EDや夜間頻尿があると心臓疾患リスクが高まる？原因と対策を知りQOLを上げよう

適用部位

泌尿器

悩みや症状

QOL向上

EDと夜間頻尿に潜む危険なシグナル

研究で指摘されたのは、勃起不全（ED）や夜間頻尿が、心臓代謝疾患の初期症状である可能性があるという点です。
アデレード大学のゲイリー・ウィッタート教授によると、これらの症状はただの生活の質を下げるものではなく、心臓発作やその他の重大な心臓疾患に繋がるリスク要因である可能性が高いとのことです。

ウィッタート教授は、次のように述べています。

「夜間頻尿は睡眠の質を著しく低下させ、慢性的な疲労やストレスを引き起こします。一方でEDは、パートナーとの関係性に大きな影響を及ぼします。これらの症状に早めに対処することで、心臓代謝障害の進行を防ぐことができます」

男性がこれらの症状を軽視する傾向がある中、医療従事者による積極的な問診が必要だとされています。

夜間頻尿とEDを放置するリスク

夜間頻尿とEDを放置するとどうなるのでしょうか？研究によれば、症状が進行することで、治療がより難しくなる可能性が高いとされています。
また、これらの症状を引き起こす疾患が進行し、心血管疾患のリスクが増大する危険性があることがわかっています。

研究を主導した医師の一人であるサム・タファリ博士は、次のように述べています。
「夜間頻尿の患者さんの約70％はEDも経験しています。医療従事者がこれらの症状に注目し、積極的に問診を行うことが重要です」

さらに、患者さん自身がこれらの症状の重要性を認識し、早く医療機関を受診することが推奨されています。
しかし、現状では、特に若年層の男性が問題を放置する傾向が強いと言われています。

年齢別に異なる患者さんの認識

興味深いのは、年齢によって症状に対する態度が異なることです。
若い男性は、EDが「自然に治る」と誤解して医師の助けを求めない一方で、高齢者はそれを「老化の一部」として受け入れる傾向があります。
このような誤解が、早期診断や治療の機会を逃す原因となっているのです。

研究チームは、患者さんが自己診断に頼らず、適切なタイミングで医師のサポートを求められるような啓発活動が必要だと述べています。
現在、症状のチェックリストを開発する取り組みも進行中です。
このリストで、患者さんがかかりつけ医を受診するきっかけになることが期待されています。

慢性疾患の予防と早期発見の重要性

男性は女性に比べて慢性疾患の罹患率が高く、その予後も悪い傾向があります。
これは、男性が症状を軽視する傾向が強いためとされているそうです。
このような現状を受け、研究チームは、医療従事者が男性患者に対してより積極的に症状を確認するよう奨励しています。

ウィッタート教授は、EDや夜間頻尿について聞くことで、生活の質向上だけでなく、重大な疾患リスクを減少させられると語ります。
男性が早くに医療の助けを求めることができれば、個人の健康だけでなく、医療費の削減や社会全体の健康改善にもなると考えられています。

医師に求められること

具体的には、どのような診療アプローチが求められているのでしょうか。
研究者たちは、一般開業医が男性患者の問診時に「夜間頻尿やEDがあるか」を定期的に確認することを提案しています。

これは簡単な質問から始められるものであり、診断プロセスを効率化する効果も期待されています。

また、患者さんが症状を打ち明けやすい環境を整えることも重要です。
タファリ博士は、次のように述べています。

「男性は、自分の健康問題を口にすることを恥ずかしいと感じることが多いです。そのため、医師がリードする形で問診を進めることが、患者さんとの信頼関係を築く鍵となります」

日本で夜間頻尿に悩まされている人は何人？

東洋経済ONLINEに掲載された記事によると、日本国内では40歳以上の66.7％もの人が夜間頻尿に悩まされていると言います。
睡眠の質や日常生活に悪影響を及ぼす深刻な健康課題とされていますが、夜間頻尿の原因や対策には何があるのでしょうか。

夜間頻尿の原因

記事では、夜間頻尿の主な原因として以下の3点が挙げられています。

加齢によるホルモン変化
抗利尿ホルモンは夜間に尿の生成を抑える働きを持っていますが、加齢とともにその分泌量が減少します。
その結果、夜間の尿量が増え、頻繁にトイレに起きることになります。
膀胱の収縮能力の低下
年齢を重ねるにつれ、膀胱の尿保持能力が低下し、少量の尿で「強い尿意」を感じるようになります。
この現象は特に高齢者に多く見られ、夜間頻尿の原因の一つとされています。
睡眠の質の低下
夜間頻尿が睡眠を妨げる一因である一方、逆に不眠症や浅い眠りなどの睡眠障害が頻尿を助長する可能性も指摘されています。
深い眠り（ノンレム睡眠）と浅い眠り（レム睡眠）のサイクルが崩れることで、トイレに起きる回数が増える悪循環が生じます。

夜間頻尿が及ぼす生活への影響

夜間頻尿は睡眠の妨げとなるだけでなく、昼間の活動にも大きな影響を及ぼすことがあります。

日中の疲労感や集中力の低下
免疫力の低下
転倒リスクの増加（夜間の移動が原因）

特に高齢者では、夜間頻尿に起因する転倒や骨折がその後の健康に深刻な影響を及ぼすことが多く、注意が必要です。

解決に向けた具体的な対策

記事内で髙橋悟氏は、夜間頻尿に対処するための3つのアプローチを提案しています。

抗利尿ホルモンの働きをサポートする生活習慣
就寝前の水分摂取を控えめにする、カフェインやアルコールの摂取を制限するなどの方法が推奨されています。これにより夜間の尿量を減少させられます。
膀胱トレーニング
尿意を感じた際にすぐにトイレに行くのではなく、尿をためる時間を少しずつ延ばしていくことで、膀胱の容量を増やす訓練が効果があります。
医療機関の受診
症状が重い場合は泌尿器科を受診し、必要に応じて薬物療法を受けることが重要です。

夜間頻尿の影響を軽んじてはいけない

夜間頻尿は身体的な問題だけでなく、生活の質にも大きな影響を与えることがわかります。
特に、夜間頻尿が引き起こす睡眠の質の低下は、日常生活にも深刻な影響を及ぼします。

昼間の活動に支障をきたし、仕事や家事、社会的な交流にも困難を感じることがあるでしょう。
睡眠の質が悪化すると、集中力の低下や倦怠感、精神的な疲労感が強くなることが多く、これが生活全体に悪影響を与えるのです。

さらに、夜間頻尿が心理的なストレスを引き起こすこともあります。
頻繁に夜中に目覚めることが続くと、不安や不快感が蓄積し、心理的にも負担が大きくなります。
このような状況が続くと、昼間の活動に支障をきたすだけでなく、うつ症状や焦燥感が増すこともありえます。
そのため、夜間頻尿は身体的な症状にとどまらず、心身の健康にまで波及する問題であると言えるでしょう。