ニコチン酸系

ニコチン酸系薬剤の役割

ニコチン酸系薬剤は、高脂血症の治療に用いられる薬の一種です。
この薬は血液中の脂質、特に中性脂肪やコレステロールを減らす効果があります。
ニコチン酸は別名ビタミンB3やナイアシンとも呼ばれ、体内で様々な役割を果たしています。

ニコチン酸系薬剤には、主に以下のような効果があります。

  • 中性脂肪の低下
  • 悪玉(LDL)コレステロールの低下
  • 善玉(HDL)コレステロールの増加

これらの効果により、動脈硬化の進行を遅らせ、心臓病や脳卒中などの循環器疾患のリスクを下げることができます。
特に、他の薬剤で十分な効果が得られない場合や、複合的な脂質異常がある場合に有効とされています。

ニコチン酸系薬剤の中でも代表的なトコフェロールニコチン酸エステルの場合は、1日3回に分けて服用します。
食後に服用することで、胃腸への刺激を軽減できます。

また、長期間にわたって継続的に服用することが多い薬でもあります。
効果が現れるまでに時間がかかることがあるため、すぐに効果が感じられなくても、医師の指示に従って服用を続けることが大切です。

副作用と対策

ニコチン酸系薬剤には、いくつかの副作用が報告されています。
主な副作用とその対策を以下に示します。

  • 顔面紅潮
    症状:顔や首、胸などが赤くなり、熱感やかゆみを感じることがあります。
    対策:就寝前に服用する。

  • 胃腸障害
    症状:吐き気、腹痛、下痢などが起こることがあります。
    対策:食後に服用する、少量から開始して徐々に増量する。

  • 肝機能障害
    症状:通常は自覚症状がありませんが、重度の場合は倦怠感や黄疸が現れることがあります。
    対策:定期的な血液検査で肝機能をチェックする。

これらの副作用の多くは、服用開始時や増量時に一時的に現れることが多く、時間とともに軽減していくことがあります。
しかし、気になる症状がある場合は、必ず医師に相談してください。

生活習慣の改善

ニコチン酸系薬剤を服用するなら、薬物療法だけでなく、生活習慣の改善も心がけましょう。
以下のような点に注意してください。

  • バランスの良い食事
    脂肪の摂取を控えめにし、野菜や果物、全粒穀物を積極的に摂取する。
    トランス脂肪酸や飽和脂肪酸の摂取を減らし、不飽和脂肪酸を適度に摂取する。

  • 適度な運動
    週に150分以上の中強度の有酸素運動を心がける。
    ウォーキング、ジョギング、水泳などを定期的に行う。

  • 禁煙
    喫煙は血管を傷つけ、脂質異常症を悪化させる要因となります。

  • 適正体重の維持
    肥満は脂質異常症のリスクを高めるため、適正体重を維持しましょう。

  • アルコール摂取の制限
    過度のアルコール摂取は中性脂肪を上昇させる可能性があるため、適度な摂取を心がけましょう。