近年、トルコの美容整形は人気で、海外から手術をしに行く人もいるそうですね!
SNSなどを通じて気軽にメッセージを送りあえるところもあるので、手軽ではありますが、注意が必要な事態になっています。
イギリスで実際に起きた悪質な手口は、日本でも起こりえること…。
どんな手口だったのか、この記事でご紹介していきます。
日本は整形大国!
日本美容外科学会が日本の医療機関を対象に行った調査によると、国内における2017年の美容整形施術数は約190万件に達し、これは国際的な統計と比較しても米国(422万件)、ブラジル(252万件)に次ぐ世界第3位の規模となりました。
ただし、韓国や中国など、整形関連の医師が多い国々が含まれていないため、この順位は暫定的なものかもしれません。
それにしても、やはり多いと言えるでしょう。
日本人らしい顔の「プチ整形」が人気
この調査からは、日本における美容整形の特異な傾向も浮かび上がってきました。
美容整形と聞くと、メスを使った外科的手術を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、日本国内では外科的手術が占める割合はわずか15%にとどまっています。
世界全体の平均が44%であることを考えると、日本国内ではしわやたるみの改善を目的とした薬剤注射やレーザー脱毛といった「プチ整形」が主流であることが分かります。
こうした施術は術後の回復期間が短く、元に戻すことが簡単であるため、日本人の慎重な性格に合致しているといえるでしょう。
また、手術を行う部位についても、日本と海外では異なる傾向が見られます。
世界的には乳房やお尻といった全身の部位が手術の対象になることが多いのに対し、日本国内では顔と頭部に手術が集中しています。
特に、一重まぶたを二重にする手術は全体の約6割を占めるという特徴があります。
豊胸手術や脂肪吸引が世界ではそれぞれ十数%を占めているのに対し、日本国内ではこれらの施術が約3%にとどまっていることからも、日本人が体形よりも顔の整形に重点を置いていることが伺えます。
さらに、美容整形を行う動機についての研究も進んでいます。
関西大学の谷本奈穂教授は、女性が美容整形を考えるきっかけとして、母親や友人といった同性との会話が重要な役割を果たしていると述べています。
調査によると、美容整形を経験した人は、外見に関する同性からの助言を重視する傾向が未経験者よりも高いことが分かっています。
美容整形トラブルも多い
一方で、美容整形に関するトラブルも増加しており、施術の結果が思い通りではなかったという相談が、全国の消費生活センターに寄せられる件数は2016年度までの4年間で2000件を超えています。
政府もこうした状況を受けて、美容整形の広告内容を規制するなどの対策を進めていますが、谷本教授は「政府は施術に使用される薬品のリスクをより広く周知し、美容産業の健全な発展に向けた対策を強化すべきだ」と提言しています。
整形する理由は同性からの評価
美容整形が日本社会に与える影響について、谷本教授は「日本人は西洋人のような顔立ちを求める一方で、西洋人は日本人のようなスリムな体形を理想とする」と述べています。
彼女は、日本人が整形を行う理由の一つとして、異性からの評価よりも、同性からの評価を重視する傾向が強いことを挙げています。
そのため、顔を整形することで、同性からの「よくなった」という評価を得ることができると考えられています。
また、整形が広がる背景には、インターネットやSNSでの口コミや評価が大きな影響を与えており、特に若い世代は直接会話を交わさない相手からもSNSを通じて影響を受けることが多いと指摘しています。
谷本教授は、美容整形が国際化している現状を踏まえ、国際的なリスク管理と情報提供が必要であると強調しています。
韓国での安価な整形手術を受ける日本人が増加している現状を踏まえ、政府は美容医療に対する規制や実態調査をさらに進めるべきだと提言しています。
トルコの悪質な美容整形クリニックの実態
海外で整形を行う日本人も増えているようですが、悪質な手口には要注意です。
ロンドン・ウェルベック病院というイギリスの病院のサイトには、トルコでの美容整形に警鐘を鳴らす記事がありました。
調査機関の「ニュース・ムーブメント」のネハ・ゴヒル特派員とエマ・ベントレー氏が、トルコにある美容整形クリニックの実態を暴露する記事を発表したとのことです。
記事によると、トルコの美容整形クリニックは、非常に問題のある販売手法を用いていることが判明しました。
英国形成外科・再建外科・美容外科医師会(BAPRAS)の広報担当者であるポール・ハリス氏も、この事実を「驚愕的」と表現し、「真の医療危機」とまで述べています。
