アレルギー性鼻炎薬アレグラは花粉症に効果あり?子供の服用方法と効かないときの対処法とは

今や日本国民の3人に1人が発症する国民病となった花粉症は主にスギやヒノキなどの花粉が原因となり、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどといった症状を引き起こす病気です。
このような日常生活に支障をきたす辛い症状を抑えるために、各社からは様々な種類の花粉症の薬剤が販売されています。
今回は数ある花粉症の薬の中でも「しっかり効く」のに「眠くなりにくい」でお馴染みのアレルギー性鼻炎薬アレグラの効果や副作用、ジェネリック医薬品、効かない時の対処法などにフォーカスしていきます。
アレグラは何に効く薬?
アレルギー性鼻炎薬のアレグラは花粉症に効く第2世代の抗ヒスタミン薬です。
一般名をフェキソフェナジン塩酸塩といい、アレグラ錠60mgとアレグラ錠30mgなどの主成分含有が異なる錠剤だけでなく、水なしでも飲めるOD錠や甘く味付けられたドライシロップなども開発されています。
アレグラの効果と服用方法
花粉症などのアレルギーの発症原因となるヒスタミンの作用を抑えるのがアレグラで、服用するとくしゃみや鼻水などのアレルギー諸症状を和らげる効果があります。
中でもアレグラは第2世代の抗ヒスタミン薬に分類され、花粉が体内に入り込んだ際に短時間で現れるくしゃみや鼻水などの症状から、数時間後に現れる鼻づまりなどの症状の悪化を抑制します。
さらに脳に薬剤が入りにくいため、眠くなったり集中力が低下したりするような副作用を和らげます。
アレグラは1日2回朝夕の服用でアレルギーの諸症状を24時間抑えるとされています。
服用から数十分~数時間ほどで効果が出ると言われていますが、約2週間服用することにより十分な効果を得られるようになるため、継続して飲み続けることが大切です。
また、アレグラは第1世代の抗ヒスタミン薬と比較して、全般改善度の向上や副作用の低減などが見られますが、これまでの抗ヒスタミン薬同様に対症療法薬であるため、アレルギーを根本から治療する薬剤ではないことは覚えておきましょう。
アレグラの副作用
アレグラには主な副作用とされている頭痛や眠気、吐き気などに加え、稀にアナフィラキシーショックや重篤な肝臓の症状、無顆粒球症、白血球の減少などの重大な副作用が起こる可能性があります。
長期間服用する場合には肝機能検査を定期的に受けて、身体に問題がないことを確認してください。
また、服用中に身体に違和感が現れた時には、できるだけ早く医療機関に連絡しましょう。
アレグラの禁忌
次のような人はアレグラの服用に注意が必要とされています。
- 妊婦または妊娠している可能性のある人
- 授乳中の人
- 小児
- 高齢者
動物実験により母乳へ移行が見られたことや、腎機能が低下しやすい高齢者は血中濃度が上昇する可能性があるため、上記に挙げた人たちについては治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ処方されます。
飲み合わせでは、血漿中濃度を上昇させるエリスロマイシン、作用を減弱させる恐れのある水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤、アパルタミドは併用禁忌です。
これらの薬剤を飲んでいる場合は、医療機関に相談して適切な花粉症の薬剤を処方してもらいましょう。
また、抗ヒスタミンが含まれている風邪薬の服用や服用前後の飲酒もしてはいけません。
子どものアレグラ服用方法
花粉症が国民病となった今、辛い症状に悩んでいる子どもも多くなりました。
しかしながら、大人用のアレグラは15歳以上でないと服用できないため、小中学生の子どもには使用できません。
このような時に頼りになるのが、子ども用のアレグラです。
市販のアレグラFXジュニアは7~14歳の子ども専用に開発された花粉症の薬剤で、効果は大人用のアレグラと同様です。
服用回数は朝夕の1日2回で、7~11歳は1回1錠、12~14歳が1回2錠服用します。
ただし、アレグラFXジュニアも7歳未満の子どもは服用できません。
この年齢に達していない子どもの場合は医療機関を受診して適切な薬剤を処方してもらいましょう。
アレグラが販売中止となった理由
2023年1月にアレグラが販売中止となり、多くの医療機関や患者さんに驚きが広がりました。
販売中止となったのはサノフィ株式会社のアレグラドライシロップ5%で、原薬の製造方法変更の際に実施した品質試験において異常や不具合、規格から外れる逸脱が確認されたことが理由です。
逸脱によって、製品の品質や安全性、有効性に影響を及ぼす可能性があるため、販売中止となりました。
他のドライシロップや錠剤、OD錠は現在も問題なく製造しています。
アレグラのジェネリック医薬品と他の花粉症の薬剤
これまでは花粉症の薬剤アレグラにフォーカスして解説してきましたが、ここからはアレグラのジェネリック医薬品や他の花粉症の薬剤についての知識を深めていきます。
アレグラ以外の花粉症の薬剤についても知見を広げ、自分に合った薬剤を見つけていきましょう。
花粉症の薬の種類
まず花粉症の薬剤には内服薬の他に点鼻薬や点眼薬、貼付剤などの多様な剤型が存在しています。
点鼻薬や点眼薬は局所に直接作用し全身への副作用が少ないので、もし鼻や目など一部だけに症状が出ているのであれば、これら薬剤を選ぶのも一つの手段です。
また、全身のアレルギー症状を緩和するアレグラをはじめとする内服薬も作用によって様々な種類があります。
一般名 | 作用 | 製品名 |
---|---|---|
