足や腰の痛みが辛い時に処方されるリリカやタリージェなどの神経痛薬は効果が高い反面、副作用として注意すべき点が多く、使用をためらう方もいらっしゃるのかもしれません。
今回は神経痛の処方薬リリカ・タリージェと市販薬にフォーカスし、それぞれの効果や副作用を解説していきます。
また、薬剤以外の神経痛を和らげる方法も紹介しますので、薬剤の服用と併せて試してみましょう。
神経痛とは
神経痛薬は全身に張り巡らされている末梢神経にある感覚神経が刺激を受けることで生じる痛みの総称で、様々な部位で起きる可能性があります。
神経痛は原因が分かっている「症候性神経痛」と原因不明の「特発性神経痛」に分類される他、痛みが起こる場所によってもそれぞれ名前が異なり、「坐骨神経痛」「三叉神経痛」「肋間神経痛」の3種類と「帯状疱疹後神経痛」に分かれています。
坐骨神経痛
坐骨神経痛はお尻から太ももやふくらはぎにかけて生じる痛みで、硬くなった腰やお尻の筋肉が神経を圧迫するために起こる症状です。
左右どちらか片側にだけ生じるケースが多く、身体を動かすと鋭い痛みが起きるのが特徴です。
坐骨神経痛は腰椎の椎間板が変形したり亀裂が入ったりして起きる腰椎椎間板ヘルニアが主な原因となる他、変形性腰椎症が原因となることもあります。
これら病気は重労働や激しいスポーツなどによって引き起こされると言われています。
三叉神経痛
三叉神経痛は顔の感覚を司る三叉神経に出る症状で、目の周辺や頬、額などに痛みが起こります。
坐骨神経痛と同様に左右どちらかの片側だけに症状が出るケースが多く、チクチクした刺すような痛みが起こるのが特徴的です。
頭の中の血管が三叉神経を圧迫することが主な原因とされていますが、原因不明である場合も多くあります。
ごく稀に脳腫瘍や脳動脈瘤の影響によって発症することがあるため、痛みが続く時には医療機関を受診するようにしてください。
肋間神経痛
肋間神経痛は肋間神経が圧迫されることにより背中から胸にかけて痛みが起こる症状で、左右片側だけに出ることが多いです。
深呼吸をしたり大声を出したり、あばら骨の間にある肋間神経が刺激された時に電気が走るような痛みやズキズキと持続する痛みが出ます。
肋骨の骨折や姿勢の悪さ、ストレスに加え、ウイルス感染が原因となり、稀に内臓疾患の影響で痛みが起きる可能性もあります。
帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹は、神経節の中に潜伏している水ぼうそうの原因となった水痘帯状疱疹ウイルスが免疫力の低下によって現れ、皮膚に発疹や水ぶくれを発症させる病気です。
ピリピリとした痛みが起こった後で皮膚症状が落ち着くと痛みが和らぐことが一般的ですが、稀に痛みが残ってしまうことがあります。
この帯状疱疹の後遺症を帯状疱疹後神経痛と言います。
帯状疱疹後神経痛は50歳以上の帯状疱疹罹患者に起こりやすく、年齢が上がるほど症状が現れる可能性が高まります。
帯状疱疹後神経痛を防ぐためには帯状疱疹にかからないことが一番の予防策と言えるでしょう。
神経痛薬の処方薬の効果と副作用
神経痛に効果がある薬剤には様々な種類があります。
ここでは神経痛薬の処方薬と、薬局やドラッグストア、ネット通販で購入できる市販薬を紹介していきます。
リリカ
リリカは日本ペインクリニックの神経障害性疼痛ガイドラインで、神経痛の第一選択薬とされている薬剤です。
プレガバリンが主成分の神経障害性疼痛の痛みを和らげる薬剤で、興奮した興奮性神経伝達物質の放出を抑制して過敏になっている神経を鎮静させる効果があります。
つまり、怪我などで起きる炎症性の痛みではなく、神経が刺激される時に起こる神経性の痛みに作用する薬剤で、腰椎椎間板ヘルニアや帯状疱疹後神経痛などに使用されています。
また、リリカはある程度継続して服用することで効果が発揮される薬剤なので、即効性はありません。
飲み始めの段階ではあまり効果を感じられないかもしれませんが、効果を得るためには根気よく服用を続けることが大切です。
リリカの最も多い副作用は眠気で、めまいやふらつきも報告されていることから、服用後は運転や機械操作は避けるようにしましょう。
重篤な副作用には心不全や腎不全、横紋筋融解症、間質性肺炎などに加え、アナフィラキシーショックや意識消失などがあります。
その他の注意点として、リリカの服用を中断すると不眠や頭痛などの離脱症状が起こる可能性があります。
薬剤は勝手に中断せず、医師の指示のもと少しずつ量を減らしてください。
タリージェ
タリージェはミロガバリンが主成分の末梢性神経障害性疼痛を和らげる薬剤で、リリカと同様の作用があります。
使用される疾患についてもリリカとほぼ同じですが、効果はややリリカの方が強く、タリージェの方が副作用を起こす可能性が低いとされています。
タリージェも服用を継続することで効果を発揮する薬剤であるため、根気よく服用していく必要があります。
副作用で多いのが眠気とめまいで、特に飲み始めに注意が必要とされており、重篤な副作用として意識消失や肝臓の障害を引き起こす恐れもあります。
また、リリカ同様に急に使用を中断すると離脱症状が現れる可能性もあるため、服用量の増減に関しては医師と相談していきましょう。
トリプタノール
