毎日シャンプーしているのにフケが気になる…頭がかゆい!
そんな頭皮のお悩みを抱えていませんか?
セルフケアでなんとかしようとドラッグストアのシャンプーを見てみると、「フケやかゆみに効く」と表示されているアイテムはたくさんあります。
しかし、頭皮のフケやかゆみの原因が“水虫菌”である場合、実は市販のシャンプーや薬剤では治せません。
そこで本記事では、なぜ頭の水虫には市販のシャンプーや薬剤では治せないのかを解説するとともに、フケ・かゆみの原因別のケア方法をご紹介いたします。
頭の水虫「しらくも(頭部白癬)」とは
頭皮のフケやかゆみがなかなか治らない場合、水虫の原因菌である「白癬菌」というカビ(真菌)が原因である可能性があります。
白癬菌は感染して発症する部位によって呼び方が異なります。
足に感染するものを「水虫」、体幹にできるものを「ぜにたむし」、太ももの付け根から陰部やお尻にできるものを「いんきんたむし」、そして頭皮に発症するものを「しらくも」といいます。
頭の水虫「しらくも」の症状
しらくもの症状は、かさかさした皮むけやかゆみに加え、髪の毛が抜けるのが特徴で、時に強い炎症もみられます。
治療せずに悪化すると、頭皮が化膿したり、脱毛範囲が広がったりしてしまいます。
頭の水虫「しらくも」の治し方
通常、抗真菌薬のテルビナフィンまたはイトラコナゾールの飲み薬(内服薬)で治療します。
抗真菌薬の飲み薬は市販薬(OTC)では販売していないので、皮膚科を受診し処方してもらいます。
抗真菌シャンプーや塗り薬では治せない!?
市販のシャンプーで「フケ・かゆみの原因菌に働く」と表記され、ミコナゾールなど抗真菌剤の入ったシャンプーは販売されています。
これらの抗真菌シャンプーに加え、水虫治療に用いられる塗り薬やスプレーなどの外用剤には、実はいずれにも効果・効能に「しらくも(頭部白癬)」が書かれていないのをご存じでしょうか。
つまり、シャンプーや塗り薬、スプレーなどの外用剤では「しらくも」を治せないということです。
これは、市販の外用剤だから効果が弱いというわけではなく、医療用医薬品であっても同様です。
では、なぜ外用剤では「しらくも」を治せないのでしょうか。
その理由は、白癬菌が毛包の奥深くにまで入り込むため、塗り薬やシャンプーを使っても病巣に十分には届かないからです。
そのため、「しらくも」は外用薬で根治を目指した治療ができないのです。
抗真菌シャンプーは「しらくも」の感染拡大予防に
では、市販されている抗真菌剤の入ったシャンプーが「しらくも」には意味がないのかというと、そうでもありません。
家族などへの感染リスクを抑えるためには、抗真菌シャンプーの効果が期待できると報告されています。
足の水虫がバスマットやスリッパ、床などを介して他人に感染するのと同様に、「しらくも」でもタオルなどを介して白癬菌の感染は広がります。
特に近年、柔道などの格闘技選手の間で集団発生している新型水虫「トリコフィトン・トンスランス」の感染力はとても強いそうです。
「しらくも」感染者の家族はもちろん、柔道やレスリング、相撲、ラグビーなどのコンタクトスポーツ競技者は、いわゆる「しらくもシャンプー」を感染予防に活用してみてください。
足の水虫が頭にうつることもある?
足の白癬菌が頭にうつって、「しらくも」を発症する可能性はあります。
そのため、もし足が水虫の場合、水虫の足を掻いた手でそのまま頭を引っ掻いたりしないよう注意しましょう。
感染を予防するための白癬菌の洗い方は、通常の石鹸で丁寧に洗うだけでも十分です。
その際、感染している足だけでなく、感染を広げないためには手の指の間までしっかりと洗うようにしてください。
また、タオルやバスマットを介して家族が感染するケースが多いので、タオルやバスマットは分けて使うように注意してください。
なお、白癬菌は洗濯でうつるのか、入浴で感染するのかということを心配される方も多いと思いますが、白癬菌は水で流れてしまいます。
感染者の洗濯物を洗う時、どうしたらいいかとよく質問されますが、普通に洗濯して大丈夫です。
洗濯物を分けたり、湯船のお湯を入れ替えたりする必要はありません。
水虫だけじゃない!フケやかゆみの原因「マラセチア菌」
頭皮にフケやかゆみを引き起こす菌には、水虫の白癬菌以外にも「マラセチア菌」がいます。
この「マラセチア菌」もカビ(真菌)の一種なのですが、実はだれの皮膚にもいる常在菌です。
通常であれば悪さをすることもないのですが、「マラセチア菌」が異常増殖すると皮むけのようなフケが出たり、皮膚に赤みやかゆみを生じたりします。
このような症状を「脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)」と呼びます。
「マラセチア菌」によるフケやかゆみの治し方
原因菌であるマラセチア菌の過剰な増殖を抑え、皮脂を適度に取り除きながら頭皮環境を整える薬用シャンプーが有効です。
