急な下痢は、お腹は痛いしトイレに何度も行かなくてはならないし、時には耐えられないと思うこともあるほど。
そんな下痢に対応するには、即効性がある薬剤が頼りになります。
そこでこの記事では、急性の下痢に対応できる早さが売りの「イモジウム」という会社が出している薬剤をご紹介していきます。
イモジウム オリジナル 2mg カプセルとは?
イモジウム オリジナル 2mg カプセル (IMODIUM Original Capsules)は急性下痢の対症療法に使われる薬剤で、過敏性腸症候群に伴う下痢に対しても効果がある薬剤です。
主成分であるロペラミド塩酸塩は、腸内の過剰な動きを抑え、下痢の症状を素早く緩和する効果があります。
主成分のロペラミド塩酸塩の働き
1カプセルあたりのロペラミド塩酸塩は2mgです。
このロペラミド塩酸塩は、腸の筋肉をリラックスさせることで、腸の動きを正常化させる作用があります。
この作用により、腸内の内容物が早く移動しすぎることを防ぎ、下痢の頻度を減らす仕組みになっています。
また、カプセル自体は不透明な緑色のキャップと灰色の本体から成っており、キャップには「Imodium」、本体には「Janssen」という刻印が施されています。
カプセルの中には白い粉末が詰まっており、これには主要成分であるロペラミド塩酸塩とともに、乳糖などの賦形剤が含まれています。
対象年齢と適応症
イモジウム オリジナル カプセルは、成人および12歳以上の小児の急性下痢に使えます。
急性下痢は、突然始まり比較的短期間で終わることが多いですが、その症状は非常に不快で日常生活に大きな影響を与えることがあります。
イモジウムはその症状を緩和するための対症療法として、便の硬さを正常に近づけ、腸の動きを抑える効果を発揮してくれるのです。
さらに、過敏性腸症候群 (IBS) に伴う急性下痢にも対応しており、こちらも12歳以上に対して有効とされています。
過敏性腸症候群は、腸の過剰な動きや便通の異常によって引き起こされる消化器の疾患であり、ストレスや食事の影響を受けやすい症状です。
イモジウムを服用する場合は、医師の診断を受けた上での使用が推奨されています。
使用方法と投与量
イモジウムは、急性下痢の場合、最初に2カプセル (4mg) を服用し、その後は軟便が出るたびに1カプセル (2mg) を追加で服用します。
1日の最大投与量は6カプセル (12mg)を超えてはならないという制限があるので、安全に使用するためにも用量を守りましょう。
また、過敏性腸症候群に伴う急性下痢の場合も、最初は2カプセルを服用し、症状に応じて追加でカプセルを服用します。
こちらも1日6カプセルを超えないように注意が必要です。
なお、イモジウムは12歳未満の子どもには使用できません。
また、高齢者や腎機能障害のある患者さんについては特に用量の調整は必要ありませんが、肝機能障害のある患者さんに対しては注意が必要です。
肝機能障害があると、ロペラミドが体内で多く蓄積される可能性があり、結果として中枢神経系に影響を及ぼすリスクがあるためです。
禁忌と注意事項
イモジウムには、特定の条件下では使用を避けるべき禁忌事項があります。
以下の状況に該当する場合、使用を避けるか医師と相談してください。
- 有効成分または賦形剤に対するアレルギー反応がある場合
- 12歳未満の子ども
- 便に血が混じり、高熱を伴う急性赤痢の症状がある場合
- 急性潰瘍性大腸炎の患者さん
- サルモネラ菌や赤痢菌など、侵入性微生物による細菌性腸炎が確認されている場合
- 抗生物質の使用に関連する偽膜性大腸炎の症例
また、イモジウムの使用により腸の動きが止まりすぎてしまうと、腸閉塞や便秘、中毒性巨大結腸などの危険が高まるため、腹部膨満や異常が生じた場合は使用を中止しましょう。
さらに、下痢の根本的な原因が特定されていない場合、長期間の使用は推奨されていません。
イモジウムはあくまで対症療法であり、48時間以内に症状が改善しない場合は使用を中止し、医師に診察を受ける必要があります。
妊娠・授乳中の使用
妊娠中や授乳中においても、イモジウムの使用には慎重な対応が必要です。
動物実験ではロペラミドに奇形形成や胎児毒性が見られなかったとされていますが、人間に対する安全性が確立されていないため、特に妊娠初期の使用は推奨されていません。
また、授乳中の母親が服用すると、微量ではありますがロペラミドが母乳中に混入する可能性があるため、これも使用を避けるべきです。
妊娠や授乳中に下痢の治療が必要な場合は、必ず医師に相談してください。
イモジウムの副作用
イモジウムを使用する際には、副作用にも注意が必要です。
