性器や肛門などにできる、人には見られたくないイボイボ。
それ、性感染症の一種である「尖圭コンジローマ」の可能性があります!
できることなら、一刻も早く治したいですよね。
そこで本記事では、尖圭コンジローマを早く治すためのポイントを、治療薬とともにわかりやすく解説いたします。
性感染症は、性行為の経験がある方ならば誰しもが感染の危険性のある病気です。
恥ずかしいことと思い悩まずに、まずは正しい知識を身につけ、自分と大切な人を守るための参考にしてみてください。
決してめずしい病気ではない!尖圭コンジローマとは
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスに感染することで、性器や肛門の周りなどにイボができる感染症です。
国立感染症研究所に全国の定点医療機関より毎月届けられる感染の報告数は、2022年で5,979件と少なくありません。
原因ウイルスにはタイプがある
現在、ヒトパピローマウイルスは100種類以上が知られていますが、尖圭コンジローマの原因となるのは主にHPV6型とHPV11型というタイプです。
ただし、子宮頸がんのリスクとなるHPV16型のウイルス感染によって生じる場合もあります。
尖圭コンジローマの症状
性器や肛門のまわりに、先のとがった特徴的なイボができます。
イボの色は、白、ピンク、褐色など様々で、大きさは約1~3mmです。
イボの形は、乳首のようなもののほか、ニワトリのトサカやカリフラワーのような形状になることもあります。
尖圭コンジローマは、かゆみや痛みなどの自覚症状がほとんどないと言われていますが、イボの大きさや発生部位によっては症状を感じることもあります。
尖圭コンジローマの感染経路
尖圭コンジローマは、性行為などにより傷口や粘膜、皮膚などからウイルスが体内に侵入して感染します。
潜伏期間は比較的長く、感染してからイボの症状が出るまでには数週間から2~3ヵ月かかるため、いつ感染したかの特定が難しい場合が多いです。
その感染力は高く、尖圭コンジローマを発症していたら、そのパートナーも感染している可能性がとても高いです。
ヒトパピローマウイルスは、性行為の経験がある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染すると言われており、誰しもが感染する可能性があると考えておいてください。
また、分娩時に母体から赤ちゃんに感染する場合もあります。
その場合、赤ちゃんの呼吸器に感染して腫瘍をつくり、呼吸障害を引き起こす可能性があります。
出産までに治療を完了することが望ましいです。
尖圭コンジローマの治療
性器や肛門などの周辺に、何かデキモノができている…!と感じたら、男性の場合は泌尿器科を女性の場合は婦人科を受診しましょう。
尖圭コンジローマの診断が出た場合、以下に紹介するような治療が行われます。
治療の種類
尖圭コンジローマの治療法は、外科的な治療と薬剤による治療の2種類に分かれます。
【外科的治療】
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凍結療法
-196℃の液体窒素でイボを凍らせて取り除く治療法です。
1~2週間ごとに繰り返して治療を行います。
1回の凍結療法ですぐに尖圭コンジローマが完治することは少なく、早い人で1~2ヵ月、長い人であれば約半年~1年、時間がかかる場合もあります。
麻酔をせずに行うため、治療中は痛みを感じることも。
また、治療中だけではなく治療後も数日間痛みが残る場合もあります。 -
レーザー蒸散手術
イボの周囲に麻酔を行い、炭酸ガスレーザーで取り除く治療法です。
1回の治療でイボはいったんなくなりますが、再発も少なくありません。 -
電気メス手術
イボの周辺に麻酔を行い、電気メス(電気焼灼)やハサミなどで切除する治療法です。
1回の治療でイボはいったんなくなりますが、再発も少なくありません。
【薬剤による治療】
2024年現在、尖圭コンジローマの治療に保険適応となる治療薬は「ベセルナクリーム」という塗り薬だけです。
効果はゆっくりですが、傷跡が残ることも少なく再発率も少ないのが利点です。
なお、尖圭コンジローマはウイルス感染によるイボなので、抗生剤では治せません。
一番良い治療法は?
どの治療法にも一長一短があり、一番良い治療法を一概には言えません。
尖圭コンジローマはいったんイボがなくなったように見えても、ウイルスに感染している限り、再発を繰り返すことが多いです。
症状に合わせて外科的治療と薬剤による治療を併用する場合もあります。
尖圭コンジローマを早く治す方法はあるかというと、2024年現在はここに紹介したような対処療法しかありません。
ウイルスが体内からなくなるまで、時間がかかっても根気よく治療をすることが一番です。
もっと知りたい!尖圭コンジローマ治療薬「ベセルナクリーム」
国内で唯一、尖圭コンジローマ治療薬として承認されているのが「ベセルナクリーム」です。
効果的な薬剤ですが、使い方や副作用に気をつけていただく点も多いので、担当の医師や薬剤師の指導をしっかりと確認しながらご使用ください。
ベセルナクリームはどんなお薬?
