mTOR阻害薬

mTOR阻害薬の種類と特徴

mTOR阻害薬は、分子標的治療薬の一種で、がん細胞の成長と増殖を制御するmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)という分子の働きを抑える薬剤です。
がん細胞の増殖を抑制し、腫瘍の成長を遅らせる効果があります。

現在、主に使用されているmTOR阻害薬には以下のようなものがあります。

  • エベロリムス
    悪性腫瘍治療薬に使う商品には「アフィニトール」がありますが、免疫抑制剤には「サーティカン」があります。

  • テムシロリムス(商品名:トーリセル)
    点滴静注薬で、主に進行性腎細胞がんの治療に使用します。

  • シロリムス(商品名:ラパリムス)
    リンパ脈管筋腫症の治療や、腎移植後の免疫抑制剤として使います。

投与量は、使用する薬剤や治療対象となる疾患、個人の状態によって異なります。
治療開始後は、効果や副作用の状況に応じて、投与量が調整されることがあります。
治療スケジュールは、通常、病状が進行するまで、または副作用が管理できなくなるまで継続します。
定期的な血液検査や画像検査を通じて、治療の効果や副作用をチェックします。

mTOR阻害薬の副作用と対策

mTOR阻害薬にはいくつかの副作用があり、その種類や程度には個人差があります。
主な副作用と対策は以下の通りです。

  • 口内炎
    こまめなうがいを心がける 刺激の少ない食事を選ぶ 必要に応じて痛み止めや口腔内保湿剤を使用する

  • 発疹・皮膚の乾燥
    保湿クリームを使用する 刺激の少ない石鹸を使う 日光を避け、日焼け止めを使用する

  • 疲労感
    十分な休息を取る 無理のない範囲で軽い運動を行う

  • 食欲不振
    少量ずつ頻回に食事を取る 栄養価の高い食品を選ぶ 食べやすい食事の工夫をする

  • 下痢
    十分な水分補給を心がける 食事内容を工夫する(消化の良い食品を選ぶなど) 症状が強い場合は医療スタッフに相談する

これらの副作用の多くは、早期発見と適切な対策により管理可能です。
副作用の種類や程度は個人差が大きいため、何か異常を感じた場合は速やかに医療スタッフに相談しましょう。

mTOR阻害薬使用時の注意点

mTOR阻害薬を使用する際は、以下の点に注意が必要です。

  • 感染症予防
    mTOR阻害薬は免疫機能に影響を与える可能性があるため、感染症には十分注意が必要です。
    予防接種については医師に相談しましょう。

  • 手術や歯科治療
    創傷治癒に影響を与える可能性があるため、手術や侵襲的な歯科治療を受ける際は、事前に主治医に相談することが大切です。