また、炎症を抑える成分やかゆみを抑える抗ヒスタミン成分が配合されているものを選ぶと、今ある辛い症状まで緩和してくれます。
マラセチア菌によるフケ・かゆみに効果的な成分一覧
分類 | 働き | 成分名の例 |
---|---|---|
殺菌成分 | マラセチア菌の増殖を抑える | ・ミコナゾール硝酸塩 ・ピロクトンオラミン ・ケトコナゾール |
抗炎症成分 | 炎症を抑える | ・グリチルリチン酸ジカリウム |
抗ヒスタミン成分 | かゆみを抑える | ・ジフェンヒドラミン塩酸塩 |
清涼成分 | 清涼感を与えて、かゆみをしずめる | ・l-メントール |
頭皮のフケ・かゆみにおすすめの市販シャンプー
ここからは、薬剤師の目線で選んだ、ドラッグストアで市販されている頭皮のフケ・かゆみにおすすめのシャンプー3選をご紹介します。
- 1.ロート製薬|メディクイックH頭皮のメディカルシャンプー(すっきりタイプ)
「メディクイックH頭皮のメディカルシャンプー」は、フケ・かゆみの原因菌を抑える抗真菌成分(ミコナゾール硝酸塩)と、炎症を抑える抗炎症成分(グリチルリチン酸ジカリウム)が配合された薬用シャンプーです。
ベタつきやすい頭皮の方におすすめで、清涼成分のメントールも配合されており、さっぱりと爽やかな洗い心地が人気です。
薬剤師目線でおすすめしたポイントは、アミノ酸系洗浄成分で弱酸性のシャンプーであるため、地肌を守りながら洗うことができる点です。
「メディクイックH頭皮のメディカルシャンプー」の口コミには「泡立ちがいまひとつ」という指摘もみられますが、筆者が実際に使ってみたところ、しっかりとモコモコの泡が作れました。
- 2.ロート製薬|メディクイックH 頭皮のメディカルシャンプー(しっとりタイプ)
こちらは「メディクイックH頭皮のメディカルシャンプー」のしっとりタイプです。
フケやかゆみを抑える有効成分は「さっぱりタイプ」と同じですが、「しっとりタイプ」は濃グリセリンなどのうるおい成分やコンディショニング成分がより多く配合されており、乾燥しやすい頭皮に向けに開発されています。
また、清涼成分のメントールが無配合なので、しみにくくマイルドな使用感で、市販の頭皮かゆみシャンプーの中では女性や子どもにも使いやすいとおすすめしています。
- 3.持田ヘルスケア|コラージュフルフルネクストシャンプー (すっきりさらさらタイプ)
「コラージュフルフルネクストシャンプー」は、フケ・かゆみの原因菌を抑える抗真菌成分(ミコナゾール硝酸塩)と抗酸化・抗菌成分(ピロクトンオラミン)が配合された薬用シャンプーです。
薬剤師目線でおすすめしたいポイントは、フケで悩む方を対象に各種の臨床試験が行われ、きちんと効果が評価されている点です。
実は、コラージュフルフルネクストが日本で初めてフケの原因菌の増殖を抑える「ミコナゾール硝酸塩」を配合したシャンプーであり、草分け的な製品なのです。
日本国内では市販品のケトコナゾールシャンプーはない
抗菌薬成分であるケトコナゾール(ニゾラール)もマラセチア菌による脂漏性皮膚炎やフケに有効です。
ただし、2024年現在、ケトコナゾールは医療用医薬品成分であるため市販品にケトコナゾールが配合されたシャンプーはありません。
ケトコナゾールシャンプーを使用したい場合は、皮膚科などで処方してもらう必要があります。
頭皮湿疹の症状が強い場合は、市販の治療薬の併用も!
かゆみなど脂漏性皮膚炎による頭皮湿疹の症状が強い場合は、シャンプーだけでなく、ドラッグストアでも購入可能な市販の頭皮湿疹治療薬を併用するのもおすすめです。
- ロート製薬|メンソレータム メディクイックHゴールド
「メンソレータム メディクイックHゴールド」は、PVA(アンテドラッグステロイド※)とグリチルレチン酸のWの高い消炎効果で、炎症・かゆみをしっかり鎮める医薬品です。
※患部で効果を発揮し、体内に吸収されると分解して、低活性の物質にかわるステロイドのこと
脂漏性皮膚炎と抜け毛の関係
フケとかゆみ、頭皮のベタつきが気になると同時に、抜け毛が増えたかも…と感じる場合は、脂漏性脱毛症の可能性があります。
脂漏性脱毛症ならマラセチア菌の異常増殖が関与している可能性もありますが、前述のしらくも(頭部白癬)の可能性もあります。
メディクイックシャンプーなど市販のフケ用シャンプーだけでは抜け毛まで対処できないので、皮膚科でしっかりと原因を診察してもらうことが重要です。
フケ・かゆみにはセルフメディケーションを賢く使おう!
いかがでしたか?
フケやかゆみの頭皮のお悩みの原因には種類があることをおわかりいただけたでしょうか。
ドラッグストアで買える市販品は、手軽に入手できる反面、自身でケアアイテムを選択しなければなりません。
そのためには、症状の原因とケアアイテムの選び方や、皮膚科医への相談時についての正しい知識を持っておくことが重要です。
メディクイックなど市販のかゆみ・フケ対策シャンプーを賢く活用するために、ぜひ参考にしてみてください。