ハリス氏によると、これらのクリニックが提供しているサービスは、医療という枠を超え、販売の圧力が強くかかっている点で極めて問題があるとのことです。
メッセージアプリで安さをアピール
イギリスなど、多くの国で日本のLINEのように使われているメッセージアプリに、「WhatsApp」というものがあります。
トルコの美容整形クリニックに興味があるとメッセージを送ると、WhatsAppメッセージには、「30%割引 - 48時間限定!」や「このチャンスを逃さないでください!有効期間は48時間のみです!」などの宣伝文句が来るとのことです。
こうしたメッセージを受け取ったのは、24歳の英国人女性を装った記者自身で、彼女はブラジリアン・バット・リフト(BBL)や鼻の整形手術を希望する患者さんとしてクリニックに接触しました。
この手術は、美容整形手術の中で最も死亡率の高い手術と言われています。
つまり、いい加減な返答など普通はできないわけです。
次々と来る期間限定の割引オファー
記者が写真を送信し、いくつかの質問に答えた後、クリニック側からは手術パッケージが提示されたそうです。
このパッケージには、BBL手術と脂肪吸引術が含まれており、10日間限定で20%の「フラッシュディスカウント」が適用されるというものでした。
ホテル宿泊付きで2,800ポンドの料金が提示され、契約を確定するためのデポジット(頭金)は280ポンドとされました。
驚くべきことに、数日後にはデポジットがさらに50ポンドに減額されたというメッセージも送られてきたそうです。
クリニックは、さらに「今後3日間限定の特別オファー」を提供しており、18ヵ月間の治療プランを50ポンドのデポジットで確保できるというものでした。
こうした期間限定の割引は、患者さんにプレッシャーを与える手法であり、まさに販売の圧力をかける典型例だと言えるでしょう。
さらに記者がクリニックに対し、BBL、脂肪吸引、鼻形成術、頬脂肪除去、眼瞼形成術をすべて1回の麻酔で受けられるかどうか尋ねると、クリニックは「血液レベルが適切であれば、1回の手術ですべてを行うことができる」と回答しました。
これら複数の手術を一度に受けると、さらに1,000ポンドの割引も適用されるというオファーも提示されたとのこと。
9つのうち5つのクリニックが割引や値引きを提案
ニュースムーブメントは、トルコにある複数の美容整形クリニックに対しても取材を行ったそうです。
その結果、9つのクリニックのうち5つが手術料金の割引や早期予約による値引きを提供していることが明らかになりました。
しかし、この手法は英国の外科医や専門家から「ひどい」「危険で、信じられないほど悪質」と厳しく批判されています。
ハリス氏によると、英国では10年以上前に美容整形手術における強引な販売手法が禁止されており、トルコのクリニックが医療に対して割引や期限を設けるのは非常に危険だと警鐘を鳴らしています。
また、トルコの一部のクリニックはBBLや脂肪吸引、鼻形成術、眼瞼形成術、頬脂肪除去など、複数の手術を1回の麻酔で行えると宣伝していますが、これが適切な医療行為であるかどうかは疑問視されています。
複数の手術を一度に行うことは非常に危険
このような複数の手術を一度に行うことについて、ハリス氏は「外科医が適切な訓練を受けておらず、経験不足のまま複雑な手術を行っている」と強く懸念を表明しています。
また、英国のカリディス形成外科クリニックのアレックス・カリディス医師も、こうした手術が商品化され、割引が提供されていることを「倫理的ではない」と指摘しています。
さらに、インペリアル・カレッジNHSトラストの元顧問外科医であるナビッド・ジャラリ氏も、「複数回の手術を推奨し、追加割引を与えることで患者さんに手術を促すのは問題がある」と批判しています。
彼は、通常英国では4.5時間以上の手術は避けられるべきであり、複数の手術を同時に行うことは「非常に危険」であると指摘しています。
このような背景を考慮すると、トルコで美容整形手術を受ける際には十分な注意が必要です。
特に、クリニックが提示する割引やオファーには注意し、手術を決定する前に徹底的な調査を行うことが重要になるでしょう。
医療手術は人生に大きな影響を与えるものであり、軽率に決断すべきではありません。
まとめ
今回のニュースムーブメントの調査は、トルコの美容整形クリニックにおける販売手法の問題を明らかにするものでしたね。
美容医療はどんどん進み、日本人も日本を飛び出し、海外で手術をする方が増えています。
もちろん、腕が確かで良心的なクリニックもたくさんありますが、中には今回ご紹介したように、悪質なパターンも含まれています。
割引されると嬉しくなるものですが、医療行為においては、割引や値引きが悪質な医療行為を見抜くポイントになることを覚えておきたいものです。