アボルブおよびザガーロは、前立腺肥大症や男性型脱毛症(AGA)の治療薬として知られており、ともにデュタステリドを有効成分として含有しています。
これらの薬剤は同一成分を使用しているものの、承認されている適応症や用法・用量、副作用の観点で異なる場合があり、使用に際しては慎重な対応が求められます。
本記事では、アボルブとザガーロの違いや効果、副作用、禁忌事項、またAGAや前立腺肥大症治療における留意点について整理します。
AGA(男性型脱毛症)と前立腺肥大症の関係
男性型脱毛症(AGA)と前立腺肥大症は、異なる部位における症状ですが、共通点としてDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンが深く関与しています。
DHTは髪を薄くし、同時に前立腺を肥大させる要因となります。
そのため、DHT生成を抑制するデュタステリドは、AGAおよび前立腺肥大症の治療に有効となり得ます。
デュタステリド製剤の特徴(アボルブ・ザガーロ)
アボルブ | 前立腺肥大症治療薬として承認されており、1カプセル0.5mgが主に用いられます。 |
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ザガーロ | AGA治療薬として承認されており、0.1mgおよび0.5mgの用量が用意されています。 |
用途に応じて用量や目的が異なるため、自己判断で切り替えたり適応外使用を行うことは避けるべきです。
アボルブカプセルの特殊性と取り扱い上の注意点
アボルブは、カプセル内に液体成分が含まれるため、扱いに際して注意が必要です。
特に、カプセルが柔らかく破損しやすいため、中身が皮膚に付着すると吸収される可能性があります。
女性や子どもが触れないよう、十分ご注意ください。
また、デュタステリドにはジェネリック医薬品や錠剤タイプのものもございますので、処方時に医療機関で確認することをおすすめします。
女性に禁忌となる理由
デュタステリド製剤は、男性ホルモンに作用する特性上、女性への使用が禁忌とされています。
特に妊娠中や授乳中に使用すると胎児や乳児への悪影響が懸念されます。
そのため、女性が直接触れることも避ける必要があります。
AGA治療薬としての効果と発現時期
デュタステリドを用いたAGA治療では、効果が現れるまで3~6ヵ月、場合によっては1年ほどかかることがあります。
服用開始後、抜け毛の減少を実感する場合もありますが、AGAは進行性であり、治療薬を中止すると再び進行する可能性が高いです。
長期的な治療を行うためには、定期的な状態の確認と医師の指導が求められます。
フィナステリド(プロペシア)との比較
項目 | フィナステリド | デュタステリド |
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作用機序 | 5α還元酵素II型のみを抑制 | 5α還元酵素I型・II型両方を抑制 |
効果 | 効果は比較的弱め | 強力な効果があるが、副作用の可能性もやや高い |
価格 | 一般的に安価 | 一般的に高価 |
ミノキシジルとの併用
AGA治療では、デュタステリド製剤とミノキシジルの併用が行われることがあります。
併用する場合は、医師の指導下で行うことが重要です。
副作用と注意点
デュタステリド製剤使用時には、以下の副作用が報告されています。
- 性機能関連症状(性欲減退、勃起不全など)
- 女性化乳房(乳房の腫れ・痛み)
- 肝機能障害(黄疸、倦怠感など)
- アレルギー反応(発疹、かゆみなど)
副作用が現れた際は、自己判断で中止せず、必ず医師にご相談ください。
まとめ
アボルブとザガーロは同じ成分ですが、適応症が異なります。
AGA治療は時間を要し、長期的な使用が必要です。
副作用や禁忌に十分留意し、医師と相談の上で治療を進めることが肝要です。
慎重な治療計画の立案が、より良い治療結果と安全性に繋がります。