ポリオワクチン

ポリオの症状

ポリオワクチンは、かつて多くの子供たちを苦しめたポリオ(小児まひ)という病気から身を守るために開発されました。
この小さな一滴が、世界中の子供たちの未来を明るくしています。

ポリオは、ポリオウイルスによって引き起こされる感染症です。
大人もかかりますが、特に5歳未満の子供がかかりやすく、感染すると手足の麻痺や呼吸困難などの症状が現れることがあります。
最悪の場合、命を落とすこともある怖い病気です。

ポリオウイルスは主に汚染された水や食べ物を通じて体内に入ります。
また、感染した人の便や唾液などからも広がることがあります。
衛生環境が整っていない地域では、特に感染のリスクが高くなります。

幸いなことに、日本では1980年以降、野生のポリオウイルスによる感染例は報告されていません。
これは、ワクチン接種が広く行われてきた成果と言えます。

ポリオワクチンの種類と特徴

ポリオワクチンは、不活化ポリオワクチン(IPV)を注射して摂取します。

特徴

  • 安全性が高い
  • 副反応が少ない
  • 確実に免疫をつけられる
  • ワクチン由来のポリオ発症のリスクがない

以前は、生ポリオワクチンというものでした。

特徴

  • 腸管免疫も得られる
  • 安価で大規模な接種に向いている
  • まれにワクチン由来のポリオを発症するリスクがある

日本では2012年9月から、不活化ポリオワクチン(IPV)のみを使用しています。
安全性を高めるためです。

ワクチン接種の効果と副反応

ポリオワクチンは非常に効果的です。
一方で、他のワクチンと同様に、ポリオワクチンにも副反応が起こる可能性があります。
ただし、多くの場合、副反応は軽度で一時的なものです。

  • 接種部位の痛みや腫れ
  • 発熱
  • だるさ
  • 食欲不振

これらの症状は通常2~3日で自然に治まります。

まれに起こる可能性のある重い副反応には以下があります。

  • アレルギー反応(じんましんや呼吸困難など)
  • 高熱(39.5度以上)

このような症状が現れた場合は、すぐに医師に相談しましょう。

ポリオワクチン接種の必要性

ポリオは、適切な治療法がない病気です。
そのため、予防が何より大切です。
ワクチン接種は、自分の子供を守るだけでなく、社会全体のポリオ予防にもなると言えるでしょう。

世界的に見ると、ポリオはまだ完全には根絶されていません。
海外旅行や国際化が進む現代では、海外からポリオウイルスが持ち込まれる可能性も否定できません。
そのため、日本にいても油断はできません。

また、ポリオワクチンの接種率が下がると、再びポリオが流行するリスクが高まります。
これを「ワクチンギャップ」と呼びます。
子供たちの健康を守るためにも、定期的なワクチン接種が欠かせません。