トリプタノールはアミトリプチリンが主成分の三環系抗うつ薬ですが、末梢性神経障害性疼痛に対する効能が認められているため、神経痛にも使用されています。
脳の神経系伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの神経機能を高めて痛みの伝達を抑える作用があり、トリプタノールも神経障害性疼痛ガイドラインで神経痛の第一選択薬の1つに挙げられています。
トリプタノールは高い効果が期待できる反面、副作用が出やすいのが欠点です。
口の渇きや眠気、めまいなどの身体症状に加え、不安感やイライラなどの精神症状が現れる可能性もあります。
また、閉塞隅角緑内障・心筋梗塞回復初期・前立腺肥大の患者さんは使用を禁止されている他、使用を急にやめると離脱症状が現れるとされています。
効果が期待できる分、副作用が強いので慎重に使用していく必要があると言えるでしょう。
神経痛に効くおすすめ市販薬
薬局やドラッグストアで購入できる市販薬では、鎮痛剤であるロキソニンやカロナールが神経痛に効果があるとされています。
これは、末梢性神経障害性疼痛に適応があるリリカやタリージェなどの市販薬がないことと、一時的な痛み止めとしてであればロキソニンやカロナールでもの役割が果たせるためです。
ここでは病院に行くのが難しい方向けに、市販薬の鎮痛剤とネットで購入できる神経痛薬を紹介していきます。
ロキソニン
ロキソニンはロキソプロフェンが主成分の解熱鎮痛消炎剤で、炎症を鎮めて痛みなどの症状を抑える作用に加え、高熱を下げる作用もある薬剤です。
非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の中でもロキソニンは比較的安全性が高くよく効くとされていることから、様々な病気に使用されています。
薬局やドラッグストアで購入できるロキソプロフェンの市販薬には、第一三共ヘルスケアのロキソニン、小林薬品工業のユニペインL、大正製薬のロキソプロフェンT液などがあります。
どれも余計な成分が入っていない、神経痛に効果があるとされるロキソプロフェン単体の薬剤です。
カロナール
カロナールはアセトアミノフェンが主成分の解熱鎮痛薬で、脳の感受性を低下させて痛みを和らげる薬剤です。
ロキソニンなどの非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)よりも効果は穏やかですが、副作用も少なく長期服用についても比較的安全とされています。
薬局やドラッグストアで購入できるアセトアミノフェンが配合された市販薬には、日本臓器製薬のラックルやアリナミン製薬のタイレノールA、アラクスのノーシンアセトアミノフェン錠などがあります。
アセトアミノフェンは風邪薬に配合されていることが多いので、痛み止めとの併用は避けるようにしてください。
テグレトール
テグレトールはカルバマゼピンが主成分のてんかんやうつ病に加え、三叉神経痛に効果がある薬剤です。
神経細胞のナトリウムチャネルの働きを制限することで神経の興奮を抑制し、神経痛を和らげ、三叉神経痛の症状の約80%が軽快すると言われているほど効果が高いのが特徴です。
テグレトールは薬局やドラッグストアでは購入できませんが、個人輸入代行のお薬ネットであればインターネット通販で購入可能です。
忙しくて病院に行けない方や事情がある方はご利用を検討してみてはいかがでしょうか。
注意点として、テグレトールには併用禁忌の薬剤がいくつかあるため、他の薬剤を購入する際には薬剤師に相談するようにしてください。
神経痛を和らげる方法
ここまで神経痛薬について紹介しましたが、ここからは薬剤以外の神経痛を和らげる方法を3つ紹介します。
- 姿勢を正す
- 身体を温める
- アルコールとカフェインを控える
悪い姿勢を続けたり長時間のデスクワークをしたりすると、血行不良や身体の一部に負担が集中して痛みが悪化する可能性があります。
常に正しい姿勢を保つように心掛けてください。
また、身体を温めることで血行が良くなり、疲労物質や疼痛物質が体外へ排出されやすくなり、痛みが和らぎます。
毎日湯船に浸かるなど、できるだけ身体を冷やさない工夫をすると良いでしょう。
一方で、アルコールやカフェインは交感神経を優位にするため、大量に摂取すると血行が悪くなり痛みが強くなる恐れがあります。
しかも、長期間に大量にアルコールを摂取すると末梢神経に障害が生じるアルコール性末梢神経障害を引き起こす可能性もあるため、できるだけ控えるべきと言えるでしょう。
神経痛薬を上手に選んで穏やかな生活を
神経痛は痛みが現れる場所によって、坐骨神経痛・三叉神経痛・肋間神経痛の3種類と帯状疱疹後神経痛に分類されています。
これら神経痛は電気が走るような強い痛みやジンジンする継続した痛みが起こり生活の質を下げてしまうため、神経痛薬を服用して痛みを緩和していく治療が行われます。
リリカやタリージェなどは医療機関で処方される神経痛薬はありますが、病院に行くのが難しい場合にはロキソニンやカロナールなどの市販の鎮痛剤や、ネット通販で販売されている三叉神経痛に効くテグレトールを使用するのも1つの手段です。
自分に合った方法で薬剤を購入し、神経痛を和らげていきましょう。