グルコバイは食後の血糖値を改善される薬剤として糖尿病患者に処方された薬剤でしたが、2022年11月に販売中止となり、多くの医療機関や患者さんに衝撃が走りました。

今回はグルコバイの販売中止の理由と代替品として名前が挙がることの多いアカルボース、メトホルミンとの違いについて解説していきます。
また、糖尿病薬のダイエット効果についても言及していきます。

グルコバイとは

グルコバイは1993年にバイエル薬品が開発したαグルコシダーゼ阻害薬という糖尿病薬の先発品として、約20年間多くの糖尿病患者を助けてきた実績のある薬剤です。

グルコバイ開発以前の糖尿病薬と比べ、下痢などの副作用が少ないという特徴があります。

グルコバイの効果

通常、膵臓から分泌されるホルモンのインスリンによって血液中の糖分である血糖は調整されていますが、糖尿病になるとインスリンが上手く働かずに血糖値が上昇します。

そのまま血糖濃度が高い状態が続くと、心臓病や失明、腎不全などの重い病気に繋がる恐れがあるため、グルコバイなどの糖尿病薬を服用して血糖値を下げる必要があります。

グルコバイはαグルコシダーゼという砂糖や炭水化物をブドウ糖に分解する酵素の働きを抑制し、ブドウ糖が体内へ消化吸収されるのを緩やかにすることで、食後の血糖値が急激に上昇するのを防ぐ薬剤です。

また、このブドウ糖が体内に吸収されるのを抑制する効果が体重増加を抑えることに繋がるとして、ダイエット効果も期待できると言われています。
ただし、体重は緩やかに減る傾向にあり、短期間のダイエットには向かないことから「痩せない」という声がインターネット上にあがっていることも事実です。

グルコバイの服用方法

グルコバイは1日3回、食事の血糖値上昇を防ぐために食直前に内服します。
はじめは1回50mgから服用を開始し、忍容性が確認できれば1回100mgへ増やすことも可能です。

注意したのが、血糖降下作用に影響を及ぼす薬剤が多く存在するため、他の薬剤と併用する場合には必ず医師や薬剤師の確認を取ることです。
また、アルコールも低血糖発作を誘発する恐れがあるため、控えるようにしましょう。

グルコバイの副作用

グルコバイのよくある副作用には次のような症状があります。

• 腹部膨満
• 放屁増加
• 腹痛
• 下痢
• 吐き気

よくある副作用については胃腸関係の不調が多く、特に放屁増加、つまりおならが増えるという報告があります。
グルコバイがαグルコシダーゼのブドウ糖分解を抑制するため、ブドウ糖は大腸の腸内細菌によって分解されます。
これによりガスが発生しやすくなり、おならが出る回数が増えるのです。

これはグルコバイに限らず、同じ作用を持つαグルコシダーゼ阻害薬の製品すべてに起きる可能性のある副作用です。
副作用でおならが出ることは、身体に問題を起こすわけではないので、上手に付き合っていきましょう。

また、これら主な副作用の他に重大な副作用として、低血糖や腸閉塞、重篤な肝機能障害などが起きる可能性もあります。
どれも稀な副作用ではありますが、発熱や強い倦怠感、黄疸などの症状が現れた場合はすぐに医師に相談してください。

グルコバイが販売中止となった理由

糖尿病治療薬として長い間使用されてきたグルコバイですが、2022年11月に販売中止となりました。
グルコバイが販売中止となった理由の詳細は明かされていませんが、製品に問題があったわけではなく、需要の低下が要因と考えられています。

グルコバイの保険適用期間も2023年3月31日に終了したため、日本の医療機関ではもう処方されることはありません。

ただし、グルコバイは日本国内では販売中止なので買えませんが、海外では現在も販売されています。
例えば、個人輸入代行の通販で、個人の使用に限ってであれば購入することが可能です。

糖尿病薬の種類とグルコバイのジェネリック医薬品

日本国内では販売中止となったグルコバイですが、グルコバイ以外にも多種多様な糖尿病薬が開発され、グルコバイと同じ作用があるαグルコシダーゼ阻害薬や他の糖尿病薬は現在も医療機関で処方されています。

