抗血小板薬(アスピリン)

心臓と血管を守る抗血小板薬(アスピリン)の効果

抗血小板薬の代表格であるアスピリンは、古くから使われている薬剤でありながら、現代医療でも使われています。
主に心臓病や脳卒中の予防に用いられるこの薬は、血液中の血小板の働きを抑えることで血栓の形成を防ぎます。

アスピリンは、血小板の表面にあるシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素の働きを阻害します。
その結果、血小板が互いにくっつきにくくなり、血栓ができるリスクが減少します。
血栓は血管を詰まらせる原因となるため、これを防ぐことで心臓発作や脳卒中のリスクを軽減できます。

また、アスピリンには抗炎症作用や解熱作用もあります。
これらの効果は高用量で使用した場合に現れますが、低用量でも軽度の抗炎症効果が期待できます。

アスピリンによる抗血小板療法は、主に以下のような人に使います。

  • 心筋梗塞や脳卒中の既往がある人
  • 冠動脈疾患や末梢動脈疾患がある人
  • 心房細動など、血栓のリスクが高い状態にある人
  • 糖尿病や高血圧など、心血管疾患のリスクが高い人
長期使用と副作用

アスピリンは長期にわたって使用される薬剤です。
多くの場合、生涯にわたって服用を続けることになります。
しかし、長期使用に伴いいくつかの副作用のリスクがあります。

  • 胃腸障害
    胃痛、胸やけ、吐き気などの症状が現れることがあります。
    重度の場合、胃潰瘍や消化管出血を引き起こす可能性があります。

  • 出血傾向の増加
    血小板の働きを抑えるため、怪我をした際に出血が止まりにくくなることがあります。

  • アレルギー反応
    まれに、アスピリンにアレルギー反応を示す人がいます。
    喘息発作や蕁麻疹などの症状が現れる可能性があります。

  • 腎機能への影響
    長期使用により、腎臓の機能に影響を与える可能性があります。
    特に高齢者や腎機能が低下している人では注意が必要です。

これらの副作用のリスクを最小限に抑えるため、定期的な健康チェックがおすすめです。
特に、胃腸の症状や出血傾向には注意が必要です。

生活上の注意点

アスピリンを服用している人は、日常生活で以下のような点に気をつける必要があります。

  • アルコールの過剰摂取を避ける(胃腸への刺激や出血リスクが高まる)
  • 喫煙を控える(血栓形成のリスクを高める)
  • 激しい運動や怪我のリスクが高い活動には注意する
  • 歯科治療や手術の前には、医師に服用していることを伝える

また、健康的な生活習慣(バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理など)を心がけることで、アスピリンの効果を最大限に引き出すことができます。