オキサゾリジノン系合成抗菌薬
- オキサゾリジノン系合成抗菌薬の種類と特徴
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オキサゾリジノン系合成抗菌薬は、比較的新しい抗菌薬のグループです。
主に多剤耐性グラム陽性菌による感染症の治療に用いられます。現在、臨床で使用されている主なオキサゾリジノン系合成抗菌薬は以下の通りです。
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リネゾリド
最初に開発された薬剤で、経口剤と注射剤があります。
商品としてザイボックスなどがあります。 -
テジゾリド
リネゾリドの改良版で、より低用量で効果を発揮します。
シベクトロという商品があり、こちらは1日1回の投与が可能です。
オキサゾリジノン系合成抗菌薬の特徴 この系統の抗菌薬には、以下のような特徴があります。
- 多剤耐性グラム陽性菌に対する強い効果
- 経口投与と静脈内投与の両方が可能
- 組織への良好な浸透性
- タンパク質合成阻害による静菌作用
- 他の抗菌薬と交差耐性を示さない独特の作用機序
オキサゾリジノン系合成抗菌薬と他の抗菌薬を比較すると、バンコマイシン耐性菌を含む多剤耐性菌に効果を示すことや、重症感染症でも経口治療が可能な場合があることがメリットになります。
また、肺や骨などの組織への浸透性が良好なのも注目です。一方、MAOIやセロトニン作動薬との相互作用に注意が必要であること、比較的高価な薬剤であることは注意点と言えます。
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- どんな感染症に効くのか
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オキサゾリジノン系合成抗菌薬の適応菌種はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)で、以下の感染症に効きます。
- 敗血症
- 深在性皮膚感染症
- 慢性膿皮症
- 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
- 肺炎
他に、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウムにも効き、各種感染症に効果があります。
特に、他の抗菌薬が効かない多剤耐性菌による感染症の治療に重要な役割を果たしています。
- 副作用の症状と注意
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オキサゾリジノン系合成抗菌薬にも、他の抗菌薬と同様に副作用が起こる可能性があります。
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骨髄抑制
血小板減少、貧血、白血球減少などが起こることがあります。 -
乳酸アシドーシス
まれですが重篤な副作用として知られています。 -
末梢神経障害と視神経障害
長期使用で起こることがあります。 -
セロトニン症候群
セロトニン作動薬との相互作用により起こる可能性があります。 -
消化器症状
吐き気、嘔吐、下痢などが見られることがあります。
オキサゾリジノン系合成抗菌薬を使用する際には、長期使用(通常28日以上)は避けるべきです。
また、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)との併用も避けましょう。
セロトニン作動薬との併用にも注意が必要です。 -