどであり、空気中に舞うことはありません。
水虫はどんな種類がある?
足の水虫は大きく分けて4つの種類があり、日常でよくみかけるタイプからそうでないタイプまで様々です。
なかには塗り薬では治りにくいものもあります。
詳しく見ていきましょう。
趾間型
趾間型は足の指と指の間にみられる水虫で、最も多いタイプです。
皮膚がふやけてかゆくなるほか、赤くなったり、次第に剥がれたりします。
症状が悪化すると炎症を起こして痛みが出ることもあります。
小水疱型
小水疱型は足のうらに複数の小さい水ぶくれが起こるタイプです。
暖かい季節に生じやすく、一方の足から症状が出始めます。
足のうらが赤くなったり激しいかゆみがでたりした後に、水ぶくれが破れ、乾燥して固いかさぶたになります。
角質増殖型
角質増殖型は季節関係なく足のうらの全体が固くなる水虫で、両足に起こりやすいです。
特に踵はひび割れるほど固くなりやすく、剥がれ落ちた垢が感染源にもなります。
水虫の症状だと自覚しにくく、塗り薬では治りにくい病気です。
爪白癬を合併している例も少なくありません。
爪白癬
白癬菌が爪に入り込み、爪が白く濁って肥厚する水虫を爪白癬といいます。
爪白癬は爪自体が感染源となるため、周りにも移す可能性があります。
塗り薬も効きにくく、爪白癬を治す方法は簡単ではありません。
水虫の治し方は?
水虫の治療は基本的に、塗り薬や飲み薬の薬物療法です。
水虫は塗り薬を1日に1回、30日くらい塗り続ければ治りますが、なかには飲み薬が必要になる症状もあります。
詳しくみていきましょう。
塗り薬
水虫にはクリームや液体、スプレーなどによる塗り薬があり、様々な薬剤が出ています。
処方薬の一覧を見ると種類の多さに驚くことでしょう。
処方薬としてランキングに挙がりやすいのはルコリンクリームやニゾラールクリーム、クレナフィンなどです。
自分の症状にどの薬が適しているかは、皮膚科に受診して相談してみましょう。
また、水虫の塗り薬は市販薬でも同じ効果があり、毎日使用することで症状が治った例も多いです。
皮膚疾患の市販薬として知られている、オロナインでも治ると言われています。
飲み薬
水虫の飲み薬はイトラコナゾールやテルビナフィン、ホスラブコナゾールなどで、市販薬はなく処方薬のみとなります。
角質増殖型や厚くなった爪白癬は、塗り薬だけでは十分な効果が得られないことが多いため、飲み薬による治療が必要です。
飲み薬は肝機能などの副作用があるため、治療前と治療開始後2ヵ月は月1回の血液検査をおこないながら内服します。
塗り薬を使用する時の注意点は?
塗り薬は水虫を治すために効果的な治療法ですが、使用方法や市販薬の選び方、副作用など、様々な注意点があります。
実は市販薬のなかにはあまり塗ってはいけない薬剤もあるのです。
詳しく説明していきましょう。
症状が治ってからもしばらく使う
水虫は塗り薬で治りますが、完全に治すためには最低30日ほどは毎日塗る必要があります。
水虫は塗り薬を使うと1~2週間で症状が良くなります。
しかし、その状態では全ての白癬菌が死滅していません。
「一発で治す」と宣伝している薬剤もありますが、症状がみられなくなったとしても、水虫自体は治っていないことがほとんどです。
また、白癬菌は自覚症状がない部位にも存在するため、水疱やかゆみなどの症状がある部位だけではなく、指の間から足のうら全体に塗り続けることが大切です。
市販薬の成分に注意する
市販薬は、クロタミントンやジブカインなどのかゆみを止める成分が配合されていることがあり、処方される薬より皮膚がかぶれる頻度が高くなります。
塗り薬の市販薬でランキング上位に挙がっていたり、いわゆる「最強」と呼ばれたりするものは一見効き目が強いですが、これらの成分が含まれているかもしれません。
市販薬を購入する時は、成分表をよく見て商品を決めましょう。
かぶれたら皮膚科を受診する
塗り薬を使用すると約2%の頻度で皮膚がかぶれる、赤みが出るなどの副作用が生じます。
塗り薬を使った後にこれらの症状がでた場合は、水虫のほかに接触性皮膚炎の症状も起きていますので、皮膚科を受診しましょう。
接触性皮膚炎の症状が出たら、水虫よりも治療を優先する必要があります。
水虫の予防策は?
水虫の感染を防ぐためには、水虫に感染者している人から白癬菌をもらわない対策をすることが大切です。
具体策について解説していきます。
家族に水虫を治してもらう
日本皮膚科学会では、これが最も効果的な予防法であると公表しています。
水虫の感染源は主に同居している水虫の感染者です。
同じ空間で過ごすことになると、どうしても感染者から感染しやすくなるため、水虫の症状が出ている家族には皮膚科に受診して治してもらいましょう。
物を共有しない
水虫に感染している家族がいる場合は特に、物を共有するのはやめましょう。
カーペットやスリッパ、バスマットなどは感染源となる皮膚や爪が滞在しやすく、共有することで感染の原因になります。
感染を防ぐために床を掃除機や水拭きでこまめに掃除したり、カーペットなどを洗濯したりすることも大切です。
靴のケアを行う
水虫の人が履いた靴は白癬菌が残っているため、靴のケアも欠かさずおこないましょう。
感染や再発を防ぐためには、靴のなかの白癬菌を取り除いて、乾燥させることが大切です。
洗える靴であれば可能な限り洗い、洗えない靴であれば靴のなかの白癬菌を雑巾で拭き取って乾燥させましょう。
また、白癬菌が靴のなかにたまらないように、毎日同じ靴を履かないようにするのも効果的です。
足をしっかり洗う
お風呂では足をしっかり洗いましょう。
皮膚についた白癬菌は、完全に皮膚に入り込むまでに約12~24時間かかると言われています。
指と指の間や、爪の間まで石鹸で洗うことが大切です。
しかし、洗いすぎて角質に傷がつくと逆に足白癬になりやすくなるため、泡で優しく洗うようにしてください。
足を乾燥させる
水虫の感染を予防するには、白癬菌を繁殖させないように足をよく乾燥させることが大切です。
足を洗った後はしっかりタオルでふくようにしましょう。
また、長時間同じ靴や靴下を履いたりすると、足が常に湿った状態になりやすいため、夏場はサンダルなどに履き替えるのも良いでしょう。
まとめ
日常でよく耳にする水虫は、重篤な症状に繋がる可能性のある病気です。
水虫にかかったら正しい方法で治療薬を使い、しっかりと白癬菌を死滅させるようにしましょう。
「感染者に水虫を治してもらう」「感染者と物を共有しない」などの予防策を徹底して行うことも大切です。
水虫の塗り薬の正しい使用法を学んで、安心できる毎日を送ってください。