ここでは、糖尿病薬の種類やグルコバイのジェネリック医薬品を紹介します。

糖尿病薬の種類と一覧

グルコバイ以外にも糖尿病薬には様々な製品があり、種類や作用も多種多様です。
こちらは糖尿病薬を大まかに分類した一覧表です。

まず、糖尿病薬はインスリン分泌促進系とインスリン分泌非促進系に大きく分類されます。
インスリン分泌促進系は膵臓からのインスリン分泌を促進させて血糖値を下げますが、インスリン分泌非促進系はインスリン分泌以外の方法で血糖値を下げます。

例えば、インスリン分泌促進系のDPP-4阻害薬は、インスリンの分泌を促すインクレチンという酵素を、インクレチンを分解してしまうDPP-4という酵素から守るために働きを抑制します。

これにより、インクレチンは作用しやすくなり、膵臓からインスリンの分泌を促して血糖値を下げるというのがDPP-4阻害薬の仕組みです。

一方、インスリン分泌非促進系のSGLT2阻害薬は、糖を尿から排出することで血糖値を下げる効果があります。
これまでお話してきたグルコバイもインスリンに作用するのではなく、αグルコシダーゼを阻害して血糖値を下げることから、インスリン分泌非促進系に分類されます。

このように一口に糖尿病薬と言っても、種類によって作用が大きく異なるのです。

グルコバイのジェネリック医薬品

ここではインスリン分泌非促進系のαグルコシダーゼ阻害薬に分類されるグルコバイのジェネリック医薬品について解説します。
グルコバイはアカルボースが主成分のαグルコシダーゼ阻害薬の先発品で、以下のようなジェネリック医薬品があります。

これらアカルボースのジェネリック医薬品と先発品であるグルコバイの違いは、添加物や形状です。
ジェネリック医薬品と先発品の有効成分は同じであるため、効果に違いはないとされています。
ただし、添加物や形状は先発品と違う可能性もあり、飲みやすさなどが異なる場合もあります。

グルコバイとメトホルミンの違い

糖尿病薬の中でも、αグルコシダーゼ阻害薬グルコバイとよく比較されるのが、ビグアナイド薬のメトホルミンです。

しかも、比較される内容は糖尿病についてではなく、ダイエットに関することです。
グルコバイの効果の章で「グルコバイの作用は体重増加を抑えることに繋がる」とお話しましたが、メトホルミンもどんどん痩せる糖尿病薬という口コミが広がり話題を集めています。

メトホルミンはインスリン分泌非促進系のビグアナイド薬に分類され、肝臓から放出されるブドウ糖の量を抑制したり、筋肉や脂肪に糖を取り込むことを促進したりして血糖値を下げる糖尿病薬です。

さらにメトホルミンは食べ過ぎを防いで満腹感を得られやすいことから、ダイエット効果がある薬剤として話題になることがありました。
確かにどちらの薬剤も体重を下げる可能性がないわけではありませんが、副作を考慮する必要がある点を忘れてはなりません。
グルコバイの重い副作用には低血糖・腸閉塞・重篤な肝機能障害、そしてメトホルミンの重い副作用には乳酸アシドーシスがあります。

乳酸アシドーシスとは薬剤の作用の中で乳酸が分解されず、血液が酸性に傾いてしまう現象です。
初期症状は胃腸症状や倦怠感などですが、症状が進行すると低血糖・低体温・昏睡などが起き、死亡に至る可能性も少なくありません。

メトホルミンは医師の処方以外に、個人輸入代行の通販で購入できる商品です。
もし、ご自身で購入される場合には、副作用に関して充分留意し、用法・用量を守って服用しましょう。
そして、万が一身体に違和感が現れた場合には、速やかに医療機関を受診してください。

グルコバイなど糖尿病薬は正しく服用しよう

グルコバイはアカルボースが主成分のαグルコシダーゼ阻害薬の先発品で、αグルコシダーゼという酵素の働きを抑制し、ブドウ糖が体内へ消化吸収されるのを緩やかにすることで食後の血糖値が急激に上昇するのを防ぐ薬剤です。

しかし、2022年11月に販売中止となり、2023年3月31日に保険適用期間も終了したため、日本国内では購入することができなくなりました。
現在は個人輸入代行の通販で海外から購入することで手に入れられます。

グルコバイやビグアナイド薬のメトホルミンなどの糖尿病薬には体重減少の効果があるとして、近年話題になりました。

こちらも個人輸入代行で購入することが可能ですが、副作用については充分に留意することが大切です。
重篤な副作用を引き起こさないためにも、違和感が現れた時には速やかに医療機関を受診しましょう。