リンコマイシン系
- 細菌の増殖を抑えるリンコマイシン系抗生物質
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リンコマイシン系抗生物質は、土壌菌から発見された抗生物質です。
この系統の薬剤は、特定の細菌に対して強い効果を示し、主にグラム陽性菌や嫌気性菌による感染症の治療に用いられます。リンコマイシン系抗生物質には、主に2種類があります。
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リンコマイシン
最初に発見された薬剤で、経口薬と注射薬があります。 -
クリンダマイシン
リンコマイシンの誘導体で、より強力な抗菌作用を持ちます。
これらの薬剤は、化学構造や作用機序が似ているため、同じ系統として扱われますが、クリンダマイシンの方がより広く使用されています。
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- リンコマイシン系抗生物質の特徴と商品名
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リンコマイシン系抗生物質の主な特徴は以下の通りです。
- グラム陽性菌と嫌気性菌に強い効果
- 骨や関節への移行性が高い
- 細胞内への浸透性が良好
- 歯や骨の形成に影響を与えない
上記のような特徴があることから、リンコマイシン系抗生物質は特定の感染症の治療に向いていると言えます。
リンコマイシン系抗生物質の商品名には、クリンダマイシン製剤として「ダラシン」があります。
カプセルの内服薬と注射剤の他、ゲル剤、ローション剤もあります。
ゲルやローションはニキビの治療で使われることがあります。内服薬の場合は、十分な水でしっかり飲み込むようにしましょう。
食道に薬が留まると、まれに食道潰瘍を引き起こすことがあります。注射剤には、クリンダマイシン注300mgシリンジやクリンダマイシンリン酸エステル注300mgなどがあります。
- 使用される主な感染症
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リンコマイシン系抗生物質が使用される主な感染症には以下のようなものがあります。
- 表在性皮膚感染症
- 深在性皮膚感染症
- リンパ管・リンパ節炎
- 乳腺炎
- 骨髄炎
- 咽頭・喉頭炎
- 扁桃炎
- 急性気管支炎
- 肺炎
- 肺膿瘍
- 慢性呼吸器病変の二次感染
- 膀胱炎
- 腎盂腎炎
- 感染性腸炎
- 角膜炎
- 中耳炎
- 副鼻腔炎
ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、赤痢菌が適応菌種です。
- リンコマイシン系抗生物質の副作用と注意点
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リンコマイシン系抗生物質の服用で起こる副作用には、めったにありませんが重いものもあります。
念のため、以下のような大腸炎の症状には、服用初期に気を付けましょう。- 激しい腹痛
- 頻回な下痢
- 発熱
- 血液便
他に、軟便や下痢、腹痛、吐き気、発疹、じん麻疹が起こる患者もいます。
大腸炎の副作用を考慮し、リンコマイシン系抗生物質を軽い感染症の第一選択とすることはありません。
リンコマイシン系として使われる医薬品成分
- クリンダマイシン
- クリンダマイシンは、にきび治療に広く使用される抗生物質です。主に外用薬として使われますが、重症例では内服薬としても処方されることがあります。にきびの原因菌に直接働きかけ、炎症を抑える効果があります。 クリンダマイシンは、以下のような仕組みでにきびを改善します。 抗菌作用* にきびの原因菌であるア...