エルゴタミン系(麦角アルカロイド)
- エルゴタミン系(麦角アルカロイド)とは?
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エルゴタミン系(麦角アルカロイド)は、片頭痛の治療に使用される薬です。
片頭痛は、一度収縮した血管が過剰に広がることで起こると考えられています。
エルゴタミン系の薬は、その過剰な血管の広がりを抑えることで、片頭痛を治します。ただし、現在はエルゴタミン製剤が使われることは稀です、トリプタン製剤がエルゴタミン製剤に代わり、片頭痛の薬として使用されるようになったからです。
- エルゴタミン製剤が現在使われていない理由
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では、エルゴタミン製剤が現在片頭痛の薬としてあまり使われていない理由は何でしょうか。
エルゴタミン製剤は、片頭痛が起き始めた早い段階で服用しなければ、効果が薄いことで知られています。
また、妊娠、授乳中の患者や心疾患、末梢血管疾患がある方、脳卒中、コントロール不良の高血圧患者に加え、肝機能障害、腎機能障害がある患者は服用できないデメリットもあります。さらに、薬物乱用による頭痛が起きるリスクを防ぐため、エルゴタミン製剤を服用する際には1回にどれくらい服用するのか決める他、月に6回までと具体的な使用頻度を決める必要があります。
一般的な副作用には、吐き気、嘔吐、筋肉痛、めまいなどがあります。
まれに、重篤な副作用として末梢血管収縮による手足の冷感や痺れが生じることがあります。
また、トリプタン系薬との併用は避けるべきです。これらの理由により、エルゴタミン製剤はトリプタン製剤に取って変わりました。
- エルゴタミン製剤の医療用医薬品
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エルゴタミン製剤の医療用医薬品は、クリアミンになります。
成人の場合、通常1回1錠を1日2~3回経口服用します。
頓服として使うこともでき、その場合は頭痛発作の前兆がある場合に1~2錠を服用します。
ただし、1週間に最高10錠までと決まっているため、あまり依存することはできません。薬剤との相互作用にも気を付ける必要があり、以下の薬などと併用する場合は医師に相談する必要があります。
- HIVプロテアーゼ阻害剤
- リトナビル
- ホスアンプレナビル
- アタザナビル
- ダルナビル
- エファビレンツ
- コビシスタットを含有する製剤
- エリスロマイシン
- ジョサマイシン
- クラリスロマイシン
- ロキシスロマイシン
これらの薬とエルゴタミン製剤を併用してしまうと、エルゴタミンの血中濃度が上昇し、血管攣縮等の重篤な副作用を引き起こすことがあります。
他にも、気を付けなければならない薬はあるので、エルゴタミン錠剤の処方に限らず、現在飲んでいる薬はお薬手帳を見せるなどして、医師に自分の症状や具合を伝えておきましょう。