副腎皮質ホルモン薬(吸入)

副腎皮質ホルモン薬(吸入)とは?

副腎皮質ホルモン薬(吸入)は、普通ステロイドと呼ばれます。
気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの気道疾患の管理に用いられる薬で、炎症を抑えることで症状の進行を防ぎ、呼吸機能を維持します。

ステロイド薬には、吸入薬だけでなく塗り薬や内服薬の他、注射薬などがあり、症状によって使い分けます。
吸入薬は喘息などの呼吸器系疾患で使うことが多いです。
塗り薬ならアトピー性皮膚炎に効果がありますし、内服薬はリウマチなどに、注射薬は関節炎などの痛みを抑えるときに使います。

副腎皮質ホルモン薬の種類

副腎皮質ホルモン薬の中でも、吸入ステロイド(ICS)として分類されるものには以下のようなものがあります。

  • ベクロメタゾン(ベクロメタゾン)
  • フルチカゾン(フルチカゾンプロピオン酸エステル)
  • ブデソニド
  • シクレソニド
  • モメタゾン

これらの薬は吸入器によって気道に送り込まれ、炎症を抑えることで気道の腫れを軽減し、症状の進行を防ぎます。

吸入ステロイドの中には、喘息以外に鼻詰まりの症状を軽くするために処方されるものもあります。
例えばモメタゾンは、酷い鼻詰まりに使われます。
アレルギー性鼻炎に処方されることが多く、血管収縮剤で鼻の通りを良くしてから、モメタゾンを使うことで効果を発揮します。
1日1回鼻にスプレーすれば良いため、薬の負担が少ないことが特徴です。

吸入副腎皮質ホルモン薬のメリットと副作用

吸入副腎皮質ホルモン薬は、全身投与と比較していくつかの利点があります。

まず、吸入薬は直接気道に作用するため、より速やかに効果を発揮します。
喘息発作やCOPDの症状を迅速に緩和できることは大きなメリットでしょう。

また、吸入薬は局所的に作用するため、全身投与に伴う副作用(例えば、骨密度の低下や高血糖など)がほぼないことも利点です。

そして、長時間にわたって効果を持続させることができ、日常的な症状の管理に適していると言えます。

このように、吸入副腎皮質ホルモン薬は全身投与と比較して副作用が少ないとされていますが、使用に伴ういくつかの副作用が報告されています。

例えば、吸入薬の残留成分が原因で、口腔内にカンジダ菌が繁殖し、感染症を引き起こすことがあります。
カンジダ菌を繁殖させないために、吸入後にうがいをすると良いでしょう。

また、吸入薬が声帯に影響を与え、一時的に声がかすれることがあります。
この副作用も、吸入後のうがいで軽減できます。

人によっては、吸入薬が喉や気道を刺激し、一時的な咳や喉の不快感を引き起こすことがあります。
これらの症状は通常、一時的なものです。