臨床試験では、一般的に報告された副作用は便秘(2.7%)、鼓腸(1.7%)、頭痛(1.2%)、吐き気(1.1%)とされています。
これらは比較的軽度のものですが、始めてイモジウムを服用する場合は特に注意しておきましょう。
また、ロペラミドの使用により意識喪失やめまい、疲労感、眠気といった症状が現れることがあり、運転や機械操作には注意が必要です。
特に急性下痢によって体力が消耗している場合、集中力が低下しやすいため、これらの活動は慎重に行うか控えるべきです。
他の薬との相互作用
イモジウムは他の薬剤と相互作用を持つ可能性があり、特にCYP3A4やP糖タンパク質の阻害剤と同時に服用すると、ロペラミドの血中濃度が増加することが報告されています。
例えば、キニジンやリトナビルといった薬剤と一緒に服用することで、ロペラミドの血漿濃度が2~3倍に上昇する可能性があります。
その他にも、ケトコナゾールやゲムフィブロジルなども同様にロペラミドの作用を強めることが知られており、これらの薬剤を服用している場合は医師と相談しましょう。
また、逆に胃腸の動きを活発化させる薬剤は、ロペラミドの効果を減少させることがあるため、これらの薬剤との併用も避けるべきです。
イモジウムと日本の市販薬3つの比較
イモジウムは下痢止め薬として世界的に有名な薬剤で、その主成分であるロペラミド塩酸塩が腸の運動を抑えることで下痢を止める効果を発揮します。
日本でも、ロペラミド塩酸塩を含む市販薬はいくつかありますが、イモジウムとの成分量の違いが注目すべきポイントです。
トメダインコーワ錠
トメダインコーワ錠はロペラミド塩酸塩を含む市販薬の一つで、腹痛を伴う下痢や食べすぎ・飲みすぎ、寝冷えによる下痢に効果があります。
この薬の主成分であるロペラミド塩酸塩は、6錠中に1.0mg配合されています。
1回の服用量が3錠であるため、1回のロペラミド塩酸塩の摂取量は0.5mgです。
イモジウムは1回あたりロペラミド塩酸塩4mgが含まれていることと比較すると、トメダインコーワ錠のロペラミド塩酸塩の含有量はかなり少ないことがわかります。
トメダインコーワ錠には、ロペラミド塩酸塩以外にもベルベリン塩化物水和物やアクリノール水和物、ゲンノショウコ末、シャクヤク末といった成分が含まれており、腸内の殺菌作用や腸粘膜の保護作用が期待できます。
ストッパNOM
ストッパNOMは、飲みすぎや食べすぎによる下痢に対して効果がある市販薬で、水なしで噛んで服用できる便利さが特徴です。
この薬剤の1日量(2錠)には、ロペラミド塩酸塩 1mgが含まれています。
つまり、1回分の服用量は1錠で、その中に0.5mgのロペラミド塩酸塩が含まれていることになります。
ストッパNOMも、イモジウムと比較するとロペラミド塩酸塩の含有量は少なく、下痢の症状に対してやや穏やかな効果が期待される薬剤といえるでしょう。
さらに、ウコン乾燥エキスが含まれており、消化機能をサポートする役割も果たします。
ゼロクトン下痢止め
ゼロクトンもロペラミド塩酸塩を含む下痢止め薬で、腸の運動を抑え、殺菌効果を発揮する成分が含まれています。
4錠中にロペラミド塩酸塩 1mgが含まれており、1回の服用量が2錠のため、1回で摂取できるロペラミド塩酸塩はこちらも0.5mgとなります。
この薬剤もイモジウムと比較すると、ロペラミド塩酸塩の含有量は少ないです。
さらに、ゼロクトンにはベルベリン塩化物水和物やアクリノール水和物が含まれており、これらの成分が腸内の有害な細菌に対して殺菌作用を発揮します。
イモジウムの方が即効性があるかも!
上記で紹介した3つの日本の市販薬は、いずれもロペラミド塩酸塩を含むものの、1回あたりの服用量では0.5mgしか含まれていません。
それに対して、イモジウムは初回は1回の服用で4mgのロペラミド塩酸塩を摂取でき、その効果はより強力です。
この成分の違いにより、イモジウムは急性の下痢や慢性の下痢に対して即効性を求める場合に適しているといえます。
日本の市販薬はロペラミド塩酸塩の量が少ないため、やや緩やかな効果が期待され、腹痛を伴う下痢や軽度の下痢に適していると考えられます。
まとめ
イモジウムは、下痢に悩む方の心強い味方になってくれるかもしれませんね。
調べてみた結果、下痢の症状に対して速やかな改善を期待する場合は、日本の市販薬よりもイモジウムの方が効果が感じられる可能性が高いとわかりました。
一方、日本の市販薬はロペラミド塩酸塩以外にも様々な成分が含まれており、腸内環境の保護や腹痛の緩和にも効果があるため、下痢の原因や症状に応じて使い分けてみるのも良いかもしれません。