免疫抑制薬
- 免疫抑制薬とは?
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免疫抑制薬は、免疫系の活動を抑えることで過剰な免疫反応を制御するための薬で、自己免疫疾患や移植後の拒絶反応の予防に使用されます。
免疫系は体内の異物を排除する役割を持っていますが、過剰に反応すると、自己組織を攻撃することがあります。免疫抑制薬は、この攻撃を防ぐために必要な薬です。
免疫の病気に対してステロイドだけでは効果が見られない場合、ステロイドと免疫抑制薬が一緒に使われることがあります。免疫抑制薬は、関節リウマチ、アレルギー疾患などの免疫異常などの疾患に使われることもあり、症状の緩和と疾患の進行を抑える役割を果たします。
他には、臓器移植で拒絶予防をする目的で使用されることもあります。免疫抑制薬の効果が出るまでには個人差がありますが、2~4週間はかかると言われています。
- 主な免疫抑制薬の種類
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では、免疫抑制薬にはどのような種類があるのでしょうか。
以下で、その種類と特徴を見ていきましょう。-
カルシニューリン阻害薬
カルシニューリン阻害薬は、T細胞の活性化を抑える薬です。
タクロリムスが代表的な薬で、移植後の拒絶反応の予防や治療に使用されます。
副作用として、腎機能障害や高血圧が挙げられます。 -
mTOR阻害薬
mTOR阻害薬は、細胞の増殖や代謝を制御する薬です。
シロリムスやエベロリムスが代表的な薬で、移植後の拒絶反応の予防や特定のがん治療に使用されます。
副作用には、口内炎や感染症のリスク増加があります。 -
抗体療法
抗体療法は、特定の免疫細胞や分子に対する抗体を使用して免疫反応を制御する方法です。
リツキシマブやアダリムマブなどが代表的な薬で、特定の自己免疫疾患やがんの治療に使用されます。
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- 免疫抑制薬の使用方法と注意点
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免疫抑制薬を使用する際は、医師の指示に従い、正しい服用方法を守ることが重要です。
特に、移植後の患者は薬を継続的に服用することで、拒絶反応を防ぐ必要があります。
服用を中断すると、免疫反応が再び活発になり、移植片の拒絶が発生する可能性があります。また、免疫抑制薬には、多くの副作用が存在します。
感染症のリスク増加、高血圧、糖尿病、骨粗鬆症などが発生することがあるので、定期的な検査と医師の監視のもとで副作用を管理していきます。
また、感染症予防のために、衛生管理を徹底する必要もあります。免疫抑制薬を使用することで免疫機能が低下するため、感染症にかかりやすくなる点にも注意が必要です。
風邪やインフルエンザなどの日常的な感染症から重篤な感染症まで、さまざまな感染リスクに対処するために予防策を講じます。