抗ヒスタミン薬 | アレルギーの原因となるヒスタミンの働きを抑制する。 第1世代と第2世代がある。 |
第1世代:ポララミン、レスタミンなど 第2世代:アレグラ、アレジオン、クラリチンなど |
抗ロイコトリエン拮抗薬 | ロイコトリエン受容体に拮抗して主に鼻粘膜の炎症を抑える。 | オノン、キプレス、シングレア |
経口ステロイド薬 | 身体の炎症を緩和したり、免疫力を抑制したりする。 | メドロール、コートリル、プレドニゾロンなど |
漢方薬 | 複数の成分が含まれており、様々な症状に効果を発揮する。 | 小青竜湯、葛根湯加川?辛夷、辛夷清肺湯など |
ここまでお話してきたアレグラは抗ヒスタミン薬の第2世代で、ヒスタミンを抑制して花粉症の症状を緩和するのに対し、抗ロイコトリエン拮抗薬はロイコトリエンを抑える効果があります。
また、ステロイド薬や漢方薬もアレルギーの症状を緩和する内服薬として処方されるケースもあります。
ただし、ステロイド薬は効果が非常に高い反面、副作用の影響にも気をつける必要があることは覚えておきましょう。
このように花粉症には剤型や作用が異なる様々な薬剤が開発されています。
飲んでいる薬剤の効き目が弱かったり、合わないと感じたりする時には医師や薬剤師に相談し、他の薬剤を検討するとよいかもしれません。
アレグラとジェネリック医薬品
様々な花粉症の薬剤がある中で現在主流となりつつあるのが、抗ヒスタミン薬の第2世代です。
ここでは処方薬のフェキソフェナジン塩酸塩の先発品アレグラ錠60mgとジェネリック医薬品の一部について表にまとめました。
製品名 | メーカー | 1錠あたりの薬価 |
---|---|---|
アレグラ錠60mg | サノフィ | 31円 |
フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「NP」 | ニプロ | 23.1円 |
フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「杏林」 | キョーリンリメディオ | 10.1円 |
フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「日新」 | 日新製薬 | 11.5円 |
処方薬の場合、他のジェネリック医薬品はアレグラ錠の約1/3~2/3の価格設定となっているため、費用を抑えたい場合はジェネリック医薬品を検討するのもよいでしょう。
ただし、ジェネリック医薬品は主成分や有効性は先発品と同じですが、薬剤の形状や添加剤などは異なる場合があります。
飲みやすさやアレルギーの心配がある方は、医師や薬剤師に相談してから薬剤を変更してください。
アレグラとアレジオンはどちらが効くか
市販でも様々なメーカーの花粉症の薬剤が販売されているため、どれを選べばよいのか迷ってしまう方も多いのかもしれません。
市販薬でアレグラFXとよく比較検討されるのが、アレジオン20です。
アレグラFX(14錠) | アレジオン20(6錠) | |
---|---|---|
服用回数 | 1日2回 | 1日1回 |
メーカー希望小売価格(税込) | 1,446円 | 1,490円 |
1日あたりの費用 | 206円 | 248円 |
この2つの薬剤の大きな違いは、アレグラFXが1日2回の服用なのに対し、アレジオン20は1日1回の服用で済むという点です。
1日あたりの費用に関してはややアレグラに軍配が上がりましたが、どちらも内容量が最も少ない製品で比較したため、大容量のものであればもう少し安く済むはずです。
どちらも抗ヒスタミン薬の第2世代ですが、アレグラの有効成分がフェキソフェナジン塩酸塩なのに対し、アレジオン20はエピナスチン塩酸塩という違いがあります。
効果や副作用に大きな差異はないとされていますが、効果や副作用の強さに個人差が出る可能性もあると言われています。
このため、アレグラとアレジオンのどちらが効くかというのは一概には判断できないのが現状です。
アレグラが効かない時にすべきこと・してはいけないこと
市販薬・処方薬としても利用されることの多いアレグラですが「効かない」と感じる人もいるかもしれません。
アレグラが効かない時には次のポイントを試してみましょう。
- 日常生活で花粉を避ける
- 点鼻薬や点眼薬を追加する
- 薬を変えてみる
花粉症の症状が落ち着かない時には、洗濯物の外干しを避けたり、室内に入る前に花粉を払ったり、できるだけ花粉を避けた生活を試みましょう。
それでも辛い時には、点鼻薬や点眼薬を追加したり、薬剤の種類を変更したりするのも1つの方法です。
ただし、いくらアレグラが効かないからと言って、勝手に用量を増やしたり他の内服薬を追加したりすることは絶対にしてはいけません。
アレグラが効かなくて困っている時には、医師に相談し、有効成分量が多いものに変更してもらったり、新たな薬剤を処方してもらったりしましょう。
アレグラを服用して快適な生活を
アレグラは医療機関と市販のどちらでも購入できる抗ヒスタミン薬の第2世代花粉症の薬剤です。
「しっかり効く」のに「眠くなりにくい」というキャッチフレーズ通り、花粉を吸い込んでから短時間で起こるくしゃみや鼻水などの症状も、数時間後に現れる鼻づまりなどの炎症のどちらにも効果があり、副作用が少ないという特徴があります。
しかしながら効果には個人差があるのも事実です。
アレグラが効かないと感じた時には、他の花粉症の薬剤に変更したり、点鼻薬や点眼薬を追加したりするのも一つの手段です。
医師や薬剤師に相談しながら、自分に合う花粉症の薬剤を見つけていきましょう。