キノロン系抗菌薬
- キノロン系抗菌薬の特徴と世代
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キノロン系抗菌薬は、多くの種類の細菌に対して強い効果を示し、さまざまな感染症の治療に用いられています。
現在は、ニューキノロン系抗菌薬として使われています。キノロン系抗菌薬の主な特徴は以下の通りです。
- 広範囲の細菌に効果がある
- 経口投与と注射投与の両方が可能
- 組織への浸透性が高い
- 殺菌的に作用する
- 耐性菌にも効果を示すものがある
これらの特徴により、キノロン系抗菌薬は多くの感染症の治療に役立っています。
キノロン系抗菌薬は、その開発の過程で複数の世代に分類されます。
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第一世代:ナリジクス酸など
主にグラム陰性菌に効果があり、尿路感染症の治療に使用されました。 -
第二世代:ノルフロキサシンなど
グラム陰性菌への効果が向上し、一部のグラム陽性菌にも効果を示します。 -
第三世代:レボフロキサシン、スパルフロキサシンなど
グラム陽性菌への効果が向上し、肺炎球菌などにも効果を示します。 -
第四世代:モキシフロキサシン、ガチフロキサシンなど
嫌気性菌への効果も加わり、さらに広範囲の細菌に効果を示します。
- 使用される主な感染症
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キノロン系抗菌薬が使用される主な感染症には以下のようなものがあります。
- 呼吸器感染症(肺炎、気管支炎など)
- 尿路感染症
- 皮膚軟部組織感染症
- 腸管感染症
- 性感染症
- 骨・関節感染症
- 眼科領域の感染症
整形外科領域や皮膚科領域、産婦人科領域の他、耳鼻科や歯科・口腔外科領域における感染症にも使われ、幅広く役立っています。
- 経口薬の服用に関する注意点
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キノロン系抗菌薬は食事の影響を受けにくいため、食前・食後を問わず服用できますが、薬によっては空腹時の服用が推奨されるものもあります。
また、吸収が低下するため牛乳や制酸剤との併用は避けるべきです。
決められた間隔で服用することも大事です。キノロン系抗菌薬は安全性の高い薬ですが、以下のような副作用が起こる可能性があります。
- 吐き気
- 下痢
- 腹痛
- めまい
- ふるえ
- 頭痛
- 四肢のしびれ
キノロン系抗菌薬は、小児患者への使用は原則として避けるべきです(成長期の関節軟骨に影響を与える可能性があるため)。
また、妊婦や授乳中の女性への使用は慎重に検討する必要があります。高齢者では、中枢神経系の副作用が出やすいため、注意が必要です。
また、筋肉や関節に問題がある患者では、腱障害のリスクが高まる可能性があります。キノロン系抗菌薬は、上記のような副作用のリスクを考慮し、他の抗菌薬が使用できない場合や、重症感染症の場合に使用されることが多くなっています。
キノロン系抗菌薬として使われる医薬品成分
- レボフロキサシン
- レボフロキサシンは、フルオロキノロン系に属する広域スペクトル抗菌薬です。多くの種類の細菌に対して効果を示すことから、様々な感染症の治療に用いられています。 レボフロキサシンは、グラム陽性菌、グラム陰性菌、および一部の嫌気性菌に対して幅広い抗菌活性を示します。主な対象菌には以下のようなものがあります...
- トスフロキサシン
- トスフロキサシンは、細菌感染症の治療に使われる抗菌薬です。主に呼吸器系や尿路系の感染症に効果があり、細菌のDNAの複製を阻害することで細菌の増殖を止めます。 トスフロキサシンは、さまざまな細菌感染症に対して効果を発揮します。代表的な症状には以下のようなものがあります。 気管支炎:のどの奥や気管支に...
- ノルフロキサシン
- ノルフロキサシンは、尿路感染症の治療によく用いられる抗菌薬です。膀胱炎や腎盂腎炎といった尿路の感染症に効果を発揮し、細菌の増殖を抑えることで感染症と戦います。 ノルフロキサシンは、フルオロキノロン系と呼ばれる抗菌薬のグループに属し、細菌のDNA合成を妨げることで効果を発揮します。特にグラム陰性菌と呼...