ベセルナクリーム(正式名称:ベセルナクリーム5%)は、イミキモドという成分を主成分とする薬剤です。
尖圭コンジローマの原因となっているウイルスの増殖を抑制しながら免疫力を高め、ウイルスに感染した細胞を障害することでイボが取れます。
ベセルナクリームの効果的な塗り方?
ベセルナクリームは、1日1回、適量を週に3回(1日おき、例えば「月・水・金」あるいは「火・木・土」の間隔で)、イボの部分にのみ薄く塗り、やさしくすり込みます。
その際、腟口と尿道口付近には塗らないよう注意してください。
見えにくい場所にイボがある時は、手鏡などで確認しながら塗るのがおすすめです。
また、動いて腟口と尿道口付近にクリームが付着しないよう、活動量が少ない就寝前に塗るのが理想的です。
起床(クリームを塗布して6~10時間経過)したら、ベセルナクリームを石けんと水やお湯で洗い流してください。
ベセルナクリームの副作用?
ベセルナクリームを使用すると、患部やその周辺に以下のような症状があらわれる場合があります。
- 紅斑(こうはん:患部やその周辺の皮膚の赤み)
- 糜爛(びらん:患部やその周辺の皮膚のただれ)
- 表皮剥離(ひょうひはくり:患部やその周辺の表皮のはがれ)
- 浮腫(ふしゅ:患部やその周辺の腫れ)
- 疼痛(とうつう:患部やその周辺の痛み)
- インフルエンザ様症状(気分が悪くなったり、熱が出たり、筋肉が痛くなるなど)
副作用かな?と思われる症状があらわれた場合、薬剤を石鹸と水やお湯で洗い流し、医師に相談してください。
ベセルナクリームの効果がでるまで?
国内で行われた臨床試験成績によると、ベセルナクリームを塗り始めて4週間後には、半数の方のイボ面積が約80%以上減少していたそうです。
なお、ベセルナクリームは最長で16週間使用できますが、16週間使用した場合、55人中35人の方(63.6%)でイボが完全消失していますが、完全消失するまでにかかる期間の中央値は約8週間でした。
したがって、尖圭コンジローマが塗り薬(ベセルナクリーム)でどれくらいで治るかというと、約8週間が目安になると言えます。
薬剤の効果には個人差がありますので、ベセルナクリームで完治しない、治らないという場合は、他の治療法に切り替えたり、併用したりすることもあります。
ベセルナクリームの気になる疑問?
Q:ベセルナクリームを毎日塗ったら、尖圭コンジローマはより早く治りますか?
A:ベセルナクリームは、1日おきに使用してください。
毎日塗っても、イボの完全消失率は変わらず、副作用の発生頻度と重症度が上がるというデメリットしかありません。
Q:ベセルナクリームを使い忘れた時はどうすればいいですか?
A:次の日の就寝前に使用してください。
その後、2日連続で使用しないよう注意して、1日おきに使用してくだい。
Q:ベセルナクリームは薬局やAmazonでも買えますか?
A:ベセルナクリームは医療用医薬品であり、医師の処方箋がないと薬局で調剤できません。
ベセルナクリームの海外製のジェネリック医薬品が個人輸入のインターネット通販で販売されていますが、正規品でない場合もあります。
また、個人輸入の薬剤を自己判断で使用して重大な副作用などがあった場合、国の救済制度も利用できません。
医師の診察を受け、薬剤を処方してもらうようにしてください。
Q:尖圭コンジローマに効く市販の薬はありますか?
A:2024年現在、尖圭コンジローマに効く薬剤はベセルナクリームだけです。
市販薬には尖圭コンジローマに効く薬剤はなく、自己判断でオロナインなどを使用することはやめましょう。
尖圭コンジローマを放置するとどうなる?
治療をしなくても、尖圭コンジローマは約2年で自然治癒することもあります。
ただし、ヒトパピローマウイルスの型によっては、子宮頸がんなど悪性化する場合もあるので、放置せずに医師に診察してもらうことをおすすめします。
また、尖圭コンジローマに感染している場合、他の性感染症にも感染している可能性があるため、一緒に検査してもらいましょう。
尖圭コンジローマは予防できる!
尖圭コンジローマを含めた性感染症を予防するためには、必ずコンドームを正しく使用して性行為を行うようにしましょう。
また、尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルスによる感染症なので、HPVワクチンも予防には有効です。
HPVワクチンは女性が子宮頸がんを予防するために接種するもの、というイメージがあるかもしれませんが、男性も接種可能です。
ヒトパピローマウイルスは、男女とも誰しもが感染リスクのあるウイルスです。
性感染症を防ぐため、男女ともワクチン接種を検討してみることも大切です。
最後に
いかがでしたか?
尖圭コンジローマの自覚症状は少ないものの、見た目のインパクトで衝撃度が大きいからこそ、できるだけ早く治したいものです。
そのための近道は、外科的治療であっても、塗り薬による治療であっても、根気よく継続することです。
人には見せづらい気になるイボができたら、まずはお近くの泌尿器科または婦人科に相談してみましょう。