散瞳薬(点眼)

検査で使われる散瞳薬(点眼)とは?

散瞳薬は、目の瞳孔を広げる効果のある点眼薬です。
眼科検査に使用され、目の奥をより詳しく観察するために点眼します。
散瞳薬には様々な種類があり、それぞれ効果の強さや持続時間が異なります。

散瞳薬の最も一般的な使用目的は、眼底検査を行うためです。
眼底とは、目の奥にある網膜や視神経、血管などの部分を指します。
瞳孔を広げることで、医師はこれらの部位をより詳しく観察できるのです。

眼底検査は、以下のような様々な目の病気の診断や経過観察に役立っています。

  • 白内障
  • 緑内障
  • 高血圧
  • 動脈硬化
  • 糖尿病性網膜症

散瞳薬を使用した眼底検査により、目に関する症状だけでなく、全身に及ぶ小さな変化や異常を見つけられます。

また、散瞳薬は、正確な屈折検査を行うためにも使用されます。
屈折検査とは、目の度数(近視、遠視、乱視など)を測定する検査です。

特に子供や若い人の場合、調節力が強いため、散瞳薬を使用して目の調節を一時的に麻痺させることで、より正確な度数を測定できます。
この検査をすることで、適切な眼鏡やコンタクトレンズを選べるようになります。

白内障手術や網膜手術などの眼内手術の前後にも、散瞳薬が使用されることがあります。
手術前に瞳孔を広げることで、手術をより安全に行えるからです。
また、手術後の経過観察の際にも、目の中の状態を詳しく確認するために使う場合があります。

散瞳薬の効果と注意点

散瞳薬の主な効果は以下の通りです。

  • 瞳孔を広げる
  • 目の奥の観察を容易にする
  • 目の調節力を一時的に弱める(調節麻痺)

一方で、散瞳薬使用時には以下の点に注意が必要です。

  • 光に対する感度の増加
    瞳孔が広がることで、まぶしさを強く感じるようになります。

  • 近くのものが見えにくくなる
    調節力が弱まるため、近くのものにピントが合いにくくなります。
    読書や細かい作業は避けた方が良いでしょう。

  • 視力の一時的な低下
    散瞳と調節麻痺の影響で、一時的に視力が低下します。
    効果が続いている間は、車の運転など注意力を要する作業は避けるべきです。

  • まれにアレルギー反応
    目の周りの腫れや発赤、かゆみなどのアレルギー症状が現れることがあります。

散瞳薬の適切な使用方法

散瞳薬を効果的かつ安全に使用するためには、以下の点に注意が必要です。

  • 正しい点眼方法
    清潔な手で目の下まぶたを軽く引っ張り、結膜嚢(目の白い部分と下まぶたの間)に1滴たらします。
    点眼後は、目を閉じて1~2分程度そのままの状態を保ちます。

  • 効果持続中の注意
    散瞳薬の効果が続いている間は、強い光を避け、細かい作業や運転を控えます。

  • 症状の観察
    使用後に強い痛みや視力低下などの異常を感じた場合は、すぐに医師に相談しましょう。

散瞳薬(点眼)として使われる医薬品成分

グリセリン
グリセリンは、化粧品や医薬品、食品など幅広い分野で使用される成分です。無色透明で粘性のある液体で、甘みを持っています。その保湿効果や安全性から、多くの製品に含まれています。 グリセリンは、化学的には多価アルコールの一種です。水に溶けやすく、吸湿性が高いという特徴があります。この性質により、グリセリ...