代謝拮抗薬はがんの治療に使われる薬剤ですが、その作用機序や種類については詳しく知らない方も多いのかもしれません。
今回は代謝拮抗薬を分かりやすく紹介し、その中でも多くのがん治療に用いられているフルオロウラシルにフォーカスして解説していきます。
代謝拮抗薬やフルオロウラシルへの理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。
代謝拮抗薬とは
代謝拮抗薬は化学療法で使用される抗がん剤の1つで、注射薬やカプセル・散剤・錠剤などの内服薬などの剤型があり、作用の違いによってプリン拮抗薬・葉酸代謝拮抗薬・ピリミジン拮抗薬などに分類されています。
それぞれの種類ごとに効果や作用機序は多少異なりますが、ここでは代謝拮抗薬の概要を掴んでいきましょう。
代謝拮抗薬の作用機序
がんは正常な組織の中に遺伝子が傷ついた異常な細胞が発生し、その異常な細胞が増殖して塊をつくっていく病気です。
がん細胞が増殖を続けると、基底膜を越えて広がり、やがて血管などに入り込んで全身に広がり転移していきます。
代謝拮抗薬は、がん細胞が分裂したり増殖したりする時のがん細胞の代謝を阻害する作用がある薬剤で、がん細胞が増殖する際に必要な成分と似た構造を持つ物質を取り込ませて抗腫瘍効果をもたらします。
どんな物質に似ているかによって、プリン拮抗薬・葉酸代謝拮抗薬・ピリミジン拮抗薬などの種類に分かれています。
代謝拮抗薬の副作用
副作用も種類によって多少の違いがありますが、すべての代謝拮抗薬で現れることの多い症状には次のようなものがあります。
- 消化器症状:吐き気、食欲不振、下痢、口内炎など
- 皮膚症状:発疹、赤み、脱毛など
- 骨髄抑制:白血球の現象、血小板の減少、汎血球減少など
また、一部の代謝拮抗薬では敗血症や肺炎などの感染症や肝機能障害、腎機能障害が起こる可能性もあります。
代謝拮抗薬フルオロウラシルとは
抗がん剤の一種である代謝拮抗薬のフルオロウラシルはピリミジン拮抗薬に分類される薬で、チミジル酸合成酵素を阻害することでDNA合成を妨げてがん細胞の増殖を抑える作用があります。
フルオロウラシルの注射薬や内服薬は胃がんや肝がん、結腸・直腸がん、乳がん、膵がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどに、軟膏は皮膚がんなどに使用されています。
フルオロウラシルの副作用と禁忌
一部に塗布する軟膏よりも、体内に入れる注射薬や内服薬の方が全身の副作用が現れやすくなるため、より注意が必要です。
一例を挙げるとアナフィラキシーショックや激しい下痢などによる脱水症状、重篤な腸炎、骨髄機能抑制、心筋梗塞、間質性肺炎、脱毛などがあります。
軟膏では皮膚炎や爪の変形に加え、激しい疼痛などの重大な副作用が起きる可能性もあります。
また、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中や投与中止後7日以内である場合はフルオロウラシルの使用が禁止されています。
併用禁忌の薬剤も多数あり、シスプラチンやメトトレキサート製剤を始めとする様々な種類のものが併用できないとされているため、服用中の薬剤がある場合には必ず医師に相談するようにしましょう。
フルオロウラシルが配合された製品
フルオロウラシルの商品には、結腸・直腸がんで使われるロイコボリン錠やユーゼル錠などの錠剤に加え、皮膚がんの治療に使われる5-FU軟膏などの外用薬も製造されています。
フルオロウラシルには美白効果もあるとされ、5-FU軟膏にはシワやシミ、ほくろを薄くする効果も期待できるとされています。
個人輸入代行のお薬ネットでは、5-FU軟膏のジェネリック医薬品であるフロニダクリームが通販で購入できます。
フロニダクリームとは
フロニダクリームは5-FU軟膏と同じ有効成分フルオロウラシルが配合された軟膏で、メナリーニ社が販売しているジェネリック医薬品です。
皮膚にできた悪性腫瘍の治療に高い効果が期待できるうえに、紫外線を浴び続けることで起きる光老化によるシミやしわを改善したり、ウオノメや尖圭コンジローマなどのイボの治療にも効果があったりすると考えられています。
フロニダクリームは適量を1日1~2回ほど患部に塗布して使用しますが、この時絶対に目には入れないように注意してください。
また、フロニダクリームを塗った部分に防水フィルムを貼る閉鎖密封療法を行うと効果が高まることに加えて、周囲への付着を防げます。
フロニダクリームを使用していて疼痛や赤み、色素沈着などの副作用が現れた場合や、フルオロウラシルに過敏症がある方は使用を控え、症状がひどい時にはすぐに医療機関を受診するようにしましょう。
代謝拮抗薬の一覧
ここまでフルオロウラシルについて解説してきましたが、代謝拮抗薬には他の種類もあり、多種多様な製品が製造されています。
