帯状疱疹後神経痛とはどんな病気?帯状疱疹後神経痛の治療薬と痛みを和らげるセルフケア

皮膚に帯状の赤い発疹や水ぶくれができる帯状疱疹は、ピリピリ・チクチクする痛みを伴う病気です。
自然治癒する病気である一方で、合併症である帯状疱疹後神経痛を引き起こす可能性があるため、できるだけ速やかに抗ウイルス薬を使用し、症状が長引かないうちに治療していくべきとされています。
今回はこの帯状疱疹の合併症である帯状疱疹後神経痛の症状や治療法について解説していきます。
また、辛い症状を和らげるセルフケアもご紹介しますので、帯状疱疹後神経痛に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。
帯状疱疹後神経痛とは
帯状疱疹後神経痛は帯状疱疹による発疹や水ぶくれが消失した後も続く痛みで、帯状疱疹において最も頻度が高い合併症です。
帯状疱疹は日本人の15~20%がかかる病気とされ、その中の5~20%の患者さんに帯状疱疹後神経痛が発症するというデータがあるほど頻度の高い合併症です。
帯状疱疹後神経痛は帯状疱疹の原因となるヘルペスウイルスによって神経が傷つけられることで発症すると考えられ、皮膚の状態は正常であるように見えるのにも関わらず、痛みがあるのが特徴です。
人によっては洋服が軽く触れただけで電気が走るような強い痛みを感じる「アロディニア」が現れ、日常生活に支障をきたすケースもあります。
帯状疱疹後神経痛は高齢者や女性に多く、特に症状が重かったり長引いたりすると合併症を引き起こしやすくなり、場合によっては慢性の痛みが数年から一生続く可能性もあります。
辛い症状が続く帯状疱疹後神経痛にならないためにも、帯状疱疹を疑う時には速やかに医療機関を受診したり、抗ウイルス薬を使用したりして悪化しないように努めることが大切と言えます。
帯状疱疹後神経痛の治療法
帯状疱疹後神経痛は、痛みの治療を行う専門医療機関であるペインクリニックで治療ができます。
「pain(ペイン)」は「痛み」を意味する言葉であり、ペインクリニックでは原因不明の痛みや、様々な病気によって起こる長期的な痛みや痺れに対する治療を行います。
また、内科でも帯状疱疹後神経痛を診察してもらえるケースもあるので、近くにペインクリニックがない場合は、痛みを我慢せず内科に相談するとよいでしょう。
ただし、帯状疱疹後神経痛は短時間で完治する病ではないので、様々な治療法を選択しながら根気強く治療を続けていくことが大切です。
ここでは帯状疱疹後神経痛の代表的な治療法である「ブロック注射」「カテーテル治療」「治療薬」について紹介していきます。
ブロック注射
ブロック注射は、痛みがある部位の神経付近に麻酔注射をして痛みを緩和させる治療法です。
麻酔と聞くと一時的に痛みを和らげるだけのように感じますが、ブロック注射を打つことで興奮した神経を落ち着かせて血管や筋肉の緊張を解き、帯状疱疹で神経が負ったダメージを回復させる効果も期待できます。
ブロック注射は首から下の幅広い部分の痛みに適用するよう様々な種類が用意されており、日帰りで施術を受けることが可能です。
1回の注射で完治することは少なく、複数回の注射を受ける必要があります。
また、帯状疱疹の早い段階でブロック注射による治療を行うことで、帯状疱疹後神経痛への移行を防ぐことも可能です。
カテーテル治療
近年の研究により帯状疱疹後神経痛は、炎症を起こした部位に残る瘢痕という組織の中にできた余分な血管や神経が原因となって痛みを引き起こしていることが分かってきました。
この余分な血管を正常な状態に整えて、帯状疱疹後神経痛を改善していく治療法がカテーテル治療です。
カテーテル治療はカテーテルと呼ばれる細い管を血管内に通して、疾患がある部位に直接治療を施す方法です。
一見痛そうに感じるかもしれませんが、血管内には神経が通っていないため、痛みなどの感覚がないのが特徴です。
このカテーテル治療は帯状疱疹後神経痛の新しい治療の選択肢とされていますが、改善する可能性があるのは全体の4~6割ほどと言われています。
治療薬
帯状疱疹後神経痛は「ブロック注射」や「カテーテル治療」など医療機関で行う施術だけで完治する病ではないため、日常的に治療薬を服用して痛みを和らげながら、根気強く治療を続けていくのが一般的です。
帯状疱疹後神経痛で使用される治療薬には、主に次の種類があります。
- 神経障害性疼痛薬:リリカ、タリージェなど
- 抗てんかん薬:テグレトール、ガバペンなど
- 三環系抗うつ薬:トリプタノールなど
なかでも、日本ペインクリニック学会の「神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン」では帯状疱疹後神経痛の第一選択薬に、プレガバリンが配合された神経障害性疼痛薬「リリカ」、アミトリプチリンが配合された三環系抗うつ薬「トリプタノール」などが挙げられています。
