バルプロ酸
- バルプロ酸は何に効く?
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バルプロ酸は、抗てんかん剤として使われることもありますし、躁病・躁状態治療剤の他、片頭痛治療剤 として使われる薬です。
中枢神経系に作用し、神経の過剰な興奮を抑えることで発作や気分の波を安定させます。抗てんかん剤に関しては、各種てんかんに効果があるとされており、小発作や焦点発作、精神運動発作の他、混合発作、およびてんかんに伴う性格行動障害(不機嫌・易怒性等)の治療に役立っています。
- バルプロ酸の3つの作用
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バルプロ酸の主な作用には複数のメカニズムがあります。
主な作用として、以下の3つが挙げられます。-
GABA濃度の増加
バルプロ酸は、γ-アミノ酪酸(GABA)という神経伝達物質の濃度を増加させます。
GABAは抑制性の神経伝達物質であり、その濃度が上昇することで神経の興奮を抑える効果があります。 -
ナトリウムチャネルの抑制
バルプロ酸は、ナトリウムチャネルを抑制することで、神経の興奮伝達を遅延させます。
これにより、発作の発生頻度を減少させる効果があります。 -
カルシウムチャネルの抑制
カルシウムチャネルもバルプロ酸の標的となり、神経の興奮を抑える効果を発揮します。
特定のタイプのてんかん発作の予防に役立ちます。
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- バルプロ酸の使用上の注意や副作用
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バルプロ酸を使用する際には、いくつかの注意点があります。
肝機能への影響が報告されているため、服用するなら定期的な肝機能検査が必要です。
若年者や肝疾患の既往がある患者では特に注意が必要です。
また、体重増加や脱毛、消化器症状などの副作用も報告されています。妊娠中の女性に対する使用にも、特別な注意が必要です。
バルプロ酸は、胎児に対して奇形を引き起こすリスクがあるため、妊娠を希望している女性や妊娠中の女性には、代替薬を使用します。
また、授乳中の使用についても医師と相談することをおすすめします。禁忌としては、重篤な肝疾患の患者、バルプロ酸過敏症の患者、尿素回路障害のある患者などが挙げられます。
また、妊娠中の使用については先述の通り、特別な注意が必要です。また、バルプロ酸の副作用は多岐にわたります。
一般的な副作用としては、消化器症状(吐き気、嘔吐、腹痛)、体重増加、脱毛、振戦(手の震え)などがあります。
これらの副作用が現れた場合、医師に相談して対策を練りましょう。重篤な副作用としては、肝障害、膵炎、血液障害などが報告されています。
特に、肝障害は早期に発見し対処しなければなりません。
定期的な血液検査や肝機能検査を受けることで、これらのリスクを最小限に抑えられます。