ここではフルオロウラシル以外の代謝拮抗薬も紹介していきます。
ピリミジン拮抗薬
フルオロウラシルが属しているピリミジン拮抗薬は、細胞増殖に必要なピリミジン塩基と同じような構造を持ち、ピリミジン塩基の代わりに結合することによってDNA合成阻害作用を発揮する抗がん剤です。
フルオロウラシル製剤である「5-FU」や、フルオロウラシルのプロドラッグであるテガフールが配合された「ティーエスワン」、肝臓や腫瘍組織でフルオロウラシルに変換される「ゼローダ」、急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病で使用される「キロサイド」などの抗がん剤があります。
なかでも「ジェムザール」は膵がん、胆道がん、卵巣がん、乳がんを始めとする様々ながんに高い抗腫瘍効果が期待できるとされています。
副作用には吐き気や食欲不振などの消化器症状、発疹や脱毛などの皮膚症状、白血球現象や好中球減少などの骨髄抑制に加え、肝機能障害が現れる可能性があります。
これら副作用が見られた場合は速やかに医療機関を受診するようにしてください。
プリン拮抗薬
プリン拮抗薬は細胞増殖に必要なプリン塩基と似た構造を持つ物質で、DNA増殖の際にプリン塩基の代わりに取り込まれることでがん細胞の増殖を阻害する抗がん剤です。
プリン拮抗薬に属する抗がん剤「アラノンジー」は体内で代謝されて腫瘍細胞のDNAに取り込まれて腫瘍細胞のDNA合成を止める作用を持ち、再発したがんやT細胞性急性リンパ芽球性白血病、T細胞性リンパ芽球性リンパ腫に使用します。
「フルダラ」は腫瘍細胞に結合した後、DNAやRNAの合成に必要なDNAポリメラーゼとRNAポリメラーゼを阻害して抗腫瘍効果を発揮する抗がん剤で、慢性リンパ性白血病や難治性の急性骨髄性白血病の治療に使用されています。
副作用としてピリミジン拮抗薬と同じように消化器症状・皮膚症状・骨髄抑制などが現れる可能性があり、特にアラノンジーでは貧血や眠気、めまい、末梢神経障害なども起こりやすいとされています。
葉酸代謝拮抗薬
葉酸代謝拮抗薬はDNAやRNAの塩基成分を生成する際に必要となる葉酸代謝酵素を阻害して、がん細胞の増殖を抑制する抗がん剤です。
乳がんや膀胱がんで使用される「メソトレキセート」はリウマチなどの治療にも使われる成分で、ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害することで効果を示します。
「アムリタ」は非小細胞肺がん、悪性胸膜中皮腫に高い効果がある一方で、複数の葉酸代謝酵素を阻害して葉酸やビタミンB12を不足させてしまうため、葉酸やビタミンB12を補う薬剤を併用する必要があります。
「ジフォルタ」は細胞内に長く留まって作用するように改良された難治性の末梢性T細胞リンパ腫や再発したがんに使用される薬剤で、こちらもアムリタと同様に葉酸やビタミンB12の薬剤を併用する必要があります。
他の代謝拮抗薬と同様に消化器症状・皮膚症状・骨髄抑制などの副作用に加え、急性腎障害を引き起こす可能性もあります。
尿が少なくなったり、出なくなったりなどの異変を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
その他の代謝拮抗薬
ピリミジン拮抗薬・プリン拮抗薬・葉酸代謝拮抗薬のどれにも属さない代謝拮抗薬には「ハイドレア」や「ビターザ」などの抗がん剤があります。
ハイドレアはDNAを構成する成分へ変化するヌクレオチドに関係する酵素を阻害する代謝拮抗薬で、真性多血病や慢性骨髄性白血病、本態性血小板血症の治療に使用されます。
ビターザは骨髄異形成症候群に使用されるDNAやRNAに取り込まれてタンパク質合成を阻害する作用のある薬剤です。
他の代謝拮抗薬のように消化器症状や皮膚症状、骨髄抑制などの副作用が現れる可能性があり、特にビターザは注射後に赤くなったり、かゆみや発疹が現れたりする点には注意が必要です。
代謝拮抗薬フルオロウラシルはがんの増殖を抑える薬
代謝拮抗薬は注射薬やカプセル・散剤・錠剤などの内服薬などの剤型がある抗がん剤の1つで、作用機序の違いによってプリン拮抗薬・葉酸代謝拮抗薬・ピリミジン拮抗薬・その他の代謝拮抗薬に分類されています。
なかでもフルオロウラシルはピリミジン拮抗薬に属する代謝拮抗薬で、細胞増殖に必要なピリミジン塩基の代わりに結合することによってDNA合成阻害作用を発揮する抗がん剤です。
剤型によって適応が異なり、注射薬では胃がんや肝がん、結腸・直腸がん、乳がんなどの各種がんに、軟膏では皮膚がんに使用される他、シミやしわへの有効性が期待されています。
フルオロウラシルの外用薬5-FU軟膏のジェネリック医薬品フロニダクリームは、個人輸入代行のお薬ネットで購入することが可能です。
皮膚症状でお悩みの場合はお薬ネットにご相談ください。