非定型抗精神病薬
- 非定型抗精神病薬の種類と薬の選択
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非定型抗精神病薬は、1990年代から登場した抗精神病薬です。
欧米ではその10年ほど前から市場化されていたため、日本は遅れていたことになります。
従来の定型抗精神病薬と比べて、副作用が少なく、より幅広い症状に効果があるとされています。
これらの薬は主に統合失調症の治療に用いられ、幻覚、妄想、感情や意欲の低下などを改善します。非定型抗精神病薬は、脳内の神経伝達物質であるドーパミンとセロトニンの両方に作用します。
この作用により、幻覚や妄想などの陽性症状だけでなく、意欲の低下や感情の平板化などの陰性症状にも効果を発揮できるのです。日本で承認されている主な非定型抗精神病薬には以下があります。
- ペロスピロン
- オランザピン
- クエチアピン
- アリピプラゾール
- ブロナンセリン
どの非定型抗精神病薬が良いかは、以下のような点を考慮して決めます。
- 症状の種類と程度
- 過去の薬物療法の反応性
- 副作用のリスク
- 併存疾患の有無
- 生活スタイル
薬は個々の症状や状態、他の健康上の問題などを考慮して、医師と相談しながら決めていきます。
また、一部の薬剤は糖尿病患者には処方できません。 - 非定型抗精神病薬の副作用
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非定型抗精神病薬も、他の薬と同様に患者によっては副作用がある場合があります。
- 眠気
- 不眠
- めまい
- 不安
- 頭痛
- 口内乾燥
- ふるえ
- 食欲増進
- 体重増加
- 血糖値上昇
- 起立性低血圧
これらの副作用の程度や頻度は薬によって異なります。
気になる症状がある場合は医師に相談することが大切です。
心配な方は、処方された薬を飲むことでどんな副作用の可能性があるか、薬剤師などに聞いておきましょう。 - 非定型抗精神病薬と生活習慣の改善
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薬物療法と並行して、以下のような生活習慣の改善も重要です。
- 規則正しい生活リズムを保つ
- 適度な運動を心がける
- バランスの取れた食事を摂る
- 十分な睡眠をとる
- ストレス解消法を見つける
- 社会的な交流を維持する
これらの生活習慣の改善は、薬の効果を補完してくれます。
無理のない程度で意識してみてください。 - 非定型抗精神病薬の使用期間
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使用期間は個人差が大きく、症状の程度や経過によって異なります。
統合失調症の場合、症状が安定した後も長期間の服用が必要になることが多いです。
一方、双極性障害やうつ病、その他の目的で使用する場合は、症状の改善に応じて使用期間が調整されることがあります。使用期間については、医師と相談しながら、個々の状況に応じて決定していくことが大切です。
自己判断で服用を中止しないようにしましょう。
非定型抗精神病薬として使われる医薬品成分
- オランザピン
- オランザピンは、統合失調症や双極性障害(躁うつ病)の治療に使用される非定型抗精神病薬です。脳内の複数の神経伝達物質の働きを調整することで、精神症状の安定化を図ります。 オランザピンは、以下のような症状の改善が期待されています。 統合失調症* 幻覚、妄想、思考障害などの症状を軽減します。 双極性障...
- アミスルプリド
- アミスルプリドは、統合失調症の治療に用いられる非定型抗精神病薬で、他の抗精神病薬と異なる独特の作用機序を持っています。 使用される主な症状には以下があります。 統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想など)と陰性症状(意欲低下、感情の平板化など) うつ病に伴う不安や焦燥感 難治性うつ病 初期用量は比較的低...
- リスペリドン
- リスペリドンは、統合失調症や双極性障害の躁状態、自閉スペクトラム症に伴う興奮や攻撃性の治療に用いられる抗精神病薬です。脳内の神経伝達物質のバランスを整える働きがあり、幻覚や妄想などの症状を和らげます。 リスペリドンは、統合失調症の陽性症状と陰性症状の両方に効果を示します。陽性症状には幻覚や妄想が含...
- アリピプラゾール
- アリピプラゾールは、新世代の抗精神病薬として知られる薬剤です。統合失調症や双極性障害、うつ病の補助療法など、さまざまな精神疾患の治療に用いられます。他の抗精神病薬とは異なるユニークな作用機序を持ち、脳内の神経伝達物質のバランスを整える働きがあります。 アリピプラゾールは、統合失調症の陽性症状と陰性...