最近の研究で、EDは運動で改善できる可能性が高いことがわかりました。
実は運動療法は、バイアグラのような薬剤と同じくらいの効果があるのです。
今回は、EDと運動の効果について調べた研究について詳しくお伝えしていきます。
具体的な運動方法についても紹介しているので、参考にしてみてください。
なぜ運動がED改善に効果があると考えられるのか
多くの高齢男性が、思うように勃起できないという悩みを抱えています。
これまでの治療法としては、バイアグラなどの薬物療法が一般的でした。
しかし、薬剤には副作用の心配があります。
そこで研究者たちは、より自然な方法で改善できないかと考えました。
勃起には健康な血管が重要です。
血管が硬くなったり炎症を起こしたりすると、勃起機能に影響が出ることがわかっているからです。
そこで、運動は血管の健康を改善することから、EDにも効果があるのではないかと考えられたのです。
参加者の特徴と運動の方法
モヒット・ケラ氏、サミール・バタチャリヤ氏、ラリー・ミラー氏の研究チームは、11件の臨床試験のデータを分析しました。
これらの試験には合計1,100人の男性が参加しており、600人が運動グループ、500人が対照グループに分かれました。
運動グループの参加者には、週に3~5回、約30分~1時間の有酸素運動をするよう伝えられました。
運動の実施方法は、大きく以下の2つに分かれます。
- 専門家の監督下で行う有酸素運動(6つの研究)
- 自主的な運動と定期的なカウンセリング(5つの研究)
研究に参加した方の特徴は様々でした。
ほとんどの参加者が過体重か肥満で、EDの状態は軽度から中等度。
運動プログラムは2~24ヵ月(平均6ヵ月)続けられました。
運動療法でEDが改善した割合は?
研究の結果、運動療法を行った群では勃起機能が平均して5ポイント改善したとのことです。
これは驚くべきことに、バイアグラなどの薬物療法による改善(4~8ポイント)とほぼ同等の効果です。
一方、テストステロン療法では2ポイントの改善にとどまりました。
運動療法のメリット
運動療法の大きなメリットは、副作用がほとんどないことです。
薬物療法では、頭痛やめまい、消化器系の不調などの副作用が報告されていますが、運動ではそういった心配がありません。
さらに、運動には以下のような総合的な健康効果もあります。
- 心臓や血管の健康改善
- 体重管理
- ストレス解消
- 睡眠の質向上
- 自信の回復
研究の信頼性について
この研究結果の信頼性は比較的高いと評価されています。
ただし、完全な二重盲検試験(参加者も研究者も誰がどの治療を受けているかわからない方法)は実施できなかったとのことです。
これは運動療法の性質上、避けられない制限です。
しかし、この研究で注目すべき点は、ランダム化比較試験を11件分析したという手法です。
通常、医学研究では1つの試験結果だけでなく、複数の研究結果を総合的に分析することで、より信頼性の高い結論を導き出します。
今回の研究でも、1,100人という比較的多くの参加者のデータを分析することで、説得力のある結果が得られていると言えるでしょう。
また、2~24ヵ月という研究期間は、短期的な効果だけでなく、中期的な効果も確認できる適切な期間だったと考えられます。
生活習慣の改善を目的とする研究では、ある程度の期間が必要です。
この点で、習慣化の効果を見る上で意味のある設定だったといえます。
そしてこの研究では、勃起機能を評価する国際的な指標が使用されています。
そのため、世界中の研究者が結果を比較検討できる普遍性の高いデータが得られています。
また、運動の実施状況も詳しく記録されており、どのくらいの運動で効果が得られるのかが明確に示されています。
研究参加者の選定基準も適切だったと評価できます。
軽度から中等度のED症状を持つ患者さんを対象としたことで、一般的な患者さんにも応用できる高い結果が得られています。
また、過体重や肥満の患者さんが多かったことで、現代社会の実情を反映しているとも言えるでしょう。
実践的なアドバイス
研究結果を踏まえて、EDで悩む方々への実践的なアドバイスをまとめてみました。
まずは、以下の軽い運動から始めてみてください。
- ウォーキング(1日約30分)
- 自転車こぎ
- 水泳やジョギング
体力がついてきたら少しずつ運動強度を上げ、心拍数が少し上がるくらいの運動に挑戦してみてください。
具体的には、週3~5回を目標にしましょう。
継続的な取り組みが重要なので、最低2ヵ月は継続するよう、無理のない範囲で習慣化するのがおすすめです。
運動記録をつけることに加え、以下にも注意を払ってみてください。
- 生活習慣の見直し
- 十分な睡眠
- バランスの良い食事
- ストレス管理
医療機関との連携
運動を始める前に、必ず主治医に相談することをおすすめします。
特に以下のような場合は要注意です。
- 心臓病がある
- 高血圧の方
- 糖尿病の方
- 整形外科的な問題がある
健康保険制度や予防医療も変化する?
