マラリアの薬
- マラリアはどんな病気?
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マラリアは、マラリア原虫をもった蚊(ハマダラカ属)に刺されることで発症する病気です。
アフリカ地域では現在でも特に感染が多いため、旅行などに行く場合には注意が必要です。
WHOの「世界マラリア報告」によると、2021年には世界で約2億4700万人が感染し、推計61万9,000人が死亡したそうです。日本では発症例は少ないですが、コロナ禍前は年間50~100症例が輸入感染症として報告されていました。
1週間から4週間ほどの潜伏期間があり、以下のような症状が出ます。- 発熱
- 寒気
- 頭痛
- 嘔吐
- 関節痛
- 筋肉痛
マラリアには5種類あるのですが、その中でも「熱帯熱マラリア」というものは発症から24時間以内に治療しないと重症化し、以下のような合併症になることや、死に至ることがあります。
- 脳症
- 腎症
- 肺水腫
- 出血傾向
- 重症貧血
- マラリアに使う薬と予防薬
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現在、マラリア治療の主流となっているのは以下の薬です。
- メフロキン
- アトバコン・プログアニル合剤
- アルテメテル・ルメファントリン合剤
- プリマキン
- キニーネ注射薬
また、マラリアには予防薬があります。
国内で承認されている予防薬には以下があります。- マラロン配合錠R(アトバコン・プログアニル塩酸塩配合錠)
- メファキン「ヒサミツ」錠 275R(メフロキン塩酸塩錠)
- マラリア治療中の注意点と流行地域でできること
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マラリアの治療中は、以下の点に注意しましょう。
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服薬管理
処方された薬は指示通りに確実に服用し、自己判断で服用を中止したり、用量を変更したりしないようにしましょう。 -
副作用の観察
吐き気、めまい、頭痛などの症状が現れたら医師に相談してください。
重篤な副作用(重度の発疹、呼吸困難など)が現れた場合は緊急受診が必要です。 -
体温管理
定期的に体温を測定し、記録しましょう。
高熱が続く場合は医師に相談します。 -
モスキートネットの使用
蚊に刺されないよう、就寝時はモスキートネットを使用することをおすすめします。 -
蚊の防除
特にアフリカなどでは室内の蚊を駆除し、新たな感染を防ぎましょう。
長袖・長ズボンの着用、虫除けスプレーの使用も効果的です。
これらの注意点を守りながら治療を進めることで、マラリアからの回復を早め、再発のリスクを減らすことができます。
マラリアは適切な治療を受ければ完治が可能ですが、治療が遅れると重症化する可能性があります。
症状が現れたらすぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けてください。
また、マラリア流行地域への渡航を予定している場合は、事前に予防薬の服用や蚊に刺されない対策について医師に相談しましょう。 -
マラリアの薬として使われる医薬品成分
- ミノサイクリン
- ミノサイクリンは、幅広い種類の細菌感染症を治療するために使われる抗生物質です。テトラサイクリン系と呼ばれる抗生物質のグループに属しており、様々な感染症に対して効果を発揮します。 ミノサイクリンは、細菌の増殖を止めることで感染症と戦います。具体的には、細菌のタンパク質合成を阻害し、細菌が成長や分裂す...
- 塩酸ドキシサイクリン
- 塩酸ドキシサイクリンは、幅広い種類の細菌感染症を治療するために用いられる抗生物質です。テトラサイクリン系抗生物質の一種で、様々な感染症に効果を発揮します。 塩酸ドキシサイクリンは、細菌の増殖を抑えることで感染症と闘います。細菌のタンパク質合成を妨げ、細菌が成長や分裂するのを防ぐことにより、体の免疫...