タキソール(PTX)

タキソールの作用機序と使用方法

タキソールは、一般名をパクリタキセルと言い、略称はPTXです。
植物由来の抗がん剤で、タキサン系薬剤の一種です。
元々は太平洋イチイという木の樹皮から抽出された化合物を基に開発されました。

タキソールの作用機序は、がん細胞の分裂に必要な微小管の機能を阻害することです。
微小管は細胞分裂の際に染色体を引き離す役割を果たしますが、タキソールはこの過程を妨げることでがん細胞の増殖を抑制します。

タキソールは通常、点滴で投与されます。
投与のスケジュールは、がんの種類や患者の状態によって異なります。

例えば、卵巣がんの治療方法は、通常、パクリタキセルとして1日1回210mg/m2点滴静注します。
その後は3週間休薬し、これを1クールとして繰り返していきます。

タキソールは単独で使用されることもありますが、多くの場合、他の抗がん剤や分子標的薬と組み合わせて使用されます。

タキソールが使われるがん

タキソールは、以下のようながんの治療において効果を発揮します。

  • 卵巣がん
  • 非小細胞肺がん
  • 乳がん
  • 胃がん
  • 子宮体がん
  • 頭頸部がん
  • 食道がん
  • 血管肉腫
  • 子宮頸がん
  • 胚細胞腫瘍

タキソールを含む治療法は、がんの進行を遅らせたり、腫瘍を縮小させたりする効果があります。
また、症状の改善や生存期間の延長も可能です。
特に、乳がんや卵巣がんの治療で使われることが多いです。

タキソールの副作用

タキソールにも他の抗がん剤と同様に副作用があります。
主な副作用には以下のようなものがあります。

  • 骨髄抑制
    白血球、血小板、赤血球の減少が起こることがあります。
    これにより感染のリスクが高まったり、出血しやすくなったり、貧血になったりする可能性があります。

  • 末梢神経障害
    手足のしびれや痛み、感覚異常などが起こることがあります。
    これはタキソールの特徴的な副作用の一つです。

  • 脱毛
    多くの場合、脱毛が起こります。

  • 筋肉痛・関節痛
    投与後数日間、筋肉や関節の痛みが現れることがあります。

  • アレルギー反応
    まれに、重度のアレルギー反応が起こることがあります。

  • 消化器症状
    吐き気、嘔吐、下痢などが起こることがあります。

  • 爪の変化
    爪が変色したり、剥がれたりすることがあります。

  • 倦怠感
    強い疲労感を感じることがあります。

飲み合わせに注意

タキソールを使用する際は、以下の薬との併用はできません。
アルコール反応が起き、血圧が下がったり、気持ち悪くなることがあるからです。

  • ジスルフィラム
  • シアナミド
  • カルモフール
  • プロカルバジン塩酸塩