性腺刺激ホルモン薬(注射)

性腺刺激ホルモン薬(注射)の種類

性腺刺激ホルモン薬は、不妊治療で使う注射薬です。
主に卵巣や精巣の機能を刺激し、卵子や精子の生成を促進します。
体外受精(IVF)や人工授精(AI)などの生殖補助医療技術で広く使用されています。

注射薬のhMG/rFSHと呼ばれるものと、ペンタイプで自分で注射をするrFSHがあります。
これらは、排卵誘発剤の経口薬で効果が得られなかった場合などに使います。
経口薬と比べると効果が強いことがメリットで、使用量を調整できます。
しかし、卵巣過剰刺激症候群は経口薬に比べて発症しやすくなります。

薬品名には以下があります。

  • HMGフェリング
  • uFSH
  • ゴナールエフ
  • HMGフジ

性腺刺激ホルモン薬の効果は、患者の年齢や不妊原因によって大きく異なります。

若年層(35歳未満)と高齢層(40歳以上)では、妊娠率に差があり、年齢が高い方が妊娠率は低くなります。
また、人工授精の場合、1回あたりの妊娠率はそこまで高くありません。

注意点とリスク
  • 多胎妊娠
    複数の卵胞が発育することで、多胎妊娠のリスクが上昇します。

  • 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
    卵巣が過剰に反応し、腹水貯留や血液濃縮などの症状が現れることがあります。

  • 卵巣捻転
    刺激により肥大した卵巣が捻転するリスクがあります。

  • 出血や感染
    注射部位での出血や感染のリスクがあります。

  • アレルギー反応
    まれに、薬剤にアレルギー反応を示すことがあります。

  • 心理的ストレス
    連日の注射や頻繁な通院が心理的負担になることがあります。

検査と管理

治療中は、以下のような綿密な検査や観察が必要です。

  • 超音波検査
    卵胞の数と大きさを定期的に確認します。

  • 血中ホルモン測定
    エストラジオール、LH、プロゲステロンなどのレベルをチェックします。

  • 身体症状の観察
    腹部膨満感や不快感などのOHSS症状に注意します。

  • 心理的サポート
    治療に伴うストレスや不安に対するカウンセリングを提供します。

  • 個別化治療の重要性
    性腺刺激ホルモン薬の使用は、個々の患者に合わせて慎重に調整する必要があります。

性腺刺激ホルモン薬は、年齢、体重、過去の治療歴などを考慮して初期投与量を決定します。
卵巣予備能検査(AMHやAFCなど)の結果に基づいて治療の進め方が考えられ、治療サイクルごとの反応を分析し、次回の治療計画に反映させます。

性腺刺激ホルモン薬は、不妊治療の成功率を高める薬ですが、その使用には専門的な知識と経験が必要です。