喉に症状がある時に使用するトローチですが、どんなものなのか正しく知っている方はそう多くはないかもしれません。
「トローチは薬なの?」
「トローチにも副作用はあるの?」
「市販のものと病院処方のものに違いがあるの?」
この問いかけに首を傾げてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はトローチの効果などの基本的な内容から市販と病院処方の違いまで、詳しく解説していきます。
トローチに関する知識を深め、より効果的に使用していきましょう。
トローチとは
トローチはキャンディーのように口の中で舐めて溶かすことによって、口腔内や喉を殺菌したり炎症を抑えたりする薬剤です。
口腔内や喉の粘膜に直接作用させることを考え、ゆっくり溶けるように少し硬めに設計されています。
このように内服薬は服用することで効果を発揮するのに対し、トローチは長時間舐め続けることで効果を発揮します。
そのため、噛んだり飲み込んだりせずに、できるだけ長く口の中に含んでいることが大切になります。
また、トローチは「SPトローチ」と「市販のトローチ」の2つに分類されます。
基本的な用法は同じですが、成分などの面でいくつか違いがあります。
SPトローチとはどんなもの?
SPトローチは明治が開発した病院で処方されるトローチで、ブドウ球菌やグラム陽性菌、真菌に効果がある塩化デカリニウムを主成分としています。
市販のトローチには様々な有効成分を含んでいるものが多くみられますが、SPトローチは塩化デカリニウムのみが配合されているシンプルな設計なのが特徴です。
また、SPトローチは水色や緑色をしており、においはありませんが味は苦いです。
効果
SPトローチは細菌のタンパク質に作用し、咽頭炎や扁桃炎、口内炎、抜歯層を含む口腔創傷の感染予防に使用されます。
SPトローチは喉の炎症や痛みなどに効果があるれっきとした薬剤であるため、用法用量を正しく守ることが大切です。
SPトローチ0.25mgを例に挙げると、成人であれば通常1回1錠を1日6回使用します。
この時使用忘れがあったとしても2回分を一度に使用してはいけません。
副作用
SPトローチには副作用の心配がほとんどありませんが、過敏症状が現れる可能性がある点には注意してください。
また、併用禁忌の薬剤はないとされていますが、飲んでいる薬剤がある場合には医師や薬剤師に報告してください。
販売場所
SPトローチは病院の処方のみの扱いとなるため、コンビニやドラッグストアなどで購入することはできません。
SPトローチを希望する場合には、医療機関を受診し処方してもらいましょう。
市販のトローチとはどんなもの?
市販のトローチには「医薬品」と「指定医薬部外品」の2種類があり、さらに製品によって配合成分に違いがあります。
医薬品の方が効き目が強く、指定医薬部外品の方が効き目が穏やかである反面、医療品は副作用も出やすいとされています。
また、市販のトローチには、ハチミツ・りんご・レモン・ブルーハワイなどの様々な味が販売されており、薬剤が苦手な子どもでも舐めやすいように配慮されています。
効果
市販のトローチは製品によって効果が異なるのが特徴です。
例えば、興和株式会社の「コルゲンコーワトローチ」には、喉の炎症を抑えるグリチルリチン酸ニカリウムや喉を殺菌するセチルピリジニウム塩化物水和物、喉を潤すセネガ乾燥エキスなどが配合されており、喉の辛い症状を和らげる効果が期待できます。
また、大鵬薬品工業株式会社の「ピタスせきトローチ」には、咳止め成分であるフェノールフタリン酸デキストロメトルファンや痰を抑えるグアヤコールスルホン酸カリウムが配合されており、喉の症状だけでなく咳や痰を和らげる効果があります。
このように病院処方のSPトローチは喉を殺菌する塩化デカリニウムのみが有効成分となっているのに対し、市販のトローチは製品によって成分が異なっています。
市販のトローチを購入する時には説明文をよく読み、できるだけ症状に近いものを選ぶとよいでしょう。
副作用
市販のトローチは製品によって有効成分が違うため、副作用もそれぞれ異なります。
例えば「コルゲンコーワトローチ」であれば発疹やかゆみなどの皮膚症状、「ピタスせきトローチ」であれば皮膚症状に加えてアナフィラキシーショックなどの稀に重篤な副作用が起きる可能性があります。
また、飲み合わせにも注意が必要です。
「ピタスせきトローチ」のように咳止め効果のある成分が入っているトローチの場合、他の鎮咳去痰薬や風邪薬、鎮静薬、抗ヒスタミン剤の内服薬は併用禁忌となっています。
トローチを使用する場合には説明書を読み、飲み合わせを確認してから使用するようにしてください。
販売場所