医学の世界では、これまで様々な治療法が薬物療法を中心に発展してきました。
しかし今回の研究結果は、そんな常識を大きく覆すものでした。
運動による治療効果がバイアグラと同等だという発見は、医療関係者にとって大きな驚きだったに違いありません。
この研究が投げかけた波紋は、医療現場に留まりません。
健康保険制度や予防医療の在り方にまで、広く影響を及ぼす可能性を秘めています。
なぜなら、運動療法は薬物療法に比べて医療費を大幅に抑制できるからです。
また、副作用の心配が少ないことから、治療に二の足を踏んでいた人々にも希望をもたらすことでしょう。
さらなる研究の必要性
しかし、研究結果の解釈には慎重にならなくてはいけません。
参加者の多くが過体重や肥満傾向にあったことから、標準体重の人への効果については、さらなる検証が必要かもしれません。
また、運動の種類や強度による効果の違いについても、まだ十分な研究データがそろっているとは言えません。
今後の研究課題としては、長期的な効果の検証が挙げられます。
現在の研究では最長24ヵ月までの効果しか確認されていませんが、5年、10年といった長期にわたる効果については、まだ不明な点が多く残されています。
また、個人差についても、欲を言えば詳しく調べてほしいところです。
遺伝的な要因や生活環境、食生活などが、運動療法の効果にどのような影響を与えるのかを明らかにすることで、より効果的な治療プログラムの開発に繋がるでしょう。
運動の種類による効果の違いについても、さらなる研究が欲しいですね。
有酸素運動と筋力トレーニングの比較や、様々な運動の組み合わせによる相乗効果など、検証すべき点は数多く残されています。
運動療法の課題と解決方法を考える
運動療法の実用化に向けては、いくつかの課題も見えます。
その一つが、医療機関と運動指導の専門家との連携です。
医師が運動療法を処方する際には、患者さんの既往症や体力などを考慮しながら、適切な運動プログラムを組み立てる必要があります。
そのためには、医療と運動指導の両方に精通した専門家の育成も欠かせません。
また、運動療法の導入には、医療機関のシステム改革も必要になるかもしれません。
診察時間の確保や、運動指導のための設備投資、専門スタッフの育成など、様々な課題に取り組む必要があります。
運動療法の普及に向けては、保険制度の見直しも検討課題となるでしょう。
運動指導を保険診療の対象とすることで、より多くの人々が治療を受けやすくなる可能性があります。
自主的に運動をすればEDが改善する可能性があると伝えても、わかってはいるけれど面倒でできないという人は多いのではないでしょうか。
医師から運動をするように伝えるだけでは、患者さんが重要性を理解できず、行動しない恐れもあります。
これを避けるためには、やはり大げさでも運動指導をした方が病状改善にはなるでしょう。
現代に即した運動療法の提案
運動療法の効果を最大限に引き出すためには、継続的な取り組みが不可欠です。
しかし、仕事や家事に追われる人にとって、週3~5回の運動を習慣化することは難しいかもしれませんね。
そこで提案したいのが、生活スタイルに合わせた運動プログラムの開発です。
例えば、通勤時間を利用したウォーキングや、休憩時間中の軽い運動など、日常生活に無理なく組み込める方法が提案されれば、患者さんも取り組みやすくなるのではないでしょうか。
また、スマートフォンやウェアラブルデバイスを活用して、運動の実施状況や効果を記録・分析できるシステムの開発も有効でしょう。
社会全体で運動を広める方法
さらに、運動療法の普及には、社会全体での取り組みが必要だと思います。
企業や自治体が従業員や住民の健康増進プログラムに運動療法を取り入れることで、より多くの人々が気軽に参加できる環境を整えることができるでしょう。
運動療法の効果は、EDの改善だけにとどまりません。
定期的な運動は、生活習慣病の予防や改善、メンタルヘルスの向上にも効果があることが知られています。
つまり、運動療法は総合的な健康増進に繋がる可能性を秘めているわけです。
まとめ
EDの改善に運動が効果的であることが科学的に証明されました。
週3~5回の有酸素運動で、バイアグラと同等の効果が得られる可能性があります。
運動には副作用がなく、全身の健康にも良い影響があるため、第一選択として検討する価値があります。
ただし、運動を始める前には必ず医師に相談し、自分の健康状態に合わせた運動計画を立てるようにしましょう。
継続的な取り組みによって、薬剤に頼らない自然な改善が期待できます。