リリカやトリプタノールなどの薬剤には即効性がなく、効果が出るまで約2~4週間かかるのが特徴です。
加えて、急に薬剤の量を減らすと、不眠や頭痛、吐き気などの離脱症状などを起こす恐れがあります。
効かないからと言って、勝手に量を変更したり中止したりすることはやめましょう。
また、帯状疱疹後神経痛は一般的な痛みと仕組みが異なるため、様々な病気の痛み止めとして使用されるロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬は、ほとんど効果がないと言われています。
帯状疱疹後神経痛を和らげるセルフケア
辛い痛みが続く帯状疱疹後神経痛を発症すると、日常生活もままならないような状態となるほどひどくなるケースもあります。
帯状疱疹後神経痛は薬剤を始めとする治療が欠かせませんが、それに加えてセルフケアも始めてみてはいかがでしょうか。
意識して取り入れるだけで、少しずつ楽に日常生活が過ごせるようになりますよ。
刺激の少ない素材を選ぶ
帯状疱疹後神経痛は洋服が肌に擦れるだけで痛みを感じることがあるため、肌に影響を与える洋服の素材選びは重要です。
肌に優しいとされるのは化学繊維よりも天然素材とされ、具体的には綿やシルク、メリノウールなどがおすすめです。
また、素材だけでなく縫い目にも注意が必要です。
縫い目が刺激になって痛みを感じる時には、縫い目が出ないフラットシーマやシームレスの洋服を選ぶとよいでしょう。
身体を温める
一般的に捻挫や打撲などによる急性の痛みは炎症を抑えるために冷やしますが、慢性の痛みについては温めると痛みが緩和すると言われています。
帯状疱疹後神経痛は慢性の痛みになるため、温めることで痛みが抑えられます。
温かいお風呂にゆっくり浸かったり、冷えを招かないように重ね着をしたりして、身体を温めていくとよいでしょう。
ただし、人によっては冷やした方が心地良いと感じる場合もあります。
その場合は、冷却剤を当てて患部を冷やしていきましょう。
生活を整える
帯状疱疹後神経痛の時は疲労やストレスを溜めないように、十分な睡眠を取ることが大切です。
それに加えて、神経の回復を促進するために免疫力を高めたり、炎症を抑制したりできるように栄養バランスの取れた食事も取っていきましょう。
オレンジやイチゴ、ブロッコリーなどに多く含まれるビタミンCや、ナッツ類やアボカドなどに含まれるEには抗酸化作用があり、免疫力を高めるとされています。
また、サーモンやサバ、イワシに含まれるオメガ3脂肪酸には炎症を抑えて、神経痛によるストレスからの細胞老化を抑制する効果があると言われ、肉類や魚介類に豊富なビタミンB6やB12には神経を修復して神経痛を軽くする効果が期待できます。
これら帯状疱疹後神経痛に良い効果をもたらすことが期待できる食べ物も積極的に摂取するとよいでしょう。
帯状疱疹後神経痛を予防するために
帯状疱疹後神経痛にならないためには、まず帯状疱疹にかからないようにすることが重要です。
帯状疱疹は水疱瘡の原因となるヘルペスウイルスが引き起こす病なので、このウイルスに免疫力が負けないよう、生活を整えて心身ともに健康で過ごすよう心掛けましょう。
また、年齢が高くなるにつれ免疫機能が低下して帯状疱疹にかかりやすくなる傾向があるため、50歳以上の方を対象とした予防接種も行われています。
予防接種は生ワクチンと不活性ワクチンの2種類が用意され、それぞれ接種方法や費用は異なりますが、帯状疱疹にかかるリスクを下げる効果があります。
もし、すでに帯状疱疹を発症している場合は、帯状疱疹後神経痛に移行しないようにできるだけ早い段階から治療を始めてください。
医療機関を受診すると治療薬やブロック注射などによる治療が受けられるため、悪化するリスクを抑えられます。
病院を受診するのが難しい時には、帯状疱疹の治療薬を通販で購入することも可能です。
帯状疱疹の治療薬は薬局やドラッグストアでは販売されていませんが、個人輸入代行のお薬ネットであれば、ゾビラックスやバルクロビルなど、海外で使用されている薬剤をネット通販で購入できます。
帯状疱疹後神経痛は治療薬で痛みを緩和させよう
帯状疱疹後神経痛は帯状疱疹の皮膚症状が落ち着いた後も痛みが続く合併症で、一度かかると数年から最悪の場合は一生の間痛みと付き合わなければならない厄介な病気です。
帯状疱疹後神経痛の治療には治療薬やブロック注射、カテーテル治療などがあり、それぞれを併用しながら少しずつ改善を目指していきます。
治療薬の第一選択薬には、リリカやタリージェなどの神経障害性疼痛薬、トリプタノールなどの三環系抗うつ薬がありますが、どちらの薬剤にも即効性はないため、根気よく服用していくことが大切です。
また、帯状疱疹後神経痛を引き起こさないためにも、帯状疱疹のリスクを下げる予防接種を受けたり、発症してしまった時には速やかに治療をしたりすることが重要です。
治療薬に関しては個人輸入代行のお薬ネットで購入することも可能ですので、医療機関を受診することが難しい場合にはご検討ください。