ホスホマイシン
- 感染症の治療に用いるホスホマイシンとは?
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ホスホマイシンは、他の抗生物質とは異なる独特の化学構造を持ち、細菌の細胞壁合成を阻害することで抗菌作用を発揮します。
緑膿菌やプロテウス菌、セラチア菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌などに活性を示す抗生物質です。ホスホマイシンの主な特徴は以下の通りです。
- 広い抗菌スペクトル
- 耐性菌が生じにくい
- 他の抗生物質との相乗効果
- 経口投与と注射投与が可能
- 組織への浸透性が高い
これらの特徴により、ホスホマイシンはさまざまな感染症の治療に使用されます。
主な適応症は以下の通りです。- 深在性皮膚感染症
- 膀胱炎
- 腎盂腎炎
- 感染性腸炎
- 涙嚢炎
- 麦粒腫
- 瞼板腺炎
- 中耳炎
- 副鼻腔炎
多剤耐性菌による感染症の治療にも有効なことがあります。
- ホスホマイシンの効果と注意点
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ホスホマイシンは、細菌の細胞壁合成に必要な酵素を阻害することで抗菌作用を示します。
この作用機序は他の抗生物質とは異なるため、他の薬剤に耐性を持つ細菌にも効果を示すことがあります。また、ホスホマイシンは耐性菌が生じにくいという特徴があります。
細菌がホスホマイシンに耐性を獲得するためには複数の遺伝子変異が必要であるためです。しかし、長期間の使用や不適切な使用により、耐性菌が出現する可能性はあります。
そのため、正しく使用しなければなりません。ホスホマイシンを使用する際の注意点としては、腎機能が低下している患者では、投与量の調整が必要になることがあります。
また、妊婦や授乳中の女性への使用については、慎重に検討する必要があります。他の抗生物質と併用する場合は、相互作用に注意をし、長期間の使用は避けるようにします。
アレルギー反応の既往がある患者も、注意が必要です。 - ホスホマイシンと他の抗生物質の比較
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ホスホマイシンは、他の抗生物質と比較して以下のような特徴があります。
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耐性菌への効果
多剤耐性菌に対しても効果を示すことがあります。 -
相互作用が少ない
他の薬剤との相互作用が比較的少ないため、併用療法に適しています。 -
組織浸透性
特に尿路系への移行性が高く、尿路感染症の治療に適しています。 -
副作用プロファイル
他の抗生物質と比較して、重篤な副作用が少ないとされています。 -
コスト
一般的に他の新しい抗生物質と比較して安価です。
これらの特徴により、ホスホマイシンは特に尿路感染症の治療や、他の抗生物質が効果を示さない場合の選択肢として重要な位置を占めています。
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