市販の「指定医薬部外品」のトローチは、コンビニやドラッグストア、ネット通販などで購入可能ですが、「医薬品」のトローチは薬剤師や登録販売者がいる店舗またはネットショップでしか購入できません。
そのため、効果の強いトローチが欲しい時や、多くの商品の中から症状に合ったトローチを選びたい場合には、薬剤師や登録販売者のいる店舗へ行くことをおすすめします。
特徴別の市販のおすすめトローチ
これまで解説してきたように、市販のトローチは効果も特徴も製品ごとに大きく異なります。
ここでは自分に合った製品を選択できるように、市販のトローチを特徴別に紹介していきます。
喉が腫れて痛い
喉が腫れて痛みを伴う時には、日新薬品工業株式会社の「トピックAZトローチ」がおすすめです。
うがい薬にも使用されている炎症を抑えて治癒効果を高めるアズレンスルホン酸ナトリウムが配合されています。
ブルーベリー味なので、薬剤の味が苦手な方でも服用しやすい製品です。
第3類医薬品のため、薬剤師か登録販売者のいる店舗、またはネットショップで購入することが可能です。
咳が辛い
咳が辛い時は咳止め効果のある大鵬薬品工業株式会社の「ピタスせきトローチ」がおすすめです。
フェノールフタリン酸デキストロメトルファンが咳中枢に働きかけて咳を鎮めます。
また、痰に効果的な成分であるグアヤコールスルホン酸カリウムも配合されており、呼吸器の幅広い症状に対応しています。
ピタスせきトローチは一般的なトローチのように舌の上で舐め溶かすのではなく、上顎に張り付けて溶かしていく製品です。
そのため、口の中に入れていても会話の邪魔になりにくく、接客や商談などの大事な場面で使用しやすいというメリットがあります。
ピタスせきトローチは第2類医薬品なので、薬剤師か登録販売者のいる店舗、またはネットショップであれば購入可能です。
喉を冷やしたい
日本臓器製薬株式会社から販売されている氷のようなひんやりとした「アイストローチ」であれば、喉が炎症を起こしている時でも爽快感が得られます。
アイストローチは塩化セチルピリジニウムが配合されているため、喉に付いている細菌も殺菌消毒してくれます。
アイストローチには、りんご・オレンジ・レモンなどの味があり、薬剤の味が苦手であってもキャンディー感覚で服用できるでしょう。
しかしながら、アイストローチは医薬部外品ではありますが、有効成分が配合されている以上、副作用の恐れがあるのも否めません。
舐めすぎると発疹やかゆみなどの皮膚症状や、体質によってはお腹がゆるくなる可能性もあります。
用法用量を守って正しく使うようにしましょう。
自然由来の成分を選びたい
自然由来のトローチを選びたいのであれば、株式会社ツムラの「ツムラ漢方トローチ桔梗湯」はいかがでしょうか。
マメ科の植物カンゾウの根やキキョウ科のキキョウの根から抽出したエキスを主成分としており、扁桃炎や扁桃周囲炎などの喉の痛み、咳に効果があるとされています。
副作用は食欲不振などの消化器症状や、稀に重篤な副作用として偽アルドステロン症、ミオパチーなどを引き起こす恐れがあるとされています。
漢方薬ではありますが、他のトローチと同じように口の中で舐めて溶かしながら服用します。
口臭が気になる
トローチは喉の炎症に関する商品だけでなく、口臭にも効果がある製品も開発されています。
大鵬薬品工業株式会社の「ピタスクールトローチS」は殺菌作用のあるセチルピリジニウム塩化物水和物が配合されたミントの風味の爽やかなトローチです。
同社が販売している「ピタスせきトローチ」と同様に上顎に貼り付けて使用する製品で、じんわり溶けだす有効成分によって口臭をケアします。
また、口の中だけでなく喉にも効果が行き渡るため、喉の不快感や声枯れ対策も期待できます。
指定医薬部外品なので、コンビニやドラッグストアなど様々な小売店で販売されているのも嬉しいポイントと言えるでしょう。
喉が気になったらトローチを舐めよう
トローチはキャンディーのように舐め溶かすことによって、口腔内や喉を殺菌したり炎症を抑えたりする薬剤です。
病院処方のトローチはSPトローチといい、ブドウ球菌やグラム陽性菌、真菌に効果がある塩化デカリニウムのみを配合した製品です。
一方、市販のトローチは製品ごとに様々な種類の有効成分が配合されており、それぞれに違った特徴があります。
また、市販のトローチには薬剤師や登録販売者がいる店舗でのみ販売できる医薬品のものと、コンビニやドラッグストアなどの一般的な小売店でも販売可能な指定医薬部外品のものが存在します。
効果の強いトローチや多くの種類の中から選びたい時には、医薬品も販売している店舗へ行くかネットショップを利用するとよいでしょう。 「喉が辛いけど病院に行けない」とお悩みであれば、一度市販のトローチを試してみてはいかがでしょうか。