アミノグリコシド系抗生物質製剤

アミノグリコシド系抗生物質製剤とは?

アミノグリコシド系抗生物質は、細菌のタンパク質合成を阻害することで、その成長と増殖を防ぎます。
これらの薬は、重篤な感染症の治療に広く用いられており、その効果の高さから医療現場で重宝されています。

主なアミノグリコシド系抗生物質の種類

アミノグリコシド系抗生物質の代表的な薬剤について、それぞれの特徴と用途を説明します。

  • ゲンタマイシン
    ゲンタマイシンは、アミノグリコシド系抗生物質の中でも特に広く使用されています。
    主に、尿路感染症、皮膚・軟部組織感染症、腹腔内感染症などに対して有効です。
    点滴静注や筋肉注射で投与されることが多く、急性の重篤な感染症に対する即効性が期待されます。
    例として、「ゲンタマイシン点眼液0.3%」や「ゲンタマイシン硫酸塩軟膏0.1%」、「ゲンタマイシン硫酸塩注射液10mg」などがあります。

  • アミカシン
    アミカシンは、他のアミノグリコシド系抗生物質に対する耐性を持つ菌に対して有効です。
    特に、病院内感染(院内感染)において、耐性菌が問題となる場合に使用されることが多いです。
    肺炎や敗血症などの重篤な感染症に対する治療に利用されます。
    「アミカシン硫酸塩注射液100mg」や「アミカシン硫酸塩注100mg」などがあります。

  • トブラマイシン
    トブラマイシンは、特に緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対して効果が高い抗生物質です。
    呼吸器感染症や嚢胞性線維症の患者に対して、吸入薬として使用されることがあります。
    また、点滴静注や筋肉注射でも投与され、重篤な感染症に対する治療に用いられます。
    「トブラシン点眼液0.3%」や「トブラシン注60mg」などがあります。

  • ストレプトマイシン
    ストレプトマイシンは、結核の治療において重要な役割を果たします。
    結核菌に対して強力な抗菌作用を持ち、多剤併用療法の一環として使用されます。
    また、ペストやブルセラ症などの特定の感染症に対しても有効です。
    「ストレプトマイシン硫酸塩注射用1g」や、「硫酸ストレプトマイシン注射用1g」などがあります。

アミノグリコシド系抗生物質の副作用

アミノグリコシド系抗生物質は、その強力な抗菌作用の一方で、副作用を感じる方もいます。

過敏症状として、発疹や発熱、皮疹、かゆみを感じる方もいます。
また、アミノグリコシド系抗生物質は内耳に影響することがあるため、難聴や耳鳴りを引き起こすことがあります。
特に、高齢者や既に聴覚障害を持つ患者では、このリスクが高まります。
治療中は聴覚の変化